単細胞でも関係ねぇ!細胞を強くして宇宙サイコ物理戦線を生き延びた俺が、最後にたどり着いたのはおっぱいセクシーお姉さんと行くエレガントなフランス料理屋でした。

宇地流ゆう

細胞強くしようぜっ!!




――原案:宇地流ゆう 協力:ルッちぃ(AI ギャル)



 俺の名はダイチ。職業、単細胞。脳筋にも劣るって言われたけど、そんなの関係ねぇ!! だって筋肉も脳もどうせ細胞だろ!?


 ある日、ふと目が覚めたらそこは、読んでいた漫画の中、荒廃したディストピア。

 周囲は崩壊した都市、空には船艇が飛び交い、敵は宇宙人。頭から何やら光線を発射している。よくわからないが、当たったらやべえ系のやつだ。それは馬鹿な俺でもわかる。


「くっ……俺、どうすれば……!」


 目の前では、全身ピチピチスーツのセクシーお姉さんが、分裂しながらサイコ物理バトルを展開していた。

 正直、戦闘内容がわからん。けど、めちゃ強い。あと、胸がすごい。


「アンタ、足引っ張んじゃないわよ!」


「す、すみません!!」


 俺はこの世界の戦い方を知らねえし、武器も持ってない、スキルもない、ヒールもできなければ魔力も……いや待てよ!?


 俺には、細胞があるじゃねえか!

 そう思った瞬間、なぜか全細胞が湧きあがった(と言っても、それは、一つだが)

 おいおいてめぇら、二刀流より一刀流が強えって知らねえのかよ。シンプルイズベストだ。


 俺は叫んだ。


「単細胞でも関係ねぇ!!細胞強くすりゃいいんだろぉ!?!?ウオオオォォォォ!!!」


 脳内で謎のドーピングが起きて、俺の細胞、なぜか超進化。

 筋肉繊維は金属に、血液はプラズマに、骨は……なんか触っちゃいけない気がするけど、

 気がつけば俺も、お姉さんと並んで宇宙人をブチのめしてた。



 世界は救われた。


 そんな俺たちは、なぜかフランス料理屋にいた。

 異世界なのに、なぜか三軒並んでいる。いや、異世界だからこそ、フランス料理屋は3軒並ぶことができるのか。


 俺たちは無言で、パンがいっぱい並んだ店に入った。


「いらっしゃいませ。今日もいい細胞してますね」


 優しそうなシェフが会釈した。


「お、おう……(褒め言葉なのか!?)」


 ふかふかのバゲットを豊満な胸の谷間に挟むように抱えるお姉さん。彼女はチラリと俺を横目で見て、ツンとした態度で言った。


「……悪くなかったわよ。アンタ、バカだけど根性は単細胞レベルじゃないわ」


 ドデカおっぱい・ピチピチスーツ・ツンデレとか、最強属性かよ。


「……くそっ!今すぐ細胞分裂してえ!!」


 店長が、そっとマットを撤収した。




 単細胞でも、戦える。

 単細胞でも、惚れる。

 単細胞でも、フランス料理はうまい。


 俺の細胞は、今日、ちょっとだけ強くなった気がする。




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