彼女率25%
「おいおい何回入院すんだよ!?」
「すまん!
もう見慣れた。
ここの病院に入院するのは3回目だ。
「まあでも、記憶が戻って良かったな。記憶喪失の連は大分違和感があったからな」
「ああ。そうだな」
「じゃあ、俺は溜まりに溜まった課題がたくさんあるから」
こいつ、俺が入院するたびに来るが、暇なのか?
と、思ったこともあるが、単純に心配なのだろう。ツンデレめ。
「じゃあ、今日はここで安静にしていてください」
3回目の医者。この人にも色々お世話になったから、今度菓子折りを持ってお礼に行こうかな。
「それと...無月さんに会いたい人がいるのですが...恋人と名乗る子が4人です。この前、解決したって言ってませんでした?」
「すみません。多分今日解決するので」
「いや、謝らなくて良いんですけど、修羅場っぽいのでちょっと心配しちゃいますよ」
「あはは...すみませんね」
「では、私は他の患者を診にいくので、何かあったらナースコールを押してください」
「分かりしました。ありがとうございます」
そう言って医者は扉を開けっぱなしにしてどこかへ消えてしまった。
4人。またか...あれ?4?
もしかして、天音も来るんじゃないか!?
こんなベッド上で自由に動けない俺を、刺すつもりか!?
「「「「無月蓮の彼女です。お見舞いに来ました!」」」」
四人そろって騒がしく俺の病室に入ってきた。
この感覚が懐かしく、思わず笑ってしまった。
「ということで、記憶を取り戻した無月蓮さんに、恋人を当ててもらいましょう!」
春原ひかりは、少し悲しそうな顔をしているが、無理矢理笑顔を作っている。
俺の目の前にいる4人のうちの一人が、俺の恋人。答えは分かっている。
彼女たちは、自分の心にけじめをつけるために来たのだろう。
4分の1。25%
「「「決まった?」」」
「ああ、決まった...」
これで、俺は、3人の恋を拒否し、一人の彼女と、幸せになるのだ。
「俺の彼女は――」
「榊奈々だ」
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