儚い夢。それは悪夢の続き。
@01150223
第1話 3拍子
ワルツ3拍子、二人の湿度、終わらない永遠。
思い描いていた理想も、簡単に壊れていくのが現実の世界で。
思考を続けていくと、その思考に反比例して、不幸が近くで微笑んでいる。
戻りたいと思う過去が、作りたいと思う未来が、今日も僕の夢の中で繰り広げられている。
そんな儚い夢は、現実世界で現在進行形で起こっている悪夢の続きでしかないということに、僕は気がついてしまった。
夜に眠り、朝に起きる。それは生き物にとっての当たり前で、僕たち人間もその命のルールに則って生きている。
だけど、眠るのが怖い。自分が眠っている間に僕の宝物が壊れてしまったらと思うと、怖くて眠ることができない。
日々、LINEの通知に怯える生活。側から見たら、その光景は異常で、命を削って何に執着しているのだろうと言われてしまう。
けれど、僕にとってその怯える生活が宝物で、自分が生きる理由なんだ。
「ブー、ブー、ブー。」
朝、スマホのアラームで目が覚める。
眠気眼は甚だしく重く、目を開くことができない。
手探りで枕元のスマホを探し、アラームを止める。
そのまま、もう一度夢の世界へ向かいそうになるが、大きく深呼吸をして、目を開け、体を起こす。
スマホを確認すると、朝の7時。
隣を見ても、誰もいない。
そうして、ものすごい不安感に襲われる。
心臓を強く握り潰されているかのような、酷い圧迫感。
次第に呼吸が浅くなり、息をするのが苦しくなる。
体を巡る酸素が薄くなり、手足がひどく痺れ始める。
世界の終わりのような、このまま死んでしまうかのような、そんな恐怖心が光の速さで脳に伝達される。
まだ起きて5分ほどなのに。最悪な朝だ。
けど、その最悪は、僕にとっての“当たり前”の朝なんだ。
こんな世界、終わればいいのに。
先の見えない未来に、希望なんて抱けなければいいのに。
そうしたら、僕は今日、迷わず命を絶てるのに。
自分は愚かで、弱い生き物だ。
朝日も満足に差し込まない、狭い僕の世界で、今日も一日が始まってしまった。
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