おばあちゃんはスナイパー

@J0hnLee

第1話 暗殺を引き受けるわ…と言ってくれ

「ミセス・ストライザンド…そろそろ大統領の暗殺を引き受けると言ってもらえませんか?」

「嫌だね」

「嫌だねなんて、そんなつれない事を言わないで。今まで政府の要人を暗殺してきた名スナイパーのあなたじゃないですか。この腐りきったアメリカを叩き潰すと私達に協力してくれたじゃないですか」

「知らん」

「知らんって、あなた何人暗殺したか覚えてます?」

「そんな昔の事は忘れたねえ」

「じゃあ未来に投機しましょうよ」

「そんな先の事は分からんねえ」

「ハンフリー・ボガードですか?」

「誰だいそりゃ」

「カサブランカの名優ですよ」

「駅馬車にも出とったねぇ」

「それはジョン・ウエインです」

「ところであんたは誰?」

「もういいです。話になりません」

「話にならないとは何事よ!」

とミセス•ストライザンドは持っている杖を床に叩きつけた。

認知症だとは分かっている。

分かっているが彼女のスナイパーとしての人並み外れた命中率も分かっている。


私たちの組織は腐りきったアメリカを転覆させるべく過激な行動を起こす秘密結社である。

私はその秘密結社の委員長、ジョーイ・ペリー。

今回は右腕である事務局長のスティーブン•クレイマーと凄腕スナイパー・カレンストライザンドに暗殺依頼をしたが見事に断られた。

今度の大統領選挙に立候補しているトム•ウイットフォードを当選させてはいけないと密かに彼の暗殺計画を立てている。

私たちの結社は政治組織ではなく、どの党とも関わりはない。

アメリカに政党政治がある限り差別や戦争は無くならないと言う信念で水面下で暗躍している。

差別や戦争は人殺しにつながると考えているが多少手荒い手段を選ばなくては…と腐った政府に天誅を下している。

政党政治を破綻させて民主社会確立の為に革命を起こすのだ。

秘密裏に暗殺ができるのはカレン•ストライザンドしかいない。

その頼みの綱に断られ事務局長のスティーブン•クレイマーと私はアジトへと帰る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る