勇者に転生したのに、僻地スタート!? しかも防御専門スキルだけって、聞いてないんですけど!?

@ryusei_hoshino

第1話 はじめての転生

「勇者リクよ。貴殿に授けよう、この世界を救う力を――」 


 まばゆい光に包まれた俺が目を覚ましたのは、どこか中世風の城のような広間だった。 


「……マジか。異世界転生って、本当にあるんだな。」 


 困惑しつつも、目の前の美しい神官風の女性が差し出してきたのは、一冊の古びた書物。そして、その中に書かれていたのはただ一つ。 

 《固有スキル:パリイ(完全反射)》   

 それは攻撃を“受ける”のではなく、“弾き返す”という唯一無二の力。しかもこのスキル、説明文の最後にこう書かれていた。 


 《すべての攻撃は、パリイ可能である》 


 ぜんぶ、パリイ。なんだこれ、守りだけ?不遇職じゃね? 


しかもステータスは「防御力:∞」「攻撃力:1」という謎の偏り。


 だが、目の前の女神は真剣な表情で言った。 


 「貴方の役目は、この世界に現れた“災厄の王”を打ち破ること……です。」 


 「なんか、最後口ごもってなかった?」 


 そう。俺の武器は、剣でも魔法でもない――単なる“カウンター”だ。 


 その瞬間、俺の中で何かが切れた。 


 (攻撃する術はないのか。じゃあ、のんびり生きるか・・)


   こうして、全てをパリイする男の物語が始まった。

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