36ブレス<<< オレの体が熱くじんじんする!
「飛ぶからみんなでオレにつかまれ。
両手でエアロックの扉に手をかけて背中を外に向ける。
外は
肩と背中部分のごつごつから炎が翼のように噴き上がる。
艦外にふわりと浮いて三人に手を差し伸べる。
「待ってアナ、わたしもたぶん飛べるから。
えーとー。えい!」
艦外に飛び出すクインの両足からアーチ状の青い炎が広がった。
「すげぇなクイン!
飛んでるじゃん!」
「
そうね……
わたしは……
「かっこいいな!」
不思議なんだけどオレたちドラゴンはなんとなく直感で自分たちを表現することができる。
「うわ!? バランス取るの難しいよ!?」
「クインは身体能力高いからすぐなれるだろ!
オフィリアを頼む!
サクラコ! こい!」
「うん!」
「はいですよ!」
青い炎に当たらないようにオフィリアを抱えるクイン。
「いまさらだけど宇宙でも飛べるの!?」
「ん? オレの炎はソウルで燃やしてるから大丈夫じゃない?
体内ソウルだけでもなんとかなるだろ!」
「能天気がすぎない!?
まあやるしかないわよね!」
ここまできたしな!
酸素や可燃物があれば楽に炎を出せるけど体内ソウルだけでもなんとかする!
オレはサクラコを胸に抱えて飛翔する。
青く輝くアーステルスが見える。
「うっはあ!
なんてキレイなんだ!
とうとう初めて
ソウルもいっぱいでしっかり炎が出せるぞ!」
「地上にあふれるソウルが宇宙にもあふれてるのね。
……それとも元々あるのかしら?」
宇宙空間に入った途端にソウルが地上よりもあふれてる。
もしかして
「分かんないけどサクラコと初めての
「
アナの初めてのわたし……
はう!」
サクラコが両手を顔に当てて悶絶してる。
「感動してるところ悪いんですよ?」
「黒い光がどんどん太くなってるよ!
たぶん最終段階に入ってる!
早く破壊しないと!」
「そうだな! もうすぐだ!」
高速飛行で飛んでるからあっという間!
「アナ! 避けて!」
「!」
なんだか分からないけどサクラコの言う通りぐるんと回転しながら軌道を変える。
すぐ真横を輝く光の筋がとんでもないスピードで通過していった。
ドラゴンギアのステルス機能は通じないみたい?
「よく分かったな!」
「ドラゴンギアパナセアが教えてくれるみたい!
アナ! もう一回!
きゃあああ!」
オフにしてる未来予測か?
続けて光の筋をぐるんと避ける。
回転する加速度に悲鳴をあげるサクラコ。
「ソーラーエネルギータイプのレーザー兵器だよ!
あれなら弾薬がなくても無限に撃ち続けられる!
撤退した方がいい!
危険すぎるよ!」
「ダメだ!
逃げるわけにはいかない!」
さすがクイン、よく知ってるな?
だけどクインの割に弱気じゃないか?
クインの言葉通りなのか、衛星に装備されたレーザーの砲門から間隔をあけずにどんどん発射されるせいでなかなか進めない!
「近寄らせないつもりなんですよ!
クイン、アナの前へいくんですよ!」
「……分かった!」
「
オレの前に飛んだクイン。
抱えられたオフィリアの両手から輝く水晶の盾が二つ展開される。
斜めにかまえた盾がレーザーを反射して弾く!
「すごいなオフィリア!
きてくれて良かった!」
「オフィもびっくりなんですよ!
えへへなんですよ!」
あとで教えてくれたことなんだけど、オフィリアが生み出す水晶の盾はレーザーの偏光方向を変えたり光量を変えたりできるらしい。
立て続けに放出されるレーザーの嵐をすべて反射。
全部を防ぎ切るのは難しいのか水晶の盾にビシビシと亀裂が入って盾の一つが砕けた。
「オフィ! 無理するな!」
「ええい! なんですよー!」
最後の光の筋を気合いで弾くオフィリア。
防ぎきれずに水晶の盾が粉々に砕ける。
レーザーがオフィリアの水晶の甲皮がない胸を直撃して貫く。
「「「オフィ!」」」
「だ、大丈夫なんですよ……」
「大丈夫じゃないじゃない!」
「ちょっとがんばりすぎちゃったんですよ」
衛星にたどり着いたオレたち。
もう無重力状態。
クインが衛星の外構にオフィリアをつかまらせる。
すかさず炎翼を羽ばたいてオフィリアにサクラコを抱きつかせる。
「
ちょっと時間がかかるわよ」
「ありがとうなんですよ」
「とうとうここまできたぜ!
殴って壊す!」
衛星に向けて炎の拳を振り上げる。
「待ちなさい」
クインの低い声。
宇宙空間だけどドラゴンギアのモードユニバースのおかげでインカムを通して会話ができる。
「? どしたんクイン?」
素直に言うことを聞いて殴ろうとした拳を止める。
「まさかここまで。
本当にたどり着くとは思いませんでしたわ」
「そうだな。
みんなのおかげだよな!
こいつを壊してみんなを助けるぞ!
