この国の未来は、誰かが都合の良いように勝手に決めるーーそれで良いのか?
■はじめに:自分には関係ないと思ってた
カクヨムの読者の中にも、成人された方は多いと思います。
なので、いきなりですが、質問です。
選挙、行ってますか?
……実を言うと、恥ずかしながら、自分はこれまで政治にはあまり関心がありませんでした。誰がやっても同じだし、一票で何が変わるわけでもない――そう思ってた。
でも、今は違います。
今こそ、選挙に行くべきだ。
そう強く思っています。
なぜか?
この国が、いま静かに、でも確実に、大きな分岐点に立たされているからです。
■「社会の宿題」が、もう限界
社会保障制度は限界寸前。
年金・医療・介護――どれもが制度疲労を起こしています。
たとえば医療費。
日本では2025年現在、現役世代約1.9人で高齢者1人を支える社会になっています。
かつては9人で1人を支えていたことを思えば、この構造の変化がいかに急で深刻か分かります。
しかも医療費は増え続け、国の支出は拡大。
2023年度の国家予算では社会保障関連費が37兆円超。
その結果、税と社会保険料の負担がじわじわ増えています。
実質的な国民負担率(税+保険料)はすでに45%を超え、
2025年度は46.2%になるという政府見通しもあります。
稼いだお金の半分が『見えないうちに』消えていくような時代です。
でも、ようやく一部の政党や政治家が「変えよう」と手を挙げ始めています。
教育、子育て、脱炭素、移民政策、税制改革……
これまで『票にならない』と避けられていたテーマに踏み込みつつある。
一方で、「現状維持で何とかなる」と言い張る人たちもまだたくさんいます。
正直、夏休みの宿題を8月31日まで放置してるような姿勢です。
宿題なら先生に怒られて終わりかもしれないけれど(?)、政治は宿題と違って「赤点で済む」話じゃない。放置すれば、私たちの暮らしそのものが壊れていく。
気づいた時には、医療も教育も社会保障も、後戻りできないところまで劣化しているかもしれない。
だからこそ、宿題に手を出そうとしてる人たちに投票すべきだと思います。
それが、未来を守るための最低限の責任だと思う。
■なぜ政治は『スルー』されてきたのか
たしかに、政治は話しにくいテーマでした。
家庭や学校でも避けられがちで、SNSで語れば「意識高い」と言われる。
私もFacebookで政治の話を投稿すると、ほぼスルー状態になったりします。
争いを好まない空気、同調圧力、過去の社会運動へのアレルギー――いろんな要因が考えられます。
だから、このままスルーで良いのでしょうか?
■「誰かが何とかしてくれる」は、為政者にとって都合がいい
「どうせ誰かが決めるでしょ」
「詳しい人に任せればいいよ」
そう思っている間に、物語は他人の手で進んでいきます。
自分のことなのに、自分の知らないところで、プロットが書かれていく。
しかし、関心を持たないままでいると、関心を持っている人にとって都合の良いルールにどんどん書き換えられていきます。
たとえば、投資や資産を持っている人にだけ得になる税制改革。
たとえば、教育や子育てに予算を回さず、福祉を切り詰める方針。
たとえば、声の大きい一部の層の価値観だけが優遇される政策。
無関心でいることは、中立でも安全でもありません。
むしろ、知らないうちに『損する側』に回ってしまうリスクを高める行為です。
選挙は、自分の人生の物語に「ちょっと関わってみる」アクションです。
でも、その『ちょっと』が、思った以上にでかい。
■「高齢者が多いから意味ない」は、本当か?
よく言われます。「若者が投票しても意味ない。高齢者の方が多いから」と。
本当でしょうか?
実際は違います。
若者が投票に行っていないから、政策に反映されていないだけ。
たとえば、20代の投票率は30%以下。
言い換えれば、70%の若者が「白紙委任状」を出しているということ。
投票に行くのはもちろん、家族に話すことでも社会は動きます。
「親や祖父母が子どもや孫に説得されて投票先を変えた」なんて例、実際にあります。親や祖父母も、子孫にいい社会を残したいと思っているはずです。
たった一人の一票が、もう一人の意識を変え、さらにその先に波紋が広がっていく。
■間違ってもいい。学びながら選べばいい
初めての投票で正解を選べるとは限りません。
でも、それでいい。政治も、社会も、創作も同じです。
トライ&エラーでしか、成長できない。
一度投票してみる。
関心を持って調べてみる。
「あれ?この人前回と言ってること違うな」と思って、次は別の人を選んでみる。
それだけで、世界はちょっとずつ見えるようになります。
完璧な投票なんてない。
でも、関わらなければ、永遠に『他人の物語』の中で生きることになる。
■物語の続きを、誰かに書かせたくないから
政治は生活に直結しています。
でもその実感は、無関心な人ほど持ちにくいものです。
だからこそ、少しずつでいい。
関心を持って、選んで、学んで、次に活かす。
そのサイクルを回す人が増えれば、国は必ず変わります。
この文章を読んでくれたあなたが、
一票を投じようと思ってくれたなら、
あるいは誰かと「政治の話」をしてみようと思ってくれたなら――
それが、この国の物語を少しだけ書き換える一歩になります。
■あとがきに代えて:小説を書くということ
創作は「もしも」を描く営みです。
でも現実の世界も、常に「もしも」の連続でできています。
私は、「無関心でいたら町が乗っ取られた」というフィクションを描いています。
https://kakuyomu.jp/works/16818622172419410453
けれど、その根っこには、実際のこの社会にもある空気――
『自分には関係ない』と思っていたら、全部が他人の手で決まっていた…それも最悪の形で、という感覚があります。
だからこそ、小説を書くと同時に、現実の物語にも、ちょっとだけ関わりたい。
そして、同じように物語を読んでいる誰かの背中を押せたらと思っています。
***
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