かき氷

 冷凍の祈り紐が完成した翌日。私はハルカ姉、ミラちゃん、カナちゃん、チヨの四人を集めた。

 全員そろったところで、私は堂々と今日のミッションを宣言する!


「せっかく冷凍庫が出来たので、今からかき氷を作りたいと思います」


「「「「かき氷?」」」」


「もちろんトッピングは抹茶・あんこ・白玉団子! これに限る!」


「「「「?」」」」


 日常系ファンタジーな百合世界でスローライフというこの生活に不満はない。故郷日本に帰りたいかと聞かれたら、私は声を大にしてNo!と叫ぶだろう。

 だけど、ふと故郷が懐かしくなることはあるの。和食を食べたい!


 しかしながら、お米や味噌はどうしても手に入ら無さそうだった。

 どうにか日本っぽいものを探した結果、どうにか抹茶、あんこ、白玉団子を再現できたの! 私は頑張った。私は頑張ったよ……!


 さらに氷も手に入った事だし、今日は和風なかき氷を作るわよー!



「という訳で完成!」


「すご~い、雪みたいだね!」

「美味しそう!」


 流石に日本のかき氷みたいに薄く削ることは出来ず、どちらかと言うとシャーベットに近い何かが出来上がってしまったけどまあ良し! いざ実食!


「んー! これこれ! はぁ、懐かしい味だあ」


「うまうま。いっ!」


 チヨがガツガツと食べてしまい、頭痛に見舞われていた。その反応も懐かしい!


「一気に食べると頭が痛くなるから気を付けてね」



 初めの一杯は私のわがままで和風かき氷にしたけど、次は他の味も食べてみよう。

 パチパチベリーやクリスタルベリーのジャムをトッピングする事に。


 私がクリスタルベリー味のかき氷を食べていると、パチパチベリー味のかき氷を食べていたミラちゃんが隣に座って言った。


「ト、トワ! あ、あの、クリスタルベリーも一口食べたいなー。なんて」


「もちろんいいよ。はい、どうぞ?」


 私はかき氷を入れたカップを手渡そうとすると、ミラちゃんは恥ずかしそうに小さな声で言った。


「そ、そうじゃなくて……。あーんってして欲しいなって///」


「! もちろんいいよ♪ はい、あーん」


「あーん。むふふふー♪」


 ミラちゃんの可愛いおねだりに私の心はズッキューンと射貫かれた。ミラちゃんにあーんってすると、ミラちゃんは嬉しそうにそれを食べた。


「私もパチパチベリー味、一口もらっていい?」


「うん! はい、あーん♪」


「あーん/// はむはむ。うんっ、これもおいしい!」


 って感じでミラちゃんとあーんってしていると、背後から視線を感じた。

 振り返るとハルカ姉、カナちゃん、チヨの三人がジトーッと私の方を見ていた。


「あー、皆さん?」


「トワちゃん、私からもあ~ん♪」

「トワ姉、私のも食べて」

「トワ姉~! 私もあ~ん!」


「ちょっ、ちょっと?! そんな全員一気に食べられない……」


「「「駄目?」」」


「駄目じゃないです!」


 その後、かき氷を食べ過ぎて私達はお腹を壊してしまった。

 夏だからって冷たいものを食べ過ぎるのは辞めましょう!


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