2025w25 下ノ畑ニ居リマス

 すっかりお久しぶりになってしまったけれど、先週末に戻ってきたので緩やかに再開しようと思う。


 これまでに周辺環境やちょっとした取り組みについて簡単に書いてきた。

 けれど、実はまだ肝心の話題を挙げていない。

 それが「下ノ畑ニ居リマス」を掲げるに至った経緯であり、『ゲリラ的草刈り』に紐づく話でもある。


 道路脇の草と向き合う『ゲリラ的草刈り』はさておき、暫く放置されているとはいえ土地区画の中に立ち入るには、やはり持ち主に声をかける必要がある。

 土地の持ち主が誰か、については法務局の登記情報閲覧サービス(有料)を利用すればいい。けれど私が取った方法は実にアナログである。


 『ゲリラ的草刈り』を実施していた道の横の土地とは別に、うちから坂を下ったところ、出かける時に必ず目に入る場所にも草がボウボウと生い茂る土地があって、そこは広めの庭付き一軒家がドーンと立つくらいの広さがある。

 

 昔は田んぼで、少し前まで畑として使われていたが、いつの間にか退廃的な光景へと移り変わっていった。昨冬にはいよいよ、という感じで草が生い茂っていた。

「一体どうしたんだろうか」

 そう思わずには居られなかった。


 そのあたりも元から土地を耕してきた家々と、その土地を分けてもらったり、高齢の方が亡くなった後に新しい家を建てたりして、移り住んできた家庭がより複雑に混在している。


 けれどまあ耕作地と家屋の位置関係などから、ま、あの家だろうとあたりをつけ、ピンポン(玄関チャイム)を押し、こんにちは、とお話を伺いに行ったのである。


 思った通り結果はビンゴで、何ならうちのすぐ近所の方の土地も同じ持ち主であった。ようよう話を聞き、今の状況になった経緯などに耳を傾け、私としては土地に入って差し支えなければ草を刈ろうと思うがどうか、ついでに植物を観察しても良いか、そんな話をした。


 結論から言えば、「好きにして良い」とのことである。


 ちなみに「畑をやりたい」とか「土地を貸して欲しい」といったことは言っていないし、一ミリも思っていない。

 私のように出歩きがちの者は、動物と共に暮らしたり植物を育てたりということが、言い方は悪いが足枷となってしまいかねず、始める前によく考える必要がある。


 その土地をどのようにしたいか、そんな話もおいおい聞き出しながら進めようと思うが、兎にも角にもまずは草刈りである。

 というか、そもそも草刈りを引き受けようとしたのである。


 お代などいただくはずがなく、ただ代々その家系が守ってきた土地に入らせてもらうだけである。土地を借りるわけでもないので賃料だ契約だと言った話でもない。


 こうして私は暇があれば、『*下ノ畑ニ居リマス』と相なったのである。

 これは4月上旬頃の話で、以来私は暇があれば『下ノ(元)畑』で作業するようになった。




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*下ノ畑ニ居リマス

:農学校を退職した宮沢賢治が農民たちに農業技術や農業芸術論を講義するために設立した私塾『羅墅地人協会らすちじんきょうかい』の黒板に書き記した言葉。

「畑に行っていて留守だが、おやつは置いてあるよ」

という意味が込められているのだとか。


 作品としては朗読作品の『雨ニモマケズ』が生まれた場所、と考えて良いのかなあと想像しています。

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