第6話 順子と美久、高校一年2
美久と順子が、美久の家の不動産屋事務所の奥の美久の家にいた。畳部屋に六尺の欅の座卓がおかれていた。横並びになって、学校の宿題をやっつけている。美久は高校二年、順子は高校一年。
二人共、タータンチェックのミニスカート、白のブラウス、茶色のニットのベストの制服姿だ。校則がうるさいので、学校ではスカートは膝丈だが、学校を出るとみんなスカートを織り込んで、膝上20センチのミニスカートにしている。
美久は長髪の茶髪で身長は160センチくらい。昔の後藤久美子にちょっと似ている。可愛い顔をしている、高校生のギャルのようだがヤンキーである。順子は、身長165センチ、ダークカラーのボブのヘアスタイル。黒木メイサのようなハーフっぽい顔立ちをしている。美久よりも年下だが、美久より大人っぽい雰囲気だ。
順子は英語の宿題をやっていて、時々髪の毛をかきむしりながら悩んでいる。横を見ると美久は胡座をかいている。「美久ネエさん、パンツ見えてるよ、ネエさんの苺パンツ」と順子が言った。
「え?キャッ!」と美久はあわててスカートの前をかきあわせる。
「美久ネエさん、いい年こいて苺パンツかよ?」
「そういう順子はなにはいているのさ」と順子のスカートをめくる。黒のインナーパンツだ。「順子、おまえ、そんなインナーなんてはいて、蒸れるだろ?」
「美久ネエ、エッチだな。スカートめくるなよ。駅の階段下でのぞいているヤツがいやなんだ。だから、インナー必須よ」
「わたしは蒸れるの嫌いだもん」
「蒸れるの嫌いでも、苺パンツはないでしょ?」
「あのねえ、順子、なくなったお母さんがわたしに買ってくれたのが苺パンツばかりだったの。それ以来、苺パンツなの」
「それって、美久ネエが小学生の頃だろ?もう高校二年だよ?もっと色っぽいパンツはきなよ」
「色っぽいって、彼氏もいないのに、そんなパンツをはいてもしょうがないじゃん。彼氏ができたら、買ってもらうよ。じゃあ、順子はそのインナーの下になにはいてるのよ?」
「え?美久ネエ、みたい?見せてあげようか?」
「いいよ、別に見せても」
順子はインナーをめくって、「ほら」と美久に見せる。「ええ?なにこれ?」
「赤のウィングショーツだよぉ。上下おそろい」
「ふ~ん、こういうのを順子はくのかあ」
「美久ネエみたいに結婚まで処女守ります、っていう現代の化石じゃないのよ、私は。男が欲しいのよ。彼氏がほしいの。だから、いつでも準備万端!」
「順子、私だって処女守っているわけじゃないよ。彼氏がいないんだもん」
「それは美久ネエが彼氏を作るつもりがないだけじゃない。可愛い顔して男無視してるからじゃん」
「無視してないよ。よってこないだけだよ」
「まあね、喧嘩強いし、男は近寄りたくないタイプなのかもね」
「そこが悩みのタネなんだけどなあ・・・」
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「美久さん、ぼくは感動した!美久さんのルーツは苺パンツだったんだ!お母さんの買ってくれた苺パンツが美久さんのルーツになって、貞操を守り、いつか苺パンツを超えるパンツを買う彼氏をまっていたんだ!」
「そおですよ、タケシさん、それがタケシさんだったんです!キャッ!」
みんな、呆れて二人を見た。カエデは思った。ちげぇーよ。美久さんばかりと思っていたら、お兄も天然か?そこが話しのポイントじゃねーだろ!この天然バカップル。呆れて物が言えんよ。このどアホ!早く話続けろ!
