後悔+商会→奴隷購入!


何故かクリアしたゲームのラスボス、ルシャーナ・ヴァングロスとなってしまった俺は、ラスボスとして勇者から討伐されるのを避けるため魔術を使い、女の人になるはずが、間違えて女の子になってしまった!?

この世界で、勇者にラスボスだとバレないようこの世界で楽しく旅する事を決意した訳なんだけど………どうやってあの門を抜けるんだろうか。

門の前に並ぶ列に加わりながら、列の向こうを見ると門の前に立つ鎧を着て槍を持った門番らしき人達に、他の人達が何かを見せてから町の中へと入っていくのが見えた。

ゲームだと特に何のイベントもなく町内のマップに移動できたけど、今の私は主人公じゃないし目の前の光景もゲームじゃない。

やっぱり通行許可証とかいるのかな?

テンプレなら冒険者カードとか、ステータスが描かれたカードとかを作る展開が多いけど。その場合、果たしてどちらの私のステータスが出るんだろうか?ルシナとしてのステータスか、ルシャーナとしてのステータスなのか……。

そういえばこの世界のお金を使うことになったらいくら渡せば良いか分からない……と言うか覚えてるわけない。


「ねぇウィズ」


一応、独り言とか変な子だと思われないようにリングモードのブラスターロッドを口許に近付けて小声で話しかける。


『何でしょうか、マスター』


「門でお金を払うときに、払う分の硬貨をバックから取り出せるようにしておいて貰える?」


『お任せください』


ふぅ、取りあえずこれで大丈夫かな。

確かゲームだと日本と同じように1000とかで数えてたから、金貨とか銀貨みたいに分かれてない筈だ。えっと確か硬貨の名前は…ユニンだっけ?

町に入る為のお金?は準備出来た、それにしても……。

列に並んでいる沢山の人達を眺める、鎧を身に付け剣を腰に差している者や杖を持った魔術師らしき人や、止めて長い耳を持つエルフと思われる人や腰にしっぽ、頭に獣耳を生やした獣人。

下手なコスプレでも何でもなく、本物の獣人やエルフが目の前にいる。その事実に感動していると、俺の番がやって来た。


「ん?……お嬢ちゃん親はどうした」


鎧と槍を持った門番の30代くらいのおじさんの反応に思わず頭を傾げそうになったが、今の俺は幼い少女、つまりは完全に子供として見られてる事を理解した。


「いない、一人で旅してるから!」


「そ、そうなのか……とりあえずお嬢ちゃん、入国料は3000ユニンが必要だ、冒険者カードがあるなら1000ユニンになるぞ」


元気よく答えると、最初こそ驚いたのか目を見開くおじさんだが、すぐに元の表情へ戻り門を通る方法を説明してくれた。

ふむふむ、冒険者カードを持っていると入国料が三分の一ほど安くなるのか。

早くもめっちゃ損してるような気がする……まぁ、あったとしてもルシナではなくルシャーナとしてのカードしか出て来なさそうだけど。


「冒険者カードは持ってないから、3000ユニンだね」


「おう」


うーん、今後の事を考えるならゲームでもよくお世話になったギルドで登録しておいた方が良さそうだ。それにしてもカードの発行って何処で出来るのかな?

ストーリー序盤に冒険者ギルド、集会所的な場所とかで作れる筈なんだけど……一応聞いてみるか。


「冒険者カードって何処で作って貰えるの?そろそろ身分証作っておこうかなって」


「それなら、この門を出てまっすぐ行ったところに冒険者ギルドがある。そこで発効して貰えば良いぞ、ちなみに発行料は1000ユニンな」


マジカル☆バック天使の翼の蓋を開いてバックの中へと手を入れユニンを取り出すふりをしながら質問をすると、おじさんはすぐに教えてくれた。


「なるほど!ありがとうございまーす、はい3000ユニン」


そう言いながらウィズに取り出して貰った硬貨をおじさんに手渡す。


「確かに貰ったぜ、へようこそ。じゃあな、お嬢ちゃん」


「うん、ありがとう。じゃ……へ?」


町に入った瞬間に、おじさんが放った一言。

聞こえたビギング王国と言う単語に思わず立ち止まった。

ビギング王国、それはプレイしていたゲーム【Light Up The darkness】シリーズの最初に探索する国だ。この国が存在する大陸、トゥルーアス大陸の中央に位置する国であり、ビギング王族が統治する国。

ゲームの説明としては他の国から特産品や武具などの品が流通する事から、通称商人の国と呼ばれている。

実際にゲームでは日替わりで様々な商品が出荷される市場や、様々なアイテムが揃う店などゲームしたどの町よりアイテムショップがあった。

必要なアイテムの買い物するならまずここにきたっけ、あれ?ここがビギング王国だとしたなら、時系列的に今が何処なのかは分からないが、主人公である勇者が召喚される国で間違いは無い。

背筋に冷たい汗が流れる、もしアニメや漫画なら私はダラダラと冷や汗をかいていることだろう。

ゲームではルシャーナの屋敷は実はビギング王国の近くにあることが最後に明かされて最終決戦に望む。なんでそんな重要なことを忘れていたんだ私!?


「うぅ、私のへっぽこぉ!!」


そんな言葉を呟くと当然、一目が集まってくる訳で。即座に周りの人に何にも無いですよーといった風にして道の端っこに移動してから考えるのを再開する。

どうする?態々3000ユニンを掛けてまで入国したのにすぐに出ていく?それだと流石に3000ユニンが勿体無い。異世界で最初に来たおっきな町だから観光したかったけど早めにこの国を出た方が良いのかもしれない。

仕方ない、取りあえず冒険者カードの発効だけでもして貰おうかな。


「はぁ、折角最初の町を見たかったのに」


そう呟きながらとぼとぼとおじさんの言っていた通り門から続く正面の道をひたすら進んでいく。

流石はゲームの世界だ。

目に入るもの全てが新しい、何の肉か分からないが美味しそうな串焼きや装飾の露店。

道ですれ違う珍しい髪色の人間に獣人やエルフ、ドワーフと言った武装した人々。

あぁ、道をただ歩くだけなのに凄く楽しい!あれ?そういえばこの世界、正確にはゲームの世界の文字知らないけど全部、何て書いてあるのか分かる。

もしかしてルシャーナの体だから?でも私はルシャーナの記憶までは引き継いでないし……うーん不思議だ。でもまぁ読めなくて不便よりは聞けて読める方が良いし気にしなくても良いかな。

ゲームのマップを頼りに暫く歩いていると、大きな看板に冒険者ギルドと描かれている大きな建物を見付けた。


「ここだよね……」


剣と斧が描かれた看板に入り口らしき大きな門、ゲームでもこんなのだったし間違いないだろう。

建物から聞こえてくる賑やかな声に本当にゲームの世界に来たことを実感する。

アニメや漫画でみてきた異世界テンプレなギルドにワクワクが止まらない。

ゲームでは最初にこの冒険者ギルドで身分証をゲットしてから、レベルをあげるために暫くは冒険者として魔獣、ゴブリンやコボルトといった定番モンスターを倒す依頼を倒してレベル上げをしたっけ。

