『赫耀鯉物語』(かくようこいものがたり)

紅茶螺鈿

ープロローグー

ある日の帰り道、実家近くの踏切にて、人身事故現場を目撃した大学生、

「初瀬川 淳」(はせがわ じゅん)。とそこにちょーど居合わせた自称探偵と名乗る女『アストリット』不意に視界に入ってきた彼女は、いつも事故や事件に遭遇しては、警察の邪魔ばかりをするという噂を持つ迷惑系探偵であった。

その後、淳がその場を立ち去ろうとした時、アストリットが物珍しそうに全身を舐め回すように見てきた。

するとアストリットは、淳の手を半ば強引に引っ張り、自らが経営しているという『明智探偵事務所』へと赴く。そこは事故現場にほど近い、ボロいビルの一角であった。

アストリットは、淳を助手にしたいと言いだした。もちろん淳は首を縦に振ることはなく、逃げるように立ち上がったのだが、アストリットにすぐに手を掴まれた。それでも淳は、思い切り振り解こうとした。だが淳の思い通りにいくことはなく、ソファに座らせられた。

俯き顔だった淳の視界に一枚の紙がみえた。それは、アストリットの名刺だった。

渋々、名刺を手に取る淳。その瞬間、アストリットが淳の鼻先に顔を近づけた。

「なんだか君、芳(かぐわ)しい香りがするね…これは、鯉の香りだ。」

そこからだった、淳が奇妙な事件や事故に巻き込まれていくのは・・・。

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