24ブレス<<< オレもぷるぷるしたい!
「なんでシャオちゃんも一緒にきてるの?」
「アナちゃんとデートしたいね♪」
「デートじゃなくて資源採集だけど?
シルヴィアと二人きりデートだと思ったのになあ。
くすん」
「自分でデートじゃないって言ったばかりよね?
さっそくマッシュルームエリクサーを探しましょうか」
「到着してからいまさらなんだけど、いまってロックリザードの大繁殖で探しづらくないか?
あんまり時間かけてらんないだろ?」
「アナが倒してくれるでしょ?
わたしがいるから探すのは大丈夫よ」
小型の
シャオちゃんにぴったりのかわいい車。
大森林ユグドラシルフォレストの外周部から少し入ったところで探索を始める。
ロックリザードは近くにいないみたい?
マッシュルームエリクサーはきのこの一種。
とても貴重で簡単には見つからない。
それなのに!
「見つけた。
こっちにも。ここにも。大量ね」
巨木の股の間とかどでかい葉っぱの下とか、とにかくいろんなところからサクサク採集するシルヴィア。
「オレ、まだ一個も見つけらんないんだけど!?」
「アナちゃんがんばるね〜♪」
シャオちゃんてばもふもふジャイアントリスを追いかけて遊んでる。
しっぽに抱きついてはほっぺたすりすり幸せそう。
臆病なはずのジャイアントリスもなんだか楽しそうにしてるし、どうやってそんなに仲良くなったのかな?
あ、でっかいどんぐりの殻を殴って開けてあげたのか。
「ていうか何十匹餌付けしてるの!?
多すぎない!?」
「ロックリザードだけじゃなくてあの子たちも大繁殖してるのかしら?」
「シルヴィア〜。
炎の水晶とかさ、なんでそんなにレアものばっかり簡単に見つけられるんだよ〜?
いくらなんでもすごすぎないか?」
「……助けてもらった礼に教えてあげるって約束だったわね。
誰にも言わないって約束するなら教えてもいいわよ?」
「口は柔らかくない方だと思う!」
無意識にアヒル口でパクパク、足を爪先立ちで手をパタパタする。
「柔らかいわよ?」
オレの唇をつまんでぷるぷるするシルヴィア。
「ひょういう意味ひゃないんだけど!?」
「ふざけただけよ。
アナはおバカさんね?」
「シルヴィアがバカって言ったあ。
くすん。
オレもぷるぷるしたいのにアストロスーツが邪魔でできない〜!」
つま先立ちのまま手をパタパタして思いっきりほっぺたが膨らんでた。
「ふふ♪
あーあー。わたしもすっかりやられまくってるわね。
サクラコたちの苦労が思いやられるわ」
「オレってそんなに苦労させてるかなあ?」
「いっつも心配ばっかりね?」
しゅんとなってつの口、人差し指をちょんちょんしちゃう。
「新しい拠点も決まったことだし、みんなに安心してもらうためにもいっぱい稼がないとね?
約束通りわたしの秘密を教えてあげる」
「秘密ってなんだ?」
「ドラゴンソウル、リベレイション」
「シルヴィアが!?
なんのドラゴン!?」
びっくりしたけどなんにも変わらない。
ていうかシルヴィアはアストロスーツ。
オレたちみたいに体が変身するとスーツが破れちゃうし。
ん? もしかして体の変化が少ないとか?
ヘルメットの中を覗き込む。
「瞳が光ってる!」
桃色の瞳が変質して銀河のように輝いてる。
「あそことあそこ。
それにあそこも」
指で場所を指し示すシルヴィアの言う通りに探してみる。
「あった! ここにも!
すっげぇ! 取り放題だ!
どういうこと?」
「わたしの目にはソウルが見えるのよ。
多かったり少なかったり対象が光り輝いて見えるの。
わたしはこのソウルスキルを
ソウルが多いほど希少価値の高いものであることがほとんど。
アナ、あなたも輝いているわ。
とても綺麗……」
シルヴィアの桃色の瞳がなんだかきらめいてる。
「オレがキレイ?」
「そしてあなたの師匠はもう光の塊にしか見えない」
「化け物ばばあだからな。
ぐみゃ!?」
でっかいどんぐりが投げつけられて頭にクリーンヒットした。
「こんな力があるなんてことを他のヒトには教えたくないの。
だから秘密よ?」
「もちろん!
オレとシルヴィア♪
二人だけの秘密♪」
「三人ね!
うちのお口はカチカチだからだいじょぶね!」
「シャオちゃんも聞いてたか!
地獄耳ばばあ!
ぐみゃ!?」
頭突きが丹田に突き刺さって痛い。
「それでね?
あっちの方に大きな光の塊が見えるんだけど?」
「塊? なんだそれ?」
「とても大きい……
まるで地面に穴が空いてるような」
「ソウルがたくさん集まてるね?