ゲームの通りだとしたら、このギルドは何らかの形で依頼を受けると同時に酒場的な場所でもあるはずだ。世紀末な奴らとか、初心者キラーとかは最初に戦って倒す筈、まぁ今がゲームのどのタイミングなのかわからないけど勇者が居ないことを願いたい。

まぁ、それも込みでこの場所で聞けばいいだろう。そう思いながら門の右側の扉に手を掛ける、別に依頼を受ける訳ではない、用事はカード発効だけだ。

うん、幸いにして今の俺はとびきりの美少女だ。笑顔を振り撒きながら入れば特に絡まれる要素なんて何処にもないはず。


「こんにち──」


「うわぁぁぁぁあ!?」


そう覚悟を決めて扉を押して中に入った瞬間に、私のすぐに横。左側の扉を壊す勢いで何かが飛んできてそのまま外へと飛び出していった。

思わず笑顔のまま固まってしまい、ギギギと言った擬音がしそうなほどに固まった体を動かして飛んで言った何かを確認する。

そこには地面に仰向けで倒れる軽装を身に付けた高校生くらいの軽装の鎧を身に付けた少年がいた。


「ひぇ……」


ルシナ、冒険者ギルド怖い………。

私にとっての冒険者ギルドの印象はゲームよりではなく、突然冒険者が吹っ飛んでくる場所と言う印象が生まれた。あれ?これ印象じゃなくてトラウマじゃね?

と言うかあの人、吹っ飛んで来てから全然起きてこない!?ど、どうしよう………これ見て見ぬふりして入っても良いのかな?それともあの人に回復系の魔術とか掛けてあげた方が良いのかな!?


「ね、ねぇ、ウィズ?回復系の魔術ってこの場合は何がいいの?流石にあの人が心配と言うか……アルティマヒーラとかは使えたら可笑しいよね!?」


というのもこのゲームで回復魔術は低い物からヒーラ、ヒーライズ、アルティマヒーラがある。

ヒーラはゲームの体力ゲージを200にして例えるなら20回復。ヒーライズは50回復、最後にアルティマヒーラは100回復する事が出来る。

ちなみに低い順から覚えていかなければアルティマヒーラは覚えられない。

ちなみにヒーラの派生としては毒を回復することが出来るポイズンヒーラ、麻痺を回復することが出来るエレキヒーラ、他にも睡眠状態や混乱状態を治す様々なヒーラが存在する。

そしてそれら全ての状態異常を回復できるヒーラを習得した事で使えるようになるのが、すべての状態異常を回復することが出来るヒーラマイティだ。

ちなみにゲームでは指定した範囲を回復、つまりは指定した広範囲を回復することが出来るフィールドヒーラ、そして更に広範囲かつ高い回復力を誇るのがフィールドヒーライズだ。

ちなみに、ゲームではアルティマヒーラを覚えている仲間のNPCは少なく教会の神官や高ランクの冒険者、そしてでランダムで入手出来るNPCぐらいしかいないのだ。

つまり、こんな幼い少女が使えたらまず可笑しい……筈だ。


『優しいのですね、マスター。あの程度でしたらヒーラがオススメです。ヒーラは一番の低い回復魔術ですが相手の軽い切り傷や打撲、腫れを癒す効果を持っています』


「ありがとうウィズ!」


早速、目を回して倒れている男の子の近くに小走りで向かい地面に膝を付いてから右腕を少年へと翳す。


「ヒーラ」


即座に掌に中央に十字架らしきものが描かれた魔方陣が浮かび上がり優しい光を放ち始めた。光を少年へと向けて暫く翳していると突如として魔方陣が消えた。見ると先程まで苦しそうにしていた男の子の顔が若干和らいでいる気がする。

恐らくはヒーラの効果が終わった、つまりは無事治す事が出来たのだろう。今の状況を客観的に見れば、アニメのワンシーンだ。

カッコいい系ではなく可愛い系の見た目の少年を私が治療する、ヒロインと主人公の出会いっぽいけど私からすれば救急救命、救急隊員密着24時とそんな感じだ。


「うぅ……」


そんなことを思っていると、呻き声と共に男の子が目を覚ました。


「だ、大丈夫?」


念のためヒーラはしたが、使うのは始めてだ。

ちゃんと魔術を使えたのか分からないし、ヒーラでは治らなかった可能性もある。

そこからくる心配でそう質問する、魔術王のヒーラだし、治らない方が可笑しい気がするが念のためだ。


「うぇ!?あ、うん……」


顔を覗き込む形だったが、少年はそう返事をしながら即座に体を起こす。アニメならばヒロインのおでことゴッツンコ!といった感じだが私は元男、それにラスボスだ。即座に体を引いて彼の頭との衝突を避ける。

だが、起きてから少年は何故か私の方を向かずに別の方を向いて頬を指でかいている。

流石に今ので惚れるような事はないだろう、どんなラブコメだよまったく。

でもそんなはっきり顔を背けられるとルシナたんは若干傷付くと言いますか……まぁ、助かったならいっかな、大丈夫そうだし。


「それじゃ、私は行くから」


そう言いながら立ち上がって改めて冒険者ギルドへと向かう、向かう途中で凄く美少女な二人組とすれ違った。結構焦った感じで走ってたけど、どうしたんだろ?

冒険者ギルドのドアを押して入る、中はさっきまで聞こえてきた賑やかな声とは反対で静かな感じになっていた……え、入りずら。

取り敢えずゲームと同じように部屋の奥に受付らしき場所がありそこには恐らくは人間のお姉さんが立っている。

耳は髪に隠れて見えないからたぶん人間だけど、エルフとかじゃないですよね?お姉さんの座る場所の奥ではギルドの職員さん?らしき人達が書類を捌いている様子が見える。

うむ、ゲームと同じだ。そんな感想を浮かべつつ受付らしき場所に向かう、向かったのだが幼女化したせいか身長が低くて机に手が届かない。


「うんしょっ!よいっしょっ!ほいさっ!」


軽く何度かジャンプしてみるが、全くテーブルの上に届く様子がない。クッ!ここで早くと女体化?の弊害が現れるとは……と言うか周り!凄く暖かい目線を向けるな!そこのモヒカンとボウズ頭!何故胸を押さえてる!?その成りで子供好きか貴様ー!?そこ女の魔術使い!私を見て癒されるな中身男だぞコラァ!!ラスボスなんだぞ!?スッゴク強いし怖いんだぞぉ!!


