4話 外の世界

 マールちゃんとのお勉強も終わって、自由時間になった。いつもはマールちゃんが側にいるが、今日は用事があるらしく何処かに行っちゃった。

 暇になった僕は窓の外を眺める。外には、庭をお掃除している人、剣術の訓練や魔法の訓練など様々な事をしている。僕はそれを羨ましそうに眺める。

 

 外に出てみたいなぁ。


 僕は、お城の外に出たことがない。だからこの窓から見える世界とお城の中が、僕の小さな世界。だから僕は外の世界の話が大好きだ。


「リンカちゃん」


 僕は誰も居ない部屋でそう呟く。


「何でしょうかアレク様?」


 すると突然目の前に黒い服を着た褐色の女性が登場する。この人はリンカちゃん。何処にいるのか分からないけど、いつも僕の側に居てくれる人だ。


「今日も外の話を聞いてもいい?」

「勿論ですよアレク様」


 リンカちゃんはそう言うと、僕はリンカちゃんの膝の上に座る。話を聞く時はいつもこのスタイル。


「それで今日は何を聞きたいですか?」

「今日はこの国の暮らしついて聞きたいな!」

「この国の暮らしですか…」


 リンカちゃんはおもむろに話だす。


「そうですね〜、アレク様が住んでいる所はお城という事はご存知ですよね?」

「うん!」

「このお城を中心にして円を描くように街並みが展開されて居ます。お城の近くには、貴族達が住む住宅があり、その外側に商店街、平民達が暮らす場所という順番で広がっていきます」

「商店街?それはどんな所?」

「商店街には、ご飯を食べる所や、お洋服を買ったりなど世界中の色々な物が集まっている所です」

「すごいね!いつか行ってみたいなぁ」

「そうですね…いつか連れて行ってあげたいです」


 リンカちゃんが悲しい顔をする。


「どうしたのリンカちゃん?」

「いえ…アレク様も外に出てみたいですよね…」

「外には出てみたいよ?だけど今僕が外に出ちゃうと、大変なんでしょう?」

「その通りです…」

「それは僕が男だから?」

「はい。アレク様が何も知らない民達の元に姿を表すと、誘拐など様々な事件に巻き込まれる可能性があります。女王フィス様はアレク様が大きくなった時に、人々に発表したいと仰っていました。それまでは、外に出られないかも知らないです…」

「それだったらしょうがないね!僕も我慢する」

「すみませんアレク様」

「リンカちゃんが謝る事じゃ無いんでしょ?」

「そうですね…」


 リンカちゃんは僕の頭に手を置いて、頭を撫でる。優しい手つきに気持ち良くなった僕は、眠くなってきた。

 

 リンカちゃんと僕は、窓から外の世界を眺める…

 

 いつか外の世界に出る事を夢みて…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る