第9話 純喫茶は間違いないから

「コガ」はもはや絶滅危惧種の喫茶店だった。中に入るともうもうと紫煙が立ち込めて、ついつい、手を合わせて拝みたくなる、、。

なんばんだぶ、なんばんだぶ、、。


「いらっしゃーい。あ、鈴木さん、いつもの席空いてるわよ。」

なになに?ハリマオじいさんは鈴木さんなのか、、。


「あーありがとね、じゃあ、レイコー四つね、チケットあるよね?」


「あるわよ。マスターー、レイコーとモーニングね。四人分。」


いつもの席とは店の奥にあった、合皮の茶色のソファは色褪せて所々、パンクして穴空いてる。懐かしいなぁ。すすけてるなぁ。

煙に目が慣れてくると周りが見えてきた。

どうみても団塊世代以上の人達だわね。がーんがーっ。


「暑かったなぁ、、。」

うっわ、お手拭きタオルで顔から身体まで拭きだした。あー、昔いたわね。

こう言うオヤジ。きったないって思ってたけど歳とるとやりたくなるわね。


「ワタシ、インスリンシナイトダメ、アサハ8。」

えええーっ!Zマンいきなりの腹出しときたぁ。世の中はセクハラだよ、これ。

おまけにギャランドゥが凄いねっ。


「あれ?昨日は10とかって言ってなかった?あんた、堂満医院で怒られたって。

血糖値高いからって増えたんじゃないよ。」

誰ですか?このパッションピンクの髪色のシンディローパーみたいなローバーは?

あ、あれね。あの人ね。既にコスプレじゃん、まんまでいーいじゃん。


「ワタシハジブンノカラダハジブンデコントロールデキマス。ヤブノイウコトウソ!」

こう言う患者さんって困るんだよね。ほっとけ、ローバー。


「お待たせー。はい、モーニングもね。鈴木さんはサラダは刻みにしといたわよ。

入れ歯じゃ噛みにくいもんね。」

なになになに。ハリマオじいさん、生野菜を刻んでもらってるのかーっ。

飲み込みが危ない?地球温暖化より、自分の高齢化に目を向けろ。


モーニング、良いじゃん。

厚切りトースト半分。バターたっぷり。キャベツとトマトのサラダ。茹で卵。

ほんの少しだけど、あんこも添えられてる。

卵もあったかい。

アイスコーヒーはガムシロとクリーム分けてある。

最近はアイスコーヒーはガムシロ入りが多いから、嬉しい。

せっかくだからブラックでいこうっと。その方があんトーストの味が引き立つもん。


いっただきまあーす。







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