「ぐぬぬぬぬ」


どうにかして受付のお姉さんに話し掛けようと四苦八苦していると、受付の端っこからギルドの職員さんが出てきてくれた。しゃがんで目線を会わせると安心させるように笑う。

心の中は申し訳なさでいっぱいです、ありがとうございますお姉さん。


「えっと、お嬢ちゃんはどうしたのかな?もしかしてお母さんかお父さん探しに来たとか」


うん、しゃがみこんでいることで私を見た目通りの年と見ていることが解った……まあそうですよね。それが普通ですよね、と言うかそんなに目を合わせてじっと見られると話しにくいんですけど……。


「そのぉ、冒険者カードの発効をお願いしたいんですけど……」


気まずさに思わず視線をそらしながらそう言うとお姉さんは驚いた様子で目を見開いた。


「ぼ、冒険者カードの登録!?ね、ねぇお嬢ちゃん!お嬢ちゃんの年だと冒険者としての活動は少し難しいと言うか、ね?そうだ保護者の方は何処かにいないかな?!」


お姉さんの反応を見る限り、冒険者カードの発効と言うよりは冒険者になるのって年齢制限とかあったりするのかな?

別に発効だけなら依頼を受けることもないし、身分証に使うだけなら大丈夫だと思うけど。


「いないよ、私は一人で旅してるから」


「ひっ、一人!?お嬢ちゃんみたいな可愛い子供が一人で!?」


「そ、そんなに驚くことなの?」


驚愕の声を上げる受付お姉さんに思わず素の言葉が出る。アニメだったら衝撃のあまりに背後で雷がなってそうな程の驚きっぷりだ。

と言うか、門番のおじさんは別に構わんって感じで接してくれてたから私の容姿、幼い子でも旅とかしてるのだと思ってた。

某電子獣をゲットだぜするゲームは十歳とかそこらで旅に出るわけだし、ゲームの世界のキャラの年齢とか覚えてない。

この年でも旅してる子とかいそうだと思ってたけど違うのかな?


「身分証にも使いたくて」


「そ、そうなのね!わ、分かったわ。ちょっと待ってて頂戴ね!」


そう言いながらお姉さんは受付中の奥の方に向かうと一枚の紙を持ってきて、受付の机に紙を置いて羽ペンを手に取った。


「えっと、まずお名前を教えてくれる?」


あれ?もしかして私が書くんじゃなくてお姉さんが書いてくれる感じ?確かにこの世界の文字は読めるけど書き方は分からないし、助かるからいいのか?


「私はルシナ・ヴァンゲイン!」


「ルシナ・ヴァンゲインちゃんね」


そういいながら受付のお姉さんは紙、恐らくは冒険者登録書に羽ペンを走らせる。

それにしても、ゲームでは一瞬で終わったけど現実となるとやはり時間はかかる。

異世界転生系のラノベなら水晶とかで魔力を測定したり、鑑定とかステータスオープンとかで出てきた情報を見たりして記入するんだろうけど。

まぁ、こうして書類に書くだけならラスボスであるルシャーナだとバレないし助かるのは間違いないんだけど。


「えぇと、冒険者として依頼を受ける際に使う武器を教えて貰えるかしら?」


「へぇ、なら私は魔術使いだから杖だね!記入よろしくね、お姉さん♪」


折角のゲームの世界だ、冒険者として依頼も受けられる様にしとかなきゃ損だよね!そう思いながら返事をしつつ、ウィズに頼んでおいたユニンを取り出すためにマジカル☆バックへと手を入れると即座に掌に恐らくは必要な分と思われる硬貨が握られていた。


「ところでルナちゃん、カードの発効は早くても1日掛かるの。だからまた明日ここに来て頂戴、発効料は明日カードを渡すときに貰うわ」


おうふ、1日も掛かるのですか………なんかラノベみたいにすぐに渡されるのとは違うんだね。そこだけやけに現実より。

早めに勇者のいるであろうこの国を出ないといけないって思っていたんだけどなぁ。

でも、流石に女体化して更には子供にもなってるわけだしそう簡単にバレたりはしないよね?なら数日ぐらいは大丈夫かな。


「分かりました!あ、お姉さん近くに良い宿屋とかってありませんか?」


「それなら確か──」


お姉さんに近くの宿屋を聞くと、安くて良いお店を教えて貰えた。取り敢えず道はウィズに覚えて貰ったので問題ない。


「ありがとうございましたー!」


そう言いながら冒険者ギルドを出てから少し歩く。それにしても、私はこの世界に関しての知識が無さすぎる。まぁ、ゲームでしかこの世界を知らなかった訳だし、更に言えば一回しかクリアしてない訳。

それに考えてみれば私はこの体に成ってから、様々な事を経験していない。元男としては死活問題である女性としてのトイレ問題やこの世界の常識等、知りたい事は盛りだくさんだ。

その解決案として浮かんだのは、異世界のテンプレである奴隷の購入だ。

この世界には奴隷制度が存在する、ゲームでは奴隷は詳しく描写されていないが、ラノベでよく読むようなアレと同じだろう。

ゲームで書かれた説明文から分かったのは売られている奴隷のほとんどが罪を犯したか、金銭問題で両親売られたかと言う事だ。

ネットで見た【Light Up The darkness】のクリア後のゲーム要素の一つとして奴隷の育成がある。自身のパーティーメンバーとして奴隷を買って育成すると言う物だが、自分の育成次第では魔術特化や近接戦闘特化、万能に育成するなど様々な事でパーティーメンバーを作る事が出来る。

幸い、今の私はお金持ちに近い存在になる可能性があるだけだ。

ルシャーナスペックなら冒険者としても優秀だろうし、そもそもルシャーナの持ってた宝石とか売ればもうお金持ちルート確定である。

奴隷を買ってこの世界の常識や女の体での生活について教えて貰ってお世話をして貰おう。

旅するなら奴隷で可愛い子とかと一緒の方が絶対楽しい、獣人でモフモフなら更によし!

画面で見る限りは本当に色々いたからなぁ、犬に狐に狼と色んな獣人がいたのは恐らくは製作陣の拘りだろう、うん性癖もあると思うけど。

まず宿をとってその後にでも………ってそもそも私、奴隷の売られてる場所分からないんだった。

奴隷はまた今度か、取りあえずバックに入れてきた装飾とか売らないと、いくらにかるのかわからないし、まずは売れてからかな。

いくらかわからないけど硬貨はかなりあった筈だし早めにお金は得ておきたい。

取り敢えずここ数日の目標として最優先は、明日の冒険者カードの受け取り。

次に宝物庫にあった宝石や装飾品の売却、そして常識や女性としての生活を教えてくれる奴隷の購入だ。

これらを早めに達成してこの国を出るのが目標だ。取り敢えず、今は場所が分かってる宿の予約、と言うか部屋だけでもとっておかないとね。


「ウィズ、ナビゲートよろしくぅ!」


『オフコース、完璧なナビゲートをお約束します』


ギルドのお姉さんに教えて貰った宿屋への道を暫く道を歩いているとベットの絵が描かれた看板が付いた建物があった。たぶん、あそこが宿屋なのかな?

早速店の中に入ると、受付らしき広い部屋に付いた。受付には、30代くらいのふくよかなおばさんが立っていた。


「いらっしゃい、おや?お嬢ちゃん一人かい?」


「そうです、数日の間泊まりたいんですけど」


「うちは一泊6000ユニンだよ」


6000ユニン、今私のマジカル☆バックに入ってるユニンは……うん、払えるね。数日、取りあえず3日以内に色々と準備して国を出たいかな。


「今日と明日、二泊3日分お願いします!」


そう言いながらウィズに用意して貰った額をバックから取り出して払う。これで手持ちのお金はなくなっちゃったな、うーんラスボスにしては溜め込んでる硬貨少なくない?