振り下ろした炎の拳を受け止めるクインの手のひらが青く燃えている。
「熱っつ!」
慌てて拳を離す。
え? オレが熱い?
「なんで止めるんだよ!」
「もちろんアビスを完成させるためですわ」
目の前に対峙するクイン。
キラキラしたいつもの眩しい笑顔がまるっきりない冷たい視線。
「お前……誰だ?」
「クインですわ」
「オレの知ってるクインじゃないだろ?」
「ええ。わたくしはヴァルキューレの真なる皇帝クイン。
クインの母です」
「クインのママ?
どういうことだ?
シャオちゃんもイーラも小さいクインって言ってたぞ」
「ええ。
この体は確かにわたくしの娘クイン。
わたくしのソウルスキル
おかげで皆様の状況は手に取るようにわかりました。
この世界に必要なのは支配者。
世界の女王。
世界を統べ、争いをなくします」
「ふーん。なんだか偉そうだな?
オレはそんなことどうでもいいんだけどさ?
お前どこにいるんだよ?
なんで衛星兵器を操れるんだ?」
「地上ですわ。
ソウルスキル
「そっか。
じゃあオレの邪魔をするな!
炎翼を羽ばたいて後ろに飛びすさりながら衛星を殴る!
炎の拳で衛星を殴り飛ばしたつもりだった。
振り下ろしたはずの拳がない。
腕ごと。
「マジか!?」
オレの腕が肩口からない。
代わりに青い炎の鞭のようなものが揺れ動いてる。
オレの右腕が宙に浮いて回っていた。
焼き切られたように断面が焦げついて血が出ない。
「痛ってえええ!?」
ほんとなら痛みでのたうち回ってもおかしくないはず。
だけどそこまでの痛みを感じない。
脳波をコントロールして一定以上の痛覚を遮断する。
これもドラゴンギアの機能の一つだと思う。
脳波リンクで気持ちよくなっちゃうくらいだしな?
「
なかなか便利な攻撃手段でしょうか?
さあ、もう地上へ帰りましょう。
おとなしくすればこれ以上、手荒な真似はいたしません。
あの子のソウルスキルでその腕も治せるでしょう?」
「へへ。
オレのこと見てたんなら分かるだろ?
オレがどういうやつか」
「……そうですわね。
「
上下左右、前方、後方を縦横無尽に振るわれる青い炎の鞭。
くっそ早い!
目で捉えられない!
氣とソウルの流れを感じろ!
無重力の中で炎を噴射して体を捻る。
青い炎に赤い炎をぶつけて弾く。
動きが止まった。
「よく避ける」
「
お前こそ初めて使う技なのにすごすぎない!?」
「
ですがケイオスの本体の場所の解析にはいまだ至らず。
それも含めて壊させるわけにはいかないのです」
「へー。
じゃあなおさらぶっ壊さないとな!」
「
炎の噴射で加速して体を鋭く回転させる。
強度の高いアーマードスーツのパンツは破れない!
パンツがずれてずるんと一気に生えた極太の尻尾!
噴き上がる炎の龍尾を衛星に叩き込む!
「
「ぐみゃ!?」
「トカゲのしっぽが切れましたわ」
切れたしっぽが宇宙空間に遠心力のままに飛んでいく。
「うー」
どうしよう?
左手で殴ろうとしてもおんなじことになりそう。
サクラコはまだオフィリアの癒しを続けてる。
「鞭をかわせないわけじゃないんだよな?
こうなったらクインを殴るしかない!
やだけど!」
「あら?
格闘ですか?
受けてたちますわよ?」
それぞれ炎を推進力に炎の拳打に蹴撃を放つ。
クインの運動能力を思い出す。
かなりキレる動きをする。
好戦的な
そういや大きいクインてシャオちゃんの戦友だか妹分なんだっけ?
なんにしても強い。
しかも青い炎がオレより熱いときた。
ごつごつした鱗の装甲が剥がされる。
宇宙空間で殴り合う。
重力に縛られない攻防が激しくぶつかり合う。
右腕がないせいでどうしても後手にまわる。
残ったしっぽもしっかり攻撃に組み込む。
落ち着け。
慌てるな。
シャオちゃんと片腕が使えないときの修行もした。
右腕がなくてもしっかりやれてる。
だけどそれでも。
クインの攻撃がオレをとらえていく。
殴られるたびオレの胸がぷるんと大きくゆれる。
やっぱ片腕じゃきつい。
ちらっと見える衛星から放出される黒い光。
もうそんなに時間がないはず。
「くう!
燃えろ燃えろ燃えろ燃えろー!」
体内の龍気とソウルを混ぜ合わせて内転する。
疾く!
鋭く!
熱く!
ドラゴンギアのソウルコアが呼応する。
みんなを助けたい!
クインを殺してでも?
そんなのダメだ!
クインもみんなも絶対に助ける!
心と想いが、内転する龍気とソウルにがっちりかみ合う。
オレの胸がぷるぷる熱くなる。
内側からふつふつと込み上げてくる感じ。
気持ちいいほどあふれて体が熱くじんじんする!
☆次回<<< オレ、いまにもあふれそう!
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