第11話 母について
母の実家は祖母の生家で学校の先生である祖父が婿養子に来た。母は4人姉弟の長女。東京の大学を出て大手企業に入社したが身体を壊して地元に戻って来た。頭はいいけど、融通が利かずマニュアル人間だ。
男運が悪い上に依存型。子供よりも無職で借金を繰り返すような奴を優先していた。祖父や祖母にバレない様に子供に嘘までつかせて父と会ったり連絡をとったりしていた。
母の実家は、宴会の時は男の人は上座に座りただ食べて飲んで酔っ払う。女の人は初めの乾杯を済ますと、ほとんどを台所で過ごす様な家だった。
宴会の途中くらいでまた席に着き腹ごなし程度に料理を食べて、また台所に戻って料理をする。今でもそれはほとんど変わらない。旦那が私の実家に帰った時に男を立てる風習に感動していた。もしこれが私が男だとしたらお嫁さんはお手伝いさんの様に扱われるのだからその後の関係がギクシャクしそうだ。
それを考えると叔父のお嫁さんは居心地悪かったに違いない。子供が生後2カ月位で帰って来ていた時もあった。お嫁さんは完ミだったので母乳神話を掲げてる祖母に何か嫌味を言われたに違いない。私は言われたから。
あの小さな赤ちゃんと乳幼児2人の計3人の子供を連れて義実家に帰るのは酷だっただろう。叔父は今回は帰らないという選択はしてくれなかったんだろうな。
母は庇う訳でもなく、叔父を諭すでもなくただ空気の様に居るだけだった。
地元に戻ってから保育士の仕事をしていたが、甲状腺の手術をして。大きな声が出しにくくなってしまったので管理栄養士の資格を取り給食の方で働く様になった。
実家では自分の意見は滅多に言わないのに、職場では正義感の塊の様な感じだった。自分の知識を披露したいのか周りの人とよく言い合いになった。母は勉強で得た知識が自分の強みだと思っていたのだ。
「先生(母の事)は偉いけんなぁ。」
と他の先生に嫌味たっぷりで言われていたのを覚えている。子供の前でそんな事を言ってしまう職場の人もどうかと思うが、だからこそ母の正義感が発動してしまったのかもしれない。母はマニュアルから少しでも外れると見逃せない性格で特に目上の人に食って掛かった。なので人事評価も低くなり給料も入社してから一度も上がらなかったみたいだ。
金を無心して来る元旦那と反抗期の長女に何事にも無関心な次女。
母の実家では長女とはいえ女なので家政婦扱いで休日は祖母の招集を断り切れず茶摘みだ、稲刈りだ、庭の草刈りだと朝早くから夜遅くまで働いていた。母は
「雨の降ってる日曜日は何もしなくていいから好きだ。」
と言っていた。祖母に駆り出される事なく家でゆっくり休めるからだろう。そんな母は私が上京してから1年でくも膜下出血でこの世から去った。
今世では何一つ幸せなんてない様に見えた母は、どこかの億万長者にでも生まれ変わって贅沢の限りを尽くしていて欲しい。
母と過ごした経験から子供との接して行くうえで気を付けて行こうと思う事がある。
① 「あなたの為だから」とは言わない。
② 対話出来る関係である。
③ 性教育をきちんとする。
母はよく「あなたの為だから」と言っていた。私が絵を習いたいと言った時に
「絵よりも習字にしなさい。」と言った。
「なんで?」と聞くと
「字が綺麗な方が貴方の為になる。」と答えた。
私と妹はは半強制的に習字を教室に行く事になった。ちなみに妹は現在、字が汚いからといってボールペン字を習っている。無理に習わせても効果は薄いように感じてしまう。私は子供が習う習い事は子供の希望を聞いてあげたい。
私は母と対等に話をした記憶がほとんどない。
母は私達を何でも従わせようとしてた。着る服、髪型、受験する高校、基本的に私達の話はほとんど聞いてくれなかった。唯一、自分の希望が通ったのが上京する事だった。運がいい事にお金がほとんどかからなかったので許されたのだろう。母よ、年は上で人生経験はあるかもしれないが、母になった年数は私と同じだからある意味、同級生みたいなものだと思う。少しは私の話を聞いて間違ってもいいから、マニュアルではなく私の母としての意見を言ってくれても良かったと思う。
私は間違える事もあるかもしれないけど、子供と色々対話して、子供と一緒に成長して行きたい。
母は男女交際について潔癖な部分があった。自分は離婚した後にもコソコソと父に会ったりしていたのに、私達の交友関係にはとても厳しかった。母は男女交際を禁止をするだけで理由などは一切言わない。禁止されるとより興味は湧いて来る。私は生憎、顔が可愛くなかったので男の子と関わる事もなかった。
今は情報化社会で色んな所から得る事が出来るけど、子供には母親として私の言葉で顔を見ながらきちんと説明したい。
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