「毎度、食事は500ユニン払ってくれれば付けるから欲しかったら言っておくれ。部屋は2階の一番奥ね」


しょ、食事代すら払えないなんて……気持ちを切り帰ろう。部屋は一番奥か、それなら外の部屋と間違えなくて済むし分かりやすい。

そう思いながらおばさんから鍵を貰い、ローブのポケットにしまう。

そうだ、このおばさんだったら宝石とか売れる所とか、奴隷の売られてる場所とか教えて貰えるかも。


「ありがとうございます、所でこの近くで装飾品とか宝石とか売れる場所って知りませんか?」


ゲームだと道具屋や武具屋とかはあったけどあくまでも武器屋表示で店の名前は出てなかったから分からないんだよね。


「え?そうだねぇ、それならサラスティ商会とかどうだい?」


「サラスティ商会?」


「知らないかい?この国で必ず名前の上がる商人の店さ。そこなら商品の値段をでっち上げられたり、安く売るなんて事はないはずだよ」


それなら助かる!町の人からの評価が高そうだし信用できそう、旅の軍資金は多ければ多いほど良いからね。


「なるほど、そこは何処にあるの?」


「あぁ、それなら───」


おばさんから商店の場所を聞き、早速宿屋を出る。地図はウィズが覚えてくれているから、帰り道は安心だ。

それに、おばさんの話を聞く限りサラスティ商会はこの国で名の上がる程に有名な商会だ。


「ありがとうございます!早速いってくる!」


「おやおや、元気な子だねぇ」


だとしたら、奴隷も購入出来る場所を紹介して貰えるかもしれない。早速宿屋を出ておばさんの話の通りに街道を歩いているとギルドと同じくらいの大きな建物があり、縦書きでサラスティ商会と書かれている立派な看板があった。

どうやら、ここがおばさんの言っていたサラスティ商会で間違いさ無さそうだ。


『私の完璧なナビゲートですよ、サラスティ商会はこの場で間違いありません』


「まぁ、見た感じ間違えて無さそうだしお店もやってるみたいだね。定休日とかじゃなくて良かったぁ……」


早速お店に入って装飾品の売却しないと、そう思いながら店に入った。中にはスーパーくらい広い部屋が広がっており沢山の商品と、商品を見るお客さんで溢れていた。


「なんか、デパートとかコミケみたいなレベルで人がいる……」


『デパート?コミケ?それは何ですか』


「アハハ、この世界には無いから気にしないで」


前世でこんな人の量を見たのは限定セールとかのあるスーパーや商店街のお店ぐらいだ。

ウィズからの質問を誤魔化しつつ周囲を見回して店員らしき人を探す。個人的には声を掛けやすい人は在庫をチェックしてたり、商品に触れているような人だ。

問題は、どの人がサラスティ商会の店の人なのか分からないことだ。

取りあえず少し歩きながら商品を見て回る、流石はゲームの世界だ。ゲームで見たアイテムが所々に見える、それにゲームでは見なかった色々な商品が売られていてとても気になる!


「おっとと、危うく目的を忘れる所だった。店員さん店員さん……お!」


少し歩いた先で手に持った紙と商品を見て何やら書いている人がいる、恐らくあの人が店員さんなのだろうか?

とにかく話しかけなきゃ始まらないし、話しかけてみよっと。もし違ったら謝れば、絡まれないよね?


「すいません、ここの従業員……サラスティ商会の人ですか?」


まるで執事が来ているような服を来ている四十代くらいの白髪の男性は一度書く手を止めるとゆっくりと振り返る。一瞬、驚いた表情を浮かべたものの、即座に穏やかな笑みを浮かべて私の目線にしゃがみこんでくれた。

この人、いい人だ!!子供と話すときに子供の視点で話せるようしゃがみこんでくれるなんて良い人しかいないよね!


「そうですがお嬢様は、どちらのお連れ様でしょうか?」


「ううん、私一人だよ」


「おや、そうでしたか。サラスティ商会にようこそお出で下さいましたお嬢様、本日はどのようなご用で?」


この人、迷子だと思わないのかな?普通ならこんな商会に幼女一人とか絶対に怪しまれそうだけど、まぁ良いか。

なんか、こういうザ・執事のような人からのお嬢様って呼ばれるとなんか本当にお嬢様になったような感じがして変な感じ。


「実は、装飾品とか宝石とか……とにかく色々と買い取って欲しいの」


「色々ですか?では、少し移動しましょうか。此方では人が多いでしょうし、私の後を付いてきてください。」


「はい」


紳士!圧倒的紳士!!

幼女をお店に迷い混んだ子供扱いせずに一お客様として見るなんて、こんなジェントルマン始めて見たよ…。

おじさんに着いていくと、個室らしきソファとテーブルのある部屋に通された。しかも結構豪華な部屋……子供の容姿をしている私を相手にするには少し、いや凄い場違いな気がするよ。

向かい合う形でソファに座らせられ、更にはメイドさんが現れてお茶の入ったティーカップを私とおじさんの手前に置いてすぐに退室していった。

始めて見たメイドさんに思わず目を輝かせてしまっていた気がする。

まぁ、前世からメイドさんとは縁がない生活だったしね。メイド喫茶とか恥ずかしくて行けなかったし……さて、取り敢えず商談をしないとね。

取り敢えず礼儀としてお茶を一口飲んでからソーサーにカップを戻す。

緑茶系じゃなくて、やっぱり紅茶系な味だ。 市販のミルクティーやレモンティーを飲むことがあっても、ストレートで飲むようなことは少なかった身としては少しだけ味気なく感じてしまう。


「まず、売りたいとおっしゃっていた品を拝見します」


「えっとね……取り敢えずこれで」


マジカル☆バックに手を入れて宝石と思われるもの達が入っていた箱の中でも一番小さな箱をを取り出す。小さな物と言っても、ランドセル位の大きさなんだけどね。


「ほう、お嬢様はマジックバックをお持ちでしたか。それもそのような大きな物でも入るとは……素晴らしい物をお持ちですね」


「ま、まぁね……」


そう言いながら箱をテーブルの上に置いて蓋を開ける。うん、宝物庫でも思ったけどずっとキラキラしてて元庶民の俺としては早く手放したい、いつ襲われるか心配なのだ、あとお金にしたい。


「なるほど、少々お時間を頂けますかな?」


「だ、大丈夫です!」


「それでは、少し此方をお預かりしますね」


そう言ってジェントルマンなおじさんが箱を持って部屋の外へと向かうと、外に待機していたらしきメイドさんに箱を渡した。

メイドさんは少し重そうな様子を見せつつも箱をしっかりと持って扉の向こうへと消えていった。


「この中の宝石類の鑑定し買取額の査定を」


「了解いたしました」


そう言ってメイドさんが此方にも一礼して離れていくのを見送るとジェントルマンなおじさんは此方へと戻ってきて椅子に座った。


「ところでお嬢様は、貴族の方でいらっしゃいますか?」


「違いますけど、なんで?」


カップのお茶を飲みながら返事を返す。

私が貴族?ないない、ルシャーナになったとはいえ貴族らしい経験なんて全くないし、動作だって普通だ。


「とても美しくお嬢様にあった素晴らしい配色の服装をしていらっしゃいますし、あのような高価な宝石類を多く所持しているものですから、私は貴族様のご令嬢では、と。もしご不快に成られましたのなら謝罪いたします」


「い、いえいえ!私は全然大丈夫です」


あはは、よく考えてみれば私の今着てるニチアサ魔法少女風のドレスってかなり派手だし、勘違いされても仕方ないのかな?

