📡第4章 第22話:地上戦 vs 空中戦
──空中戦(SNS)と地上戦(対面活動)の融合戦術の物語
「数字は動いてる。でも、“実感”が足りない」
颯太は、Skulinkのグラフを見つめながらつぶやいた。
「いいね」「拡散」「信頼ポイント」。確かに右肩上がりだ。
だが、実際の空気──廊下ですれ違う生徒たちの表情は、どこか他人事だった。
「空中戦だけじゃ、“顔”が思い浮かばないんだよな」
光理が言う。
「どんなに刺さる動画でも、どんなにバズっても──
“この人に任せたい”って思わせるには、リアルな接触が要る」
天野が頷く。
「つまり、“SNSの拡散力”と“地上の接触密度”を、どう組み合わせるかだね」
『御門陣営は、Skulinkによる空中戦を主軸とし、
登校時の挨拶・校内ポスターによる視覚刺激を限定的に実施しています。
対話戦術はオルクスにより最適化され、定型応答による処理です』
「つまり、御門は“見せること”は完璧だけど、“向き合うこと”はAI任せってわけか」
「なら、俺たちは逆を行こう」
颯太の目が、決意に満ちていた。
「Skulinkで広げて、顔を見てつなぐ。
空中戦と地上戦の“リレー”を組むんだ」
✅作戦名:「ヒューマン・リンク・ライン」
📱 空中戦
→ SNSで動画・投稿を流す。テーマは1日1つに絞る。
→ それに紐づけて、同日中に“地上で”そのテーマについて対話ブースや配布活動を行う。
🗣️ 地上戦
→ 教室前・部活帰り・昼休みなど、場所とタイミングをずらして、対面での“聞く活動”を実施。
→ SNSで関心を持った人が、実際に“話せる機会”を意識的に設ける。
📊 AI活用
→ メティスが分析したデータで、「どの話題が、どの層に響いたか」を地上戦にリアルタイムで反映。
「やっぱり、“会える候補”って、記憶に残るもんね」
天野が、缶バッジ配布で得た感触を思い返しながら言う。
「でも、やっぱ効率は悪いよ」
光理が懸念を挟む。
『地上戦は人的リソースを多く消費します。
物理的距離・時間制限・疲労リスク──合理性は低下します』
「でも、“人に会う”って、そんなもんだろ?」
颯太の言葉に、メティスが一瞬、沈黙した。
📲【Skulink速報】
▶ 陣内陣営:「昼の対話ブース」「放課後リプライ返し」同時展開開始
▶ 御門陣営:「第7回データ演説」公開
→ 各層の共感データに差異発生。高1女子・高3男子にて陣内の“応答型戦術”が優勢に。
その日の放課後。
部活帰りの生徒たちが、陣内チームの“質問カード”に次々と書き込んでいた。
「校則、もうちょい柔らかくなりませんか?」
「恋愛禁止って本当に意味あるんですか?」
「推薦枠って、どう決まってるんですか?」
「これ、全部“現場の声”だな」
紙を見ながら、颯太が笑った。
「数字じゃ見えねぇけど、ここにあるじゃん。“選挙”ってのはさ」
『データは予測を導きますが、“熱”は現場にしか存在しません』
「それ、名言かもしんねぇぞ、メティス」
SNSでつながり、顔で信じてもらい、言葉で共鳴し合う。
そのすべてが重なって──初めて“選ばれる”候補になれる。
それが、AIに最適化されきった御門陣営には、ない戦い方だった。
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