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順子は北千住のもっと上の荒川沿いに住んでいるんだけど、同じ高校に入学してきて見かけたことがあるかな、というほどで、知り合いでもなんでもなかったのよ。それがある日、私がコンビニで週刊誌を読んでいたら、順子も入ってきて、お菓子とか見ていたの。横目で見ていると、悪そうなヤンキーの男二人が順子のトートバッグにお店の商品をそっと入れているのが見えたのよ。それでレジの方を見ていると、店員はそれを見ているはずなんだけど、何にも言わないの。男二人は店を出ていった。
順子も店を出ようとしたら、店員が順子の肩をつかまえて、「お嬢ちゃん、お店のものはお金払わないと持って出れないよ」と順子に言ったのよ。「私、何もしてませんけど?」と順子が言うと、じゃあ、そのトートバッグ見せてよって開けさせたの。男二人が入れた商品がでてくるわよね。「私、知りません」という順子の手を引っ張って、店員は奥の事務所に順子を連れ込んだ。
私は、「はっはあ、男二人は店員とグルだ。店員はこの子を強請るかエッチなことをするか、悪さするつもりだな」と思った。どうしようかな?関わるのもメンドイなあ、と思ったけど見ちゃったからね。店内を見回すと、CCTVカメラがあって、男二人が順子のトートバッグに商品を内緒で入れた様子はカメラの視野に入っているみたいじゃない?と思ったの。外を見るとあの男二人も戻ってきていて、店内に入って知っているみたいに平気で事務所に入ってしまった。
あ!こりゃ、店員と二人でグルで、女の子をはめて、どうにかするつもりだな?と思った。事務所によっていって、ドアをそっと開けると、男の一人が女の子を羽交い締めにして、口を押さえていて、店員は女の子のパンツの中に手を入れて、ズボンを下ろしてあれを出しているのが見えた。もうひとりの男がスマホで写真か動画を撮っている。このマンガみたいな展開で、私はカッとなって頭に血が上っちゃってさ。乱入しちゃったんだ。
この野郎、一部始終私は見てたぞ。CCTVにだって、こいつらが店の商品をこの女の子のトートバッグに忍ばせたのが映っているはずだろ?おまえらグルでこの子をはめたな?と言ったら、男二人が順子を離して私に向かってくるんで、橋本真也のやるバックハンドで首筋に袈裟斬りチョップ食らわして、股に蹴りを食らわしてのしたの。それから、店員がズボンをあげようとしたので、それも股に蹴りを食らわした。店員はあれを出してのびたよ。って、タケシさん、ゴ、ゴメンナサイ。
男のスマホを取り上げて、女の子のパンツをなおしてやって、サツに・・・警察に連絡した。そうしたら、顔なじみのお巡りさんが来て、美久、またおまえか?って言うんで、事情を話して、CCTVを再生すればこの子がはめられたのがわかるよ、って説明したのよ。男のスマホは渡したけど、この子の恥ずかしい写真か動画が映っているから、今、削除して!今!って言って、お巡りさんが証拠品とかブツブツ言っているので、この子の人生をあんた潰す気か?って言って消去させたの。
まあ、これが順子との出会いで、順子が止めろと言うのにグループに入ってしまって、私の妹分になったの。で、節子と紗栄子と佳子が高校に入学すると、順子の近所の恭子と敏子と恵美子も入学してきて、彼女たちは順子の妹分になった、ってこと。それで、大学に入学するので、グループを抜けたんだけど、みんなが順子を後釜にというので、順子が後釜になったということ。節子と紗栄子と佳子は反対したんだけど。
順子は、中学の時に、両親が離婚して、お母さんに引き取られたの。お母さんは銀座で水商売をやっている雇われママで、順子は鍵っ子だったから、コンビニ事件以来、うちによく来て、ここにも連れてきてた。面倒を見ていて、妹ができたみたいと思った。順子が高校二年になって、康夫っていう男とできちゃって、少し変わっちゃったし、疎遠になっちゃったけど、根はいい子なのよ。
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「あっしたちはそうは思わねえ。ネエさん、順子は影でなんか悪いことをやってるよ。なあ紗栄子、佳子」と節子が言うと、紗栄子、佳子もうんうんとうなずく。「ネエさん、こっちも少し調べるから、今は黙ってみていて下さいな。紗栄子、佳子、あとで相談しよう」
この時、みんなで調べていれば、あんなことにはならなかった。
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※高校生の飲酒喫煙シーンが書かれてあります。
※性描写を含みます。
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