そう思いながらまたカップのお茶を飲む、こういう場所って慣れないから緊張するな。


「そういえば、お聞きしたいんですけどサラスティ商会ってどんな物をお売りしてるんですか?」


「我が商会では冒険者様向けの防具や武具から、食材に服や奴隷等、全てとは言いませんが様々な商品を手広く取り扱っています」


へぇ、とにかく色々と取り扱ってる感じなのか。取り敢えずさっきの宝石でもし軍資金が足りないようなら、他の物も売って大丈夫そうだね。


ってあれ?さっきの言葉の中に奴隷って言ってたよね?


「あの、奴隷も売ってるんですか?」


「はい、取り扱っております」


なるほど、これはラッキー!ならここで買うのもありかも。お客さんとの対応も丁寧だし、値段もしっかりと相場で売ってくれそうだし。


「あの、実は奴隷の購入を考えてて」


「そうでしたか。それでしたら、鑑定が終わるまで奴隷を見に行きますかな?」


「いいんですか?」


「はい、査定にはもう暫くかかるかと思われますので」


そう言って笑顔で立ち上がるジェントルマンなおじさんに続いて立ち上がり部屋を出ておじさんに着いていくと、下へと続く階段があった。


「この下が奴隷の販売場となります、足元をお気を付け下さい」


この体になってからの高い階段、前の体……と言うか前世なら普通に下がれたんだろうけど、この幼い体だと少し高い感じだ。

取り敢えず片足ずつ手すりに捕まって階段を降りる。くっこんなところにも幼女化の弊害があるとは………。

そんなこんなで無事階段を降りきると、ランタンに照らされた1つの扉があった。おじさんが扉を開き、入るよう扉を押さえてくれてるのでお礼を言いながら速足で部屋に入る。

入った瞬間に目に入ったのは、ズラリと並ぶ鉄らしき物で作られた檻と檻に入ったボロボロの簡易な服を着た人達だった。

人の他にも、エルフらしき長い耳の女性やドワーフ、そして様々な獣耳と尻尾を生やした獣人がそれぞれの小屋に入れられている。

私の他にもたくさんの人が檻の中の奴隷らしき人達を眺め店の人らしき人から説明を受けているのが見えた。


「すごい」


中には買われようとしているのか、男性の奴隷は体を来ている上着を脱いで筋肉を見せつけていたり、筋トレをしている。女性の奴隷は蠱惑的なポーズを取ったり、たわわに育ったその胸を見せつけるような行動を取っている。

なんか、やっぱり人を売買する場所に買う側で来たって考えると少しだけ変な感じだ。


「お嬢様、希望の奴隷の見た目等をお教え頂けますかな?」


「うーんとね…」


うーん、せっかくのゲーム世界だしここは王道の獣人……いやいやドワーフやエルフだって捨てがたい。でも今の私の性格や容姿を考えるなら、男は止めといた方が良いかなぁ。

そんなことを考えていると、ふと少し先の檻の中の男性達と目があった。

おい、そこのマッチョ、こっち見るなウインクするなマッスルポーズを取るなぁ!?パワー!で脳内再生されるだろうが!!ロリコンか貴様ぁ!!買わんぞ私は!!

取り敢えずマッチョな人から目を剃らしつつ、あの人に聞こえないよう口を開いた。


「獣人で、私と同じくらいの年の女の子かな」


実は、ゲームをプレイしていた頃にちょっとだけ後悔したことがあった。それは友人からの攻略アドバイスを受けて奴隷の購入をした際に、そのアドバイス通りに奴隷を選んだ為に、買えなかった奴隷の獣人で可愛い女の子がいたのだ。

あの娘、結構可愛いし好みなキャラクターデザインだったんだけどね。そのせいで友人からのロリコンとからかわれたのは良い思い出だ。


「なるほど、それでしたらあちらですな」


ジェントルマンなおじさんにに先導されつつ、檻の中の奴隷を見る。おじさんに着いていくにつれて、奴隷の容姿が怪我していたり片腕が無く包帯が巻かれていたりする者へと変化していっているような気がするのは気のせいだろうか?

たまたまそう言う場所を通ったのだろう、うん。そう思うことにしておじさんの後を追いかけると大きな部屋に鉄格子を付けて部屋ごと檻となっている場所があった。

鉄格子越しにはたくさんの幼い見た目の容姿の獣人やエルフと言った子達が座っていた。警戒されているのか、ほとんどが私の方を睨むように見詰めてくる。

幼い見た目の奴隷は全員ここにあつめられているのだろうか、これまで見てきた奴隷の人達はみんな大人か青年だったし。


「お嬢様の条件に会うのはこの中の者達でしょうな」


「ありがとうございます!少し見せて貰いますね」


「はい、ごゆっくりご覧下さい」


そう言いながらボロボロのワンピースを着た少女達を眺める。うーん、裏切ったりしないような子を選ばないとだよね。もし嫌われたり、地雷踏んで殺されたりしてバッドエンドとか絶対に嫌だしここは慎重に慎重に。

鉄格子から奴隷である少女達を見る、殆どが此方を睨み付けてきて明らかに警戒しているのがわかる。いや、私別に貴方たちにムチ打ちとかしないから睨まないで?買いに来ただけ。


「えっ!?」


ふと、壁際を見た時だった。壁を背につけて体育座りしている白髪で犬?か狼に近い獣耳に尻尾を持つ子がいた。しかも此方に興味を持っていない、と言うか膝に顔を押し付けて俯いている。


「ねぇ、そこの白い髪の子。ちょっと顔をあげてくれない?」


私の声が聞こえたのか、ショートカットで白い髪の獣人の少女が顔を上げる。赤い瞳が私を捕える、そんな少女は無表情に見えるが若干目が泳いでいるように見える。急に話しかけられたから戸惑いっているのだろか?

