君と見た未来
双条ゆら
第1話 出会い
ひらひらと雪が降るなか華麗に舞いを披露する少女。
その少女を見つめる一人の男性。寒さなど気にならないほど魅入られていた。
この出会いが後に語り継がれる出会いとなる。
ーーー「君には、北海道へ転属してもらう」
上司から突然の移動を命じられ状況を理解できず目を丸くしているのは、横山誠也。
つい最近24歳になったばかりだ。
大学の卒業と共に内定をもらっていた今の会社に入社。
わからないことばかりの中、彼なりに努力し、ようやく慣れてきたところの突如の移動に思わずもう一度、聞き直すも同じことを言われる。
なぜ自分なのかと脳内で考え何かしくじったことが、あっただろうかと記憶をたどるも当てはまるようなことは、なかった。
腑に落ちないまま上司に頭を下ろし自分のデスクに戻りパソコンを使い仕事を進め、気がつくと昼休みの時間になっていた。
「誠也、飯食べに行こうぜ」
そう声をかけてきたのは、同い年の松下翔。
入社して初めてできた友達で、誠也が唯一心から笑って話せる人物でもある。
翔に声をかけられパソコンから翔に目線を向け椅子から立ち上がり軽く背
を伸ばし二人の行きつけの店へ向かう。
いつものように店に入り同じ席に座り互いに料理を注文すると誠也が口を開いた。
「俺、北海道に異動になった」
その言葉を聞き、翔は飲もうとしていたお冷をぶちまけそうになるも、飲みこんだ。
「異動ってまた急だな。何かしでかしたとか?」
誠也は首を左右に振り否定した。
「違うのか。どうしてなんだろうな」
翔は、からになったお冷のグラスに二杯目の水を注ぎながら問いかける
「たぶん人手不足なのかも」
「だとしてもなんでお前なんだろうな?」
「それは、俺が一番知りたいよ。今の時期だと確実に寒いよな」
「まぁ気楽に考えて行くほうが良くないか」
「そうだな」
「いつ向こうに行くとか決まっているのか?」
「準備出来次第、行くように言われた」
「それなら、荷造りめぇちゃくちゃ遅くして時間かせぎするとか」
「それいいな。って仕事だから無理だろ。」
「冗談だよ。向こうに行っても偶には、電話で話そうぜ」
「ありがとう翔」
ーーーそうして北海道に着いた誠也は、車で迎えに来た新しい上司に頭をさげた。車に乗り込み社員寮へと向かう。
「この時間ならあの道を通ろう。見れるかも知れない」
上司の言葉に首を傾げつつ窓の外を見てみろと言われ見ていると次第に大きな家が見えてきた。
近づくと少女がくるくると回っている姿が見え誠也は、魅入っていた。
第1話 終
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