それはきとあれね!
自然発生するアビスの予兆か、もうできてるね!」
「え!? それってやばくない!?」
「とてもやばいね!」
「それとだけど?
とってもたくさんの輝く光がこっちに向かってくるんだけど?」
「なにそれ?」
シルヴィアの指し示す先には……
「マジか!?」
ロックリザードの群れがすごい勢いで走ってくる。
いつも通り忍び足だから気づかなかった!
なんでお前らそんなに静かなの!?
「リスちゃんたちが逃げちゃたよ!
規格外にでかいのもいるね!」
「討伐依頼が出てたから逃げてきたのか!?」
「アビスのせいじゃない!?」
「戦うか!?」
「戦たらダメね!
いいから逃げるね!」
「珍しく弱気だな!
でも分かった!」
小型の
「ばばあ!?」
「後で頭突きね!
早く乗るね!」
「そんなこと言って止まらないし!
戻ってこいって!」
「きゃあ!? あれ見て!」
「どうしたシルヴィア!?」
シルヴィアの指し示す先を振り返る。
巨木の合間に真っ黒いもやもやとした塊がいた。
もやはゆらゆらと丸く厚みを増してどんどん大きくなっていく。
そこにある空間と大気を飲み込みながら。
「なんだあれ!?」
「アビスよ!」
「あれが!?」
巨大キノコや巨木を吸い込むように飲み込んでいく。
逃げるジャイアントリスやロックリザードも森の生き物も吸い込まれる。
穴の直径がどんどん広がっていく。
まるで奈落の闇がなにもかも吸い込んでいくように。
「おいおい!
これってやばくないか!?」
「わたしたちも早く逃げましょう!」
まだ離れていたはずなのに距離がどんどん近づいてる。
大気が吸い込まれて引き込まれてしまいそうになるほど風の大渦が生まれているみたいだ。
「きゃあ!?」
背を向けようとしたシルヴィアの両足が地面から離れる。
「シルヴィア! 手を!」
伸ばす手をつかまえて地面におろす。
「しっかりつかまってろ!」
うっかり吸い込まれそうになるほどの吸引力に逆らって進む。
「早くしないとアビスが!」
「分かってる!」
そうは言っても!
「ドラゴンソウル! リベレイション!」
ビキニタイプのアーマードスーツに覆われてない素肌から硬質のとげとげした物質が生えていく。
クリムゾンレッドの長髪の間から金色のつのがメキメキと2本伸びていく。
金色の瞳も変質して銀河のように輝く。
胸がぷるんとでかくなる。
「ドラゴンギアカグツチ! コネクト!
ふみゃん!?
力が抜けてうっかり風で足が浮く。
腕や脚、各部の装甲がオレのサイズに合わせて稼働していく。
オレと繋がる感じがやっぱり気持ちいい。
肩と背中部分のごつごつから炎が翼のように吹き上がる。
ドラゴンギアがカッコよく変形して炎の制御をしっかりサポートしてくれる。
「いくぞ!」
炎翼を推進力にする!
逃げるロックリザードに踏まれそうになったシルヴィアをお姫様抱っこでかっさらって走り抜ける。
「アナちゃん乗るね!」
横転しそうになるほどのドリフトで戻ってきた
こういう時ほんとにドラゴンでよかったと思う。
「ありがとうアナ!
礼は言わないわ!」
「言ってるし!」
逃げるロックリザードのでかい足に踏まれないように、体当たりされないようにジグザグ運転。
シャオちゃんが叫びながら運転してる。
シルヴィアもオレも乱暴な運転できゃあきゃあ言ってる。
「ランちゃんを壊しちゃダメね!
うちの大事な愛車ね!」
シャオちゃんがいくら強くても物は壊れるよな。
そりゃ逃げるわけだ。
「アビスってすげぇな!
オレ、初めて見た!」
「わたしも久しぶりに見たわ。
見て。拡張が止まったみたい。
アビスからソウルが吹き出してるわ」
ユグドラシルフォレストのほんの一部を奈落に吸い込んだ黒い穴から黒い霧状のもやが大気に溶け出している。
あんなものを直接浴びたら死んじゃうのかも知んない。
「あれってなくなるのか?」
「小さなアビスならしばらくするとなくなるそうよ?」
「へー。
お前らくるな!」
アビスを尻目に接近してくるロックリザードに炎をぶっ放して追い払う。
巨大な樹木に隠れて天から黒い光の筋がアビスにつながっていたことにはみんな気づかなかった。
ユグドラシルフォレストを抜け出してもしばらく続いた追いかけっこ。
なんとか荒野を走り抜けてカントリーに帰ってこれた。
採集した資源がいくらで売れるか楽しみだ♪
☆次回<<< オレの心もウキウキしちゃう♪
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