それにしても白髪赤目の美少女、良いね!それに私に対して警戒してなくて戸惑ってる様に見えるのも可愛くてヨシっ!君に決め……あれこの子。

似てる、似すぎてる。いや似ているんじゃなくてまさかこの子は……。






それは私が、まだこの世界に来る前のことだ。

あれは私が【Light Up The Darkness】を中盤までクリアした頃に家で友人と一緒に遊んでいた頃。


『なぁ○○○、奴隷の購入なんだけどコイツらの中ならどの子を選んだらいいんだ?個人的にはこの白髪で獣人の子なんだけど』


『どれどれ、相変わらずのロリキャラ好きだなお前。このロリコン、お前本当に保育の専門学生か?』


『うっさい!現実と二次元の区別が出来てるから問題ないさ。それよりみてくれって、この子なんだけどようやくSのステータスがある子が出てきたんだよ!』


『どれどれ、あー……そのキャラはやめとけ』


『えぇ!?なんで!?スピードのランクがSだし、前にステータスパラメーターがSの奴隷は買って良いって言ってたじゃんか』


『ソイツは確かにスピードのランクはSで他のステータスも高いが、装備武器がガントレットで固定なんだ。無印だと不遇武器だからなぁ、せめてツヴァイやドライとかの次のシリーズでも登場してたら大当たりのステータスだ、他の奴隷店の内容をリセマラしてる人達がいたら間違いなく買うだろうが、無印だからなぁ』


『なら、別の子にするかぁ……はぁ、可愛い子が出たと思ったのにぃ』


『そうしとけロリコン、1日に一回しか開かない上にかなり高額だしストーリー中だとかなり厳しいだろ?』


『そうするよ、てか一々ロリコンと呼ぶのはやめい!』



▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲



あの子がもし、あのときにゲームで引き当てたけど買えなかった奴隷の子なのなら、今度こそ私は彼女を買いたい。ずっと後ろ髪を引かれる思い出だから、ステータスが低くても使う武器が最弱だとしても自分の心に正直に、好きに行動したい。

この世界はゲームの世界だけど、一度逃せば手に入らないのは同じ、この世界で彼女と出会えたのは奇跡だ。一期一会、それを逃したら私は絶対に後悔する。


「おじさん、あの子……白髪で赤い目の獣人の子が良いんですけど」


ジェントルマンなおじさんにそう言って白髪で赤い瞳の特徴的な獣人の子を指差す、すると指差した方向をみておじさんはすぐにあの子を見つけた。まぁ、この部屋で白髪なのは彼女だけだしまぁ目立つか。


「なるほど、すぐに用意させましょう。すまない、誰かいないか」


「はい!なんでしょうか?」


「あの白い髪の獣人をお嬢様がお買い上げになる、支度と魔術の方の準備を頼む」


「了解いたしました!お買い上げありがとうございます!」


おじさんの声に若い店員さんが小走りで走って来て私が買うと決めた子を鉄格子の中から出して奥の方へと連れていく。

あれ?一緒に上に行ってお会計とかじゃないの?


「お嬢様ご安心を、彼女に身支度と奴隷としての首輪をお付けしますので我々は先に上に戻りましょう。そろそろ査定が終わっている頃でしょうし」


疑問に思っていたのが顔に出ていたのか、おじさんがそう説明してくれた。凄い博識だ、もしかしてこのジェントルマンなおじさん、結構偉い立場だったりするのかな?高そうな部屋とか使えるし、私に付きっきりで商売の説明しながら指示だしてるし。

そう思いながら頷いて返事しおじさんと共に上の階への階段を上がり、最初に通された部屋に戻ってきた。今度はお茶菓子らしきものも一緒に置かれている。

ソファに座ると、テーブルを挟んで向かいのソファに座ったジェントルマンなおじさんは口を開いた。


「それにしてもお嬢様、よろしかったのですか?」


「なにがですか?」


「奴隷の詳細を確認することもせずに、即決でお決めになったものですから」


「そ、それはその……一目惚れって感じです」


「ほっほっほ、そうですか一目惚れですか。そのような理由で奴隷を即決で購入された方は随分と久しぶりですね」


「し、失礼します!査定の結果をお持ちしました」


そう言いながら先程お茶をだしてくれたメイドさんが紙を持ってきてジェントルマンなおじさんに手渡した。


「ありがとう、下がっててくれ」


メイドさんが黙ってお辞儀しておじさんの後ろに立つと、おじさんがこほんと咳をしてから私に見えるようにテーブルへ書類を置いた。


「此方が、買い取り査定の結果となります」


取り敢えず、低くても1万ユニン。希望的には10万とか100万だったら良いなと思いながらテーブルの書類を受け取って数字を見る。そこには数えきれないほどの0が並んでいた。


「い!?うぇ??は!?」


「おや、お眼鏡に合いませんでしたかな?」


「い、いえいえ!?こんなになるとはな思ってなかったのでビックリしちゃって……あの、こんなに貰っちゃって良いんですか?」


なんだこの0の数、これだけあったら前世で遊んで暮らせるぞたぶん。そうだ、あの子の額を引かずにだよね!?きっと、あの子は白髪だったしステータスにSがあるならレアっぽいからきっと、高額なはず……。


「ほっほっほ、お客様が査定にだされた宝石はどれも素晴らしい物ばかりでしたので当然の額でございます。」


「な、なるほど。あの、さっきの奴隷の子っていくらだったんですか?値段を聞くのを忘れてたと思って………」


「それは失礼しました。彼女でしたら、50万ユニン程でございますね」


や、安いっ!?いや安いと思ってしまうのは私がこの額のお金を手に入れてしまったからだろうか?チートで一気に稼いだラノベ主人公の気持ちってこんな感じだったんだ……。ゲームではもっと安かった気がするんだけど、確か奴隷1人10万ユニンとかだったし。

それにしても、今なら100万のレアカードを即決買いしたり、欲しい漫画を全部変える……絶対に盗まれないようにしないと。

と言うか私はこれからこの額を持ち歩く事になるのか…普通に考えてて怖すぎるよ。


「買い取り分のユニン硬貨は今お持ちします」


そう言いながらおじさんが振り返ってメイドさんを見るとメイドさんが頷いて部屋を出ていく。


「えっと、さっきの奴隷の子の分のユニンは硬貨が来てからお渡ししますね。」


「もちろんでございます」


これでお支払いは大丈夫そうだ。


「えっとその、今更なんですが奴隷って普通ならおいくらになるんですか?」


「ふむ、基本的には10万ユニンからの購入になりますね。奴隷を扱う商いは買う相手が金銭を持ち、奴隷をきちんと世話できる方にのみお売りするというルールがありますゆえ」


なるほど、つまり奴隷は最低の値段が10万ユニン、そこから持つ力や種族によって値段が上がっていく感じなのか。つまりはあの子も値段から見ては高い部類に入るわけか。

なんとなくわかった。

そう言えば旅をするならテントとか色々と買わないと、リサイクルで現代っぽく作ったらそれはそれで異世界の雰囲気が壊れちゃうからやりたくない。どうせならここで旅に必要な物とか、日用品を買っちゃった方がいいよねきっと。その方が早くこの国を出られると思うし、準備は早い方が良い。


「あの、旅をしようと思ってまして。何か旅で使える物でにオススメな商品ってありますか?よければ全部揃えたくて、テントとか」


「旅に使える商品ですか、ふむ………少々、いや1日お時間を頂けますかな?当商会はたくさんの品を揃えていますゆえに、商品を揃えるとなると今日では時間が足りませんから。明日、もう一度お伺い下さい。」


