やさしい炎のサーヴァント ~悲鳴の止まない異世界で、野花みたいな生き方を~
軽本かく
プロローグ 因果応報の業火
世界が燃えていた。
ここがどこかはわからない。
意識だけが空に浮いて、広大な世界を眺めている。
地上は溶岩のような濃度の炎に覆われていて、全ての命は終焉を迎えて朽ちる。
鳥も、獣も、人間も。
等しく灰塵と化していく。
こうなっている原因は、すぐに見当がついた。
「だれか――…………」
女の子の声が聞こえた。
天高く宙に立ち、大地を覆うの灼熱を生み出している少女がいる。
手に持つ剣の刀身から、尽きる事なく炎が流れ落ちていて。
「こんな……こんなつもりじゃなかったの……こんなつもりじゃ……!」
その声は、泣いているように聞こえた。
女の子の顔は見えない。
こちらに背を向けているから。
見えるのは、さざ波みたいに揺らめく深紅の髪だけだ。
だけど、女の子が悲しんでいる事だけは、何故かわかった。
女の子の中に潜む何かが、それを伝えてくれている。教えてくれている。
それを知り、慰めたくて声をかけようとするけれど、声が出ない。体がない。
だから願った。
あの子が苦しまないようにと。
胸の痛みが無くなったらいいのにと。
「だれ…………?」
その懸命な想いが届いたのか、女の子がこちらの存在を感じ取ったかのように辺りを見渡した。
そうして、叫ぶ。
「お願い……ッ! だれか、だれか私を――!」
女の子は必死になって、虚空に向かって訴える。
その顔がこちらに向けられる直前。
視界が暗転してしまって。
「お願いです……! この子を、助けてあげてください……!」
悲痛な声の懇願だけが、聞こえた。
世界が――絶望する少女が流す涙で、滅びていく。
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