第57話

「なんです、それ」


夏実が笑った。


「だって嫌じゃんか!」


「忘れる筈無いじゃないですか」


「分かんないじゃん!」


「分かりますよ、ーーコウくんには、本当に励まされてたんですから。」


「…え?」


「父が長くないと知ってから、毎日病院に行くのが怖かったんです。ーーでも、コウくんに会って、コウくんが会いに来てくれる様になってすごく気持ちが楽になってたんですよ私。」



「……」



「私も、ずっとコウくんに会いたかったんですよ。」






夏実の笑顔を見て、

コウキのツラを見て。


さっきまで"運命だ"とか何とか言ってた自分がとんだ間違いだったと気付いた。


で、本当に俺にとって良い話では無かった。


世間的には良い話、だろうけど、

俺からしたら、とても良い話とは思えねぇ。


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