少し考えてからそう返すジェントルマンなおじさんにありがとうございますと頭を下げる。


「いえいえ、お客様の為で御座いますから。所でお客様の名前をお教え頂けますかな?すぐにご案内出来るよう店員に伝えておきますので」


「ルシナ・ヴァンゲインです。あの、おじさんの名前は?」


「これは申し遅れました、私はセス・テクスと申します。セスとお呼び下さい」


なるほど、ジェントルマンなおじさんの名前はセスと。しっかり覚えないと、人の名前を覚えるのは苦手だししっかりメモしておこう。

扉がノックされ、さっき私が指名した……この言い方は凄く夜のお店な感じで嫌だな。

私がお願いした子を連れた若い人が入ってきた。さっき白髪赤目な獣人の子は首に鉄で出来た首輪を着けていて首輪の中央に嵌め込まれている宝石には魔方陣が刻まれている。

彼女の様子と言うとさっきと変わらず戸惑った感じだ、若干先程より髪や体がきれいになったように見える。


「お待たせしましたお客様、首輪と奴隷の準備が整いました」


「それではルシナお嬢様、主従の契約魔術を彼女に施しますのでお手をお貸し頂けますかな?」


「えっと、主従の契約魔術って?」 


ゲームだとそんなの出て来なかったぞ?もしかしてゲームでは省略されていた奴なのだろうか。


「お教えしながら行いますのでご安心を。主従の契約魔術は奴隷を縛る為の魔術でございます。例としては奴隷は主を殺せぬよう、魔術にその行動を縛るように設定するのです。大抵の方は奴隷に自分を殺させないためにそうします、他にも主の命令は可能な限り必ず聞くなどがありますね」


「なるほど、もしそう言う縛りを破るような行動をしたらどうなるんですか?」


「奴隷の身に付けている首輪、此方は主従契約の魔術が施されておりまして『縛りの首輪』と呼ばれております。奴隷が命令を守らなかったり縛りを破るようならば首が締まる、と言った内容のものですな。ちなみにこういった魔術が組み込まれたアイテムはマギアアイテムと呼ばれております。」


確かに奴隷を買ったけど殺されたじゃダメ出し当たり前か。


「取り敢えず、主の命令は可能な限り聞く。そして主の情報は可能な限り秘密にするの二つで」


「了解しました、それではその二つを刻んでくれ」


「はい、お任せを!」


そう言いながら若い人は獣人の子が身につけた首輪の宝石に向けて手を翳す、縛りの首輪の宝玉に刻まれた魔方陣が光ると、そこに重なるように魔方陣の上から重ねられる。


「我ここに契約を施すもの、汝定められし縛りをここに示さん。『主の命令は可能な限り聞きいれること』ならびに『主の情報は可能な限り秘密にすること』これら縛りを破りしとき、汝は我が身を滅ぼそう」


男の人が詠唱らしきものを唱えると途中でに私の言った内容を唱えた。恐らくはこれで設定おするのだろう、魔方陣の光りは消えて、若い人は部屋を出ていった。

なにげに私を作り替えたリサイクル以外のちゃんとした魔術は初めてみたかも。


「準備が整いました、ルシナお嬢様。彼女の首輪に触れて彼女の名前をお呼びください、そして奴隷である彼女が貴方の名前を唱える事で正式に奴隷との主従契約が完了となります」


セスさんの説明を聞き、私は白い髪の獣人の元へと歩み寄る。


「ちょっとごめんね」


そういいながら彼女の縛りの首輪にある宝玉に触れる、さて後は名前を呼ぶだけか。


「貴方のお名前、教えてくれる?」


「……ない、よ?」


「名前、無いの?」


そう聞くと白髪で獣人の少女はコクリと黙って頷いた。おうふ、まさかの名前付けイベントですか……。ゲームだと購入した奴隷は名前を着けることが前提だからか、おかしな名前のキャラとかよく見かけたっけ。

私は元々あった名前のままにしていたことが多かったけど。


「分かった、私が貴方の名前を付けて上げる」


ふむ、なんといっても彼女の特徴的な所はその綺麗な白い髪に赤い瞳だ。白いからシロ?それだと安直だし、犬とかにも付けれる名前だ。

どうせなら可愛いくて、ゲームの世界観にあったそれっぽい名前を付けたいな……よし、決めた。


「今から貴方は……セフィ、セフィ・ヴァイローゼ!」


確かスピードがSランクだったし、そよ風の意味をもつセフィ。そして白薔薇を意味するヴァイセ・ローゼを少し変えてヴァイローゼ。

昔、興味が湧いて花言葉や早の名前や他の国での呼び名について調べていたことがこんなところで役立つとは、人生わからない事だらけだ。

私の付けた名前を聞くと耳をピクリと動かしながら嬉しそうに私がつけた名前を何度も唱え出した。


「セフィ……セフィはセフィ!セフィ・ヴァイローゼ!」


うーむ、嬉しそうな様子で何より。やっぱり美少女の笑顔は格別ですなぁ!


「ご主人様、ご主人様の名前、教えて?」


ご主人様かぁ、だとしたらこの子にはメイド服を着せたくなる。いや、和服も捨てがたい……取り敢えず後でリメイク使って絶対に可愛い服を作ってあげよう。


「私の名前はルシナ、ルシナ・ヴァンゲイン。これからよろしくね、セフィ!」


「はい、ルシナ・ヴァンゲイン……私の、ご主人様」


水色の石に描かれた魔方陣が光り輝くと、石に刻まれている魔方陣が先程の黒から黄色に変わった。きっとこれがさっきセスさんが説明していた主従の契約魔魔術の発動している証だろうか。


「縛りの首輪の魔方陣の配色は、主によって変化します。縛りの首輪の宝玉に刻まれた魔方陣の配色の変化こそ、ルシナお嬢様が彼女の主であること、そして彼女がルシナお嬢様の奴隷である事を示す証です」


「なるほど、さっきの宝石を売った分のユニンが来たらそこからこの子の分を引いて渡しますね」


「指示を出して彼女のこう入金額は引いておきましょう、その方が楽でしょうから」


そう言いながらニコリと笑顔浮かべるセスさん、あなた本当にジェントルマンだね……。

部屋の扉がノックされる音がして視線を向ければお盆の上に大量の袋をのせたメイドさんが少し苦しそうに失礼しますと言いながら入ってくると机の上に置いた。

それと同時に沢山の金属が擦れる音がした、もしかして私が売った宝石のお金ってこの大量の袋の中身?


「ふぅ、ふぅ、買い取り額をお持ちしました」


「お疲れ様です。ルシナお嬢様、此方が買い取り額の総額でございます。硬貨は大量にございますので、何袋かに分けてあります」


「凄い、ご主人様はお金持ち」


セフィが目を見開くと、驚いた様子でそう呟く声が聞こえた。

美少女に褒められるのは凄く心が楽しくなって良いね!凄いグッド!語彙力がなくなるぐらいに気持ちが良いね!


