異世界帰りの最強高校生が宇宙人と戦いながらヤンデレエルフと魔王と暗部局長の美少女ハーレムに翻弄されて平穏ゼロな学園生活を送る話
常陸之介寛浩◆本能寺から始める信長との天
プロローグ:異世界から帰還したら、妹が全裸で踊っていた件について
「終わりだ、魔王ガルドレイス!」
異世界アルテミシアの崩れゆく玉座の間。
俺は血と汗にまみれながら、エターナルブレードを振り上げていた。
目の前には、全身を黒い炎に包まれた魔王が膝をついている。
そいつの巨大な角が折れ、赤い瞳からは力が抜けていくのが分かった。
「貴様……ただの人間が……我をここまで追い詰めるとは……」
魔王の声は震え、憎悪と驚愕が入り混じっていた。
「ただの人間じゃねえよ。俺はもう、お前を倒すためだけの存在だ」
俺は一歩踏み込み、全魔力を剣に込めた。
「これで終わりだ――極光斬(オーロラ・スラッシュ)!」
眩い光が玉座の間を貫き、魔王の巨体を切り裂いた。
絶叫とともにそいつは塵と化し、異世界を覆っていた闇が消えていく。
崩れる城の天井から陽光が差し込み、遠くで仲間たちの歓声が聞こえた。
「やった……やったぞ!」
エルフの弓使いリリアが涙を流しながら駆け寄ってくる。
「これで世界は救われたんだな、勇者!」
ドワーフの戦士ガロンが豪快に笑う。
でも、俺は無言で剣を鞘に収めた。
確かに魔王は倒した。世界は救われた。
だけど、俺の心はどこか冷めていた。
「……もういいだろ。俺、帰るよ」
「えっ!?」
仲間たちが目を丸くする中、俺は背を向けた。
異世界に来て三年。魔王を倒すために戦い続け、最強の力――剣技も魔法も極めた。
でも、俺が本当に欲しかったのは、こんな血生臭い英雄譚じゃなかった。
「普通の生活だよ。学校行って、友達と笑って、平和に暮らす。それが俺の夢だったんだ」
仲間たちが何か言おうとしたけど、俺は異世界の賢者がくれた「帰還の宝珠」を握り潰した。
光が全身を包み、視界が白く染まる。
「じゃあな、みんな。元気でな」
最後にリリアの泣き顔が見えた瞬間、俺の意識は異世界から引き剥がされた。
* * *
次に目を開けた時、俺は消毒液の匂いに包まれていた。
薄暗い天井、白いカーテン、ピーッピーッと鳴る機械の音。
どうやら病院のベッドの上らしい。
体に繋がれた点滴の管がチクチクして、俺は思わず顔をしかめた。
「……帰ってきたのか?」
フード付きのパーカーは見当たらず、代わりに薄い病院着を着てる。
ベッド脇のテーブルに、エターナルブレードが木刀の形に変形したまま置かれていた。
異世界の力はまだ俺の中にある。
でも、ここが現実世界だと気づいた瞬間、妙な安堵感が広がった。
その時、カーテンの向こうから小さな声が聞こえた。
「お兄ちゃん……起きた?」
ベッドの脇にいたのは、俺の妹――黒崎美月(くろさきみづき)。
長い黒髪と大きな瞳がチャームポイントの美少女で、
俺が異世界に飛ばされる前はよく一緒にゲームしてたっけ。
彼女は看護師の持ってきた椅子に座り、俺の手を握って涙ぐんでいた。
「お兄ちゃん! 良かった、三年ぶりに目が覚めたんだね!
ずっと意識不明で……もうダメかと思ったよぉ!」
美月が泣きながら俺に抱きついてくる。
確かに、異世界での三年は現実でも同じ時間が流れてたらしい。
俺が忽然と消えて、病院で寝たきりになってたってわけか。
「美月、落ち着けって。俺は大丈夫だよ」
俺が頭を撫でてやると、彼女は急に立ち上がり、目をキラキラさせた。
「ううん、嬉しいんだから!
お兄ちゃんが戻ってきた記念に、私、最高のパフォーマンスするね!」
「……は?」
俺が呆気にとられていると、美月は突然病院着を脱ぎ捨てた。
え、全裸!?
「うわっ、ちょっと待て――!」
止める間もなく、彼女はベッドの周りでくるくる踊り出した。
白い肌が蛍光灯に照らされ、謎のステップを踏みながら
「やっと会えた、やっと会えた!」って歌ってる。
「美月! 服着ろ、バカ! 看護師に見られたらどうすんだ!」
俺は慌てて毛布を投げてやったけど、美月は笑いながらそれを避けた。
「いいじゃん、お兄ちゃんのためだよ!
嬉しくてたまらないんだから!」
頭を抱えながら、俺は呟いた。
「黒崎刃斗、ただいま帰還……って感じか。
けど、こんな妹がいるんじゃ、普通の生活は遠そうだな」
明日からは高校生活が始まるはずだった。
「やっと手に入れた平凡な日々……こんなスタートで大丈夫かよ」
そうぼやく俺の耳に、美月の
「次はお兄ちゃんも踊ってね!」
って声が響き、俺の現実世界初日は――波乱の幕開けを迎えた。
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