第12話 『枕絵三圀艶伎』第九回 桃園の契り【後編】

 声を合わせてハモってるのは、長身で面長で切れ長で長い髪は艶やかな、お姉さんです。黒いセーラー服のスカートは一際長いです。肩には学ランを羽織っています。堂々として威風凛々、超硬派のスケバンといった感じです。

 ルビさんとフェイフェイさんは急に畏まります。崩した脚を畳んで正座します。


「ユーユーお久しぶりっ。この子が阿斗よ。生き写しでしょう?」

 跪いて一礼してから正座します。

「阿斗さま御久しゅうございます。改めて拙者、不肖、マホウトコロ女学院の院長を奉職する姓は関、名は羽、字は雲長、胡名はウズンブルトと申します。よしなにお願い申し上げます」

 口調はコチコチですが、透き通る声は生真面目で優しそうです。

「僕は鼎阿斗と申します。この度、マホウトコロ女学院の入試面接に参りました。よろしくお願いします」

「劉公主さまの御推挙とあれば拙者に意義などございませぬ。阿斗さま、御入学おめでとうございます。心より歓迎します……」

 羽々ユーユー院長は阿斗君を軽く抱きしめて頬ずりをします。適度な距離感を保った爽やかさに御満悦です。

「……恐れながら、阿斗さま、拙者多忙につき、これにて失礼させていただきます。御免!」


 ルビさんとフェイフェイは肩の荷が下りたようです。


羽々ユーユーさんって関羽の転生ですよね。苦手なんですか?」

「苦手じゃないから苦手なのよ。妾が佩麗以上でバイ未満なのに、羽々ユーユーバイとか敬神ヤズドだもの。中華街に関帝廟ってあるでしょ。あれは羽々ユーユーを神として祭る社なのよ」

「俺なんて転生して、ルービー姉程じゃないけど男好きになってしまった。関姉は転生前よりも堅物になっちゃったもんな」

「もしかして出世した後輩に追い抜かれて頭上がらなくなった先輩みたいな感じとか?」

「そっ、そうよっ! 阿斗くん上手いこと言うじゃない」

「それで話の続きはどうなったんですか?」


「話を続けるわね。


 桃園の契りとは、妾と羽々と飛々との婚姻よね。羽々と飛々の間は名実ともに強大になったのよね。真昼間から真夜中、明け方まで三人で仲を深めたのよね。妾一騎で後宮の美姫三千に値するなら、関羽と張飛で万夫不当の猛者が二人ね。一夜で二万人相手にしたみたいだったわ……♡


 一夜明けるとね。お祝いに三百騎の匈奴が集まってきたのよね」

「あれは俺が日頃から付き合ってきた仲間だな」

「それだけの数になると、妾の口車と色香だけでは養い難くなるのよね。そこに折よく、張世平と蘇双って商人が妾た意気に感じ、馬五十匹、金銀五百両、鋼鉄一千斤を寄付してくれたのよね。

 そうして羽々は名高き青龍偃月刀、飛々は有名な蛇八の矛、妾は双股剣を鍛え直したのよね。

 こうして妾の尻の下に完全武装した五百騎の精兵が集まったのね。こうして幽州太守劉焉の元にはせ参じたのよ。そしたら同姓のよしみで妾を姪扱いしてくれたわ。これが御縁になって後に燭に身を落ちつけられたのよね」

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