「マジックバックに全部しまうので袋は大丈夫です」


「分かりました、ではどうぞお納め下さい」


テーブルに置かれたお金の入った硬貨を持つ。

ずっしりとしていて、とても片手では持てそうにない。


「はい、ご主人様」


「ありがとうセフィ、セフィは自分からお手伝い出来て偉いねぇ」


他の袋を両手で持って持ってきてくれたセフィを褒めると嬉しそうに耳をピコピコと動かして尻尾を揺らしているのをみていると、凄く癒しデスネ!

こんなに重い袋を片手で持ってるんだし、やっぱりゲームで逃したあの子と同じなのかな。考えてみればアイテムじゃなくて自分や人を鑑定した事ってまだ無かったかも。

そんなことを思いながらテーブルに置いたマジック☆バックに袋の中身の硬貨を移していく。

何だろう、ジャラジャラと言う音を聴きながらバックにひたすらユニン硬貨をしまっていく作業は、まるでゲームセンターにあるメダルゲームで大当たりを当てたみたいな感じだ。

全ての硬貨をバックにいれ終えたのを確認してから蓋を閉めて身に付ける。


「よしっと、セスさんありがとうございました。また明日来ますね!」


「はい、明日のご来店をお待ちしています」


「それじゃあ行こうかセフィ」


「はい、ご主人様」


セフィにそう言いながらサラスティ商会を出る。思ったよりこの商会にいた時間は長かったのか外は夕方になっていた。

この世界で始めてみた夕日は、俺のいた世界の夕日と変わらないように見える。でもゲームの世界でで眺める夕日の方が、何故かいつも以上にきれいに見えた。

まぁ、ビルとかアパートとかが見えない天然物だからなのかな?


「セフィ、最初に言っておくけど色々な面で私はセフィに沢山の迷惑をかけると思うの。同じ場所にずっと留まることはないだろうし、常に色々な場所へいくよ」


主にこの世界の常識や女性の衣服の選び方に冒険者の価値では絶対に変な行動を取るかもしれない。それに、旅をするから1ヵ所に留まる時間は限りなく少ないだろう。

それに、勇者がいるのかまだ分かってないけどもしもう召喚されているなら即座にその町を出る必要がある。


「大丈夫、セフィはご主人様の奴隷。ご主人様とセフィ、一緒だよ?」


不思議そうにそう首かしげながらそう話すセフィ。まるでもう一緒にいるのは当然だと、普通なのだと言うように話す、これがこの世界の普通なのだろうか?もっとこんなご主人様は嫌だとか、旅は嫌だとか言われると思ってたけど思ったよりそんな事が無いことにビックリした。


「そうだね、ありがとう。宿に着いたらセフィの事色々と教えてね。」


「うん、ご主人様」


そう言いながら私はセフィと一緒に宿への道を歩くのだった。





















温かい、まるで草原に寝そべって太陽を浴びているような心地よい。

あれ、そう言えば僕……何をしてたんだっけ。

微睡む気分に抵抗しながら、ゆっくりだが目蓋を開く。


「大丈夫?」


そこには、腰元まで伸びた長い髪は元いた世界ではあり得ない水色で、可愛らしい顔をしている美少女が心配そうに眉をハの字にし此方を覗き込んでいた。


「うぇ!?あ、うん……」


体を起こしながら、どうにか返事を返しつつちゃんと彼女の姿を見る。

まるで日曜日の朝でやっている魔法少女のようなピンクを基調としたカラフルな飾り付けのされたドレスを着ていて、その上から黒いローブを羽織っている。

まるでゲームに出てくる魔法使いのようなローブが少し浮いていて、ローブの下の格好だけの状態となら完全に日曜日の朝を感じさせる魔法少女だ。

ローブを羽織っているって事は、あの人が言っていた魔術師?ってこの子のような人の事を言うのだろうか?


「それじゃ、私は行くから」


そう言って彼女は笑うと冒険者ギルドの方向へと向かっていく。

恐らく彼女も冒険者なのだろう、あんなに幼いのにもう冒険者として働いていると言う事実に、やはり、ここは別の世界なのだなとわかる。

この世界にされてから、驚きのオンパレードだ。


「ユウセイ様ーー!!」


そう思いながら立ち上がり、聞こえてきた方向を見ればギルドから先程の美少女とすれ違う形で走って来る二人の姿が見えた、取りあえず小さく手を上げて無事を伝える。

赤髪のショートボブでどちらかと聞かれれば可愛い系だろう少女は腰のベルトに短剣を差しており、身軽な服装をしている。

彼女の名前はアイン・ツィーク、僕が魔術王ルシャーナを討つために勇者として戦えるよう鍛えてくれる師匠の一人だ。

彼女は博識で、この世界に関する様々な知識を教えてくれる。

そしてそんなアインさんの後ろから走ってくるのはエスティール・フィスト、金髪をポニーテールにした綺麗系の女性だ。

この国で一番優秀な騎士で僕が戦えるよう剣術の指導をする役目を担っているが、彼女の訓練は少し苦手で教える際は何故か擬音が多くて困っているのは内緒だ。


「よかったぁ、無事で」


安心した様子で息を吐くアインさんとツンとしたままのエスティールさんに思わずアハハ、と笑ってしまう。


「さっきの子が助けてくれたと言うか、看病してくれたみたいで………」


「あ!さっきすれ違った子ですかね?あの人に感謝ですね、エスティに殴り飛ばされた時は心臓が止まると思いました……王さまにはエスティに殴られて死にましたとか報告する所でしたよ」


やれやれといった様子で肩を竦めるアインさんの言葉にエスティールさんは慌てた様子で口を開いた。


「なっ!?あれはそもそも貴様が私をのーきん?等と訳がわからない言葉で馬鹿にするからだ!!」


「のーきん?何それ……もしかしてユウセイ様なのいた世界の言葉ですか!?どういう意味なんです?私にだけでも教えて下さい!!」


そう言って近付いてくるアインに僕は苦笑しつつ説明する。

彼女の距離感が近すぎるのは、この世界に召喚されてからすぐに慣れたよ……。

嫌だよ、もしこの距離感がよくあるラノベみたいな感じで僕を騙してこの国に留めるための行動とかだったら。軽く人間不信、いや女性に対して恐怖症が発症しそうだ。


「アハハ、脳筋って言うのは考えるより体を動かすような人の事だよ。脳まで筋肉で出来てるんじゃってくらい」


「なるほど、事務作業が苦手なエスティにぴったりだ!」


「なっ!?貴様ら………」


そう言いながら拳を握り締めるエスティールさんに思わず顔が引きずるのを感じる。

確実に地雷、と言うか彼女の怒りをかった気がする。

だって彼女の後ろに鬼のような物が見えたような気がした、僕とアインはお互いに頷き一斉に後ろへと走り出した。


「「に、逃げろ~!!」」


「待たんか貴様らぁぁぁぁあ!!」


僕の名前は白水 悠星。


この世界だとユウセイ・シラナミ、この大陸で頻発する魔獣との戦いを終わらせるため、ビギンズ旺国によって異世界から召喚された、勇者である。



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