第5話 釘バットを作ってみた
俺は腰にしがみついてきたのじゃロリ剣を無視しつつ、倉庫の中でいくつか使えそうなのを借り受けた。
まずは服。ローブじゃなくて普通の服があった! 重くて着れなかったっていうんだけど、重くない。これを重い、っつーなら普段どんだけ軽い服を着てるんだっつー程度だ。ちょっとばかしファンタジックだが許容範囲だな。黒を基調に赤がポイントで入ってて格好いいし。
あと棍棒。
のじゃロリ剣が、
『そんなモノ、捨ててしまえ!』
と叫んでいるが、知ったこっちゃねぇ。釘をもらって釘バットを作ってやる。
他にも、「重くて使えない」って言っているブツをいくつか使うことになった。
自室に戻り、まず棍棒に釘を刺そうとしたら、棍棒が逃げた。
捕まえて、再度釘を刺そうとしたら、
『さすがにかわいそうなので、やめてたもれ』
って、のじゃロリ剣が恐る恐る言ってきた。
「コイツから釘を生やしたいんだよ。つーか、棍棒って打撃物だろ? 釘を刺すくらい大したことじゃないだろ。もしかして違う用途なのか?」
俺がそう尋ねると、
『打撃物じゃが、違う用途じゃ。釘を刺されるのを嫌がっておる。釘を刺して使うものではないとも言っておくぞ』
って、のじゃロリ剣に言われた。
「えー……。迫力が出んだけどなぁ」
まぁ、そんなに嫌ならいいけどな。って思ったら、棍棒が釘を呑み込んだ!
「は?」
そしたら釘が生えてきた!
「は?」
のじゃロリ剣が、言った。
『刺されるのが嫌なので、生やしたそうじゃ』
…………。
「ま、いっか! 生えたなら!」
よっしゃ、釘バットが完成したぜ!
訓練場で古代遺跡物……主に剣、あと棍棒と服のお披露目会をやるってことになった。
着替えて腰に剣、肩に釘バットを担いで現れたら、集まっていたローブの連中に悲鳴を上げられた。
『アヤツら、お主を魔物と間違えておるぞ? 我からしたら、お主は魔王だと思うがな!』
「へー。魔王っているんだ。俺ってどっちかっつーと
昔ッから部活の助っ人を頼まれてたから。
……などとのじゃロリ剣と話していたら、ラクシャリーさんが青い顔をして釘バットを指さした。
「な、な、な……何ですかソレ?」
「これか? ホラ、あの遺跡物の倉庫で見つけた棍棒。釘を刺そうと思ったら嫌がって釘を呑み込んで、生えた」
「生えた!?」
ラクシャリーさんが大げさに驚いている。
俺はくるりと軽く振った後肩に再度担ぎ、朗らかに言った。
「娘の件で首相が俺に難癖つけてきても、コレで頭を小突きゃ黙りそうだろ?」
――俺のこの発言で、居残っていた首相派の連中がラクシャリー長官派に全員寝返ったと、あとで聞いた。
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