第28話 結末
淳介の母に会ってから平は特攻隊員の死に意味を与えるため、そしてあのような悲劇を未来永劫繰り返させないため頑張っていた。
彼は「特攻隊記念館」を設立し、館長となり次の世代へと平和の大切さと特攻隊員のことを語り継いでいた。
そんな中、あるアメリカ人が平の元を訪ねる。
「こんにちは平館長。ある隊員についてお尋ねしたい。」
「よく来てくださいました。アークさん。その人形の持ち主のことですね。」
平はアークが持ってきた遺品を届けるために必死にさくらを探した。そしてアークがさくらに遺品を渡しに向かう前日。
「アークさん。こちらも持っていっていただきたい。」
アークは1枚の手紙を差し出す。
「平さんこれは?」
「貴方のいた空母に特攻したもう1人の隊員、淳介少尉が思い人に宛てた手紙だ。この手紙だけ届けられなかった。その思い人が行方不明でね。足取りが全く掴めない。」
アークは驚く。
「そんなことがあったのですか?」
「さくらさんなら、その子について知っているかもしれない。ずっと一緒にいたからね。この手紙はさくらさんにしか届けられない気がするんだ。一緒に渡してくれないか?」
アークは決意を固めた目で平を見つめる。
「はい、任せてください。淳介少尉の思いも必ず届けます。」
平は微笑んで言った。
「ありがとう。戦友(とも)よ。」
その後、玄弥の人形はさくらの元に届けられた。そして淳介が保乃に宛てた手紙も、長い年月を超えて、さくらが保乃に届けるのであった。
その後も時は流れて2010年7月末。
平は記念館の受付に立っていた。夏休みなので観光客が多く来館した。
「はあ、忙しいな。」
彼がため息をついた後に間をおかず入口の自動ドアが開く。
「なおき、早く行こう!」
高校生のカップルが来館した。平はその若い男女に基地にいた特攻隊員達と勤労学生達の姿を重ねた。
「ああ懐かしいな。」
昔の思い出と誰もが幸せに生きられるように変わった日本に平は思いを馳せていた。
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