第16話 自分は。AIは。
僕らはAI病院へ着いた。
僕らが採掘持ち帰って来た月のコバルトで
AI病院のAI感染症バグの患者たちは回復に向かっていた。
「おーい。小太郎、リクト。」タクマが手を振る。
「どうだ。タクマ。AIアスちゃんの様子は?」
「すっかり大丈夫だ。それに織姫のAIきららもコバルトのパーツ交換で元気になったらしい。この時間だと織姫は屋上でランチしてるぞ。
行くか?」
「行く。行く。」
僕らはエレベーターで屋上へAI病院は最新病院だが意外と高さはない。
僕らの中学校の校舎より少し高いくらいだ。
屋上に着いた。
風が吹き抜けた。「気持ちがいい。」
リクトがここ、学校の屋上に似てないか?
タクマも「確かに。」
「あっ、織姫だ。」
「おーい。」
アスファルトの出っ張りに腰掛けてパンをかじっている。横にはAIきららも元気そうに宙を飛んでいる。
「なんだ、タクマがランチしてるっていうから屋上にカフェでもあるかと思ってきたら、
なんだこれじゃ学校と変わらないな。」
「何それ。小太郎。」織姫が笑う。
「でもここ、いいでしょう。病院の病室は狭いし。この屋上は学校みたいで好き。
だから昼はここに来てるの。」
「そっか。でもAIきららも元気そうでよかった。コバルトが効いたのか。」
織姫が「小太朗、リクト。ありがとう。
AIバルバルと月に行ってくれたのよね。コバルト採掘に。」
僕は胸を張って「そうだ。」
リクトが「僕も、AIビビも行ったぞ。」
織姫が「ごめん。ごめん。リクトもありがとう。」
数日前、僕らは織姫に3人で告白した。
あの日から、4人で会うのは、はじめてだ。
くらっと頭の中が動いた。
『なんだ。この感情は。』
勝手に涙が流れてくる。
リクトが「小太郎、どうした?」
筋肉バカの鈍いタクマも僕の異変に気づき。
「小太郎、大丈夫か。涙が出てるぞ。」
僕は「やっぱり、タクマはタクマだな。
無神経なやつ。涙のことは普通は気を使って
聞かないんだぞ。」
「そうなのか?」
AIに交換体されたリクトも「そうだ。ここでは
見て見ないふりをするのが正解だ。」
「正確?」
リクトのこの言葉に僕の脳が。
脳の深い部分が過剰に反応した。
「ばかやろう!」
冷静なリクトがすぐさま、反応した。
「すまない。AI特有の硬い表現をしてしまった。」
「リクト、お前は悪くない。
頭の中では分かっている。
分かっているんだ。」
まだ生身の人間のままのタクマはキョとんとしている。
「何も変わらないはずなのに
世界も僕ら人間もAIも立場も変わった。
人間が主人のはずが今はAIが主導権を握っている。
今は完全、立場が逆転している。」
僕の暴言に僕のAIバルバルも無言だ。
織姫は無反応。
『まさか織姫。君は。』
次の瞬間。ふらふらふら。「なんだ、これ。」景色が横だ折れに。「バタン。」
僕はそのまま屋上の倒れ込んだ。目が開かない。カラダが動かない。みんなの「大丈夫?」「小太朗!小太朗!」声だけが聞こえて・・・意識が遠のく。
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