第9話 今度こそ

  ~ 10歳の頃 ~



「ただいま~」




家のドアを開けてお父さんが帰ってきた!!


僕はすかさず玄関まで走る





「お父さん!!お帰りな………って!!!!!」






ボロボロ~ン





すっげぇボロボロで帰ってきた




「な、何でそんなにボロボロなの!?」



「いや~3年前ぐらいにツバメの家族を殺したハシブトガラスがいたでしょ? あれにまた会ったからちょっと本気だしちゃった☆負けたけど」





負けたんかい!!!!!





「え…てか鳥獣保護法で殺しちゃ駄目だから!!」



僕は慌ててお父さんに伝える。【野生鳥獣保護法】において専門ではない人間が勝手に野生の鳥を殺したり飼育しては行けないのだと





「警察に捕まるってお父さん!!!!!」





「ん?ああ…大丈夫大丈夫、ほんのデコピンしただけだから……いいやあでも野生の動物ほんと強いねぇ」







「(デコピンまでの損傷が激しいよお父さん!!!!!)」







「……ま、自然の世界だから奴らは懲りないだろうけどね」




「え……」





「カラス達も生きるために必死だからツバメを食べたのだろうし」





「…………」





顔を上に上げてお父さんは呟く





「いや~難しいねぇ」














「自然の世界っていうのは」










- そして現在ポッポ急便にて -





「キジ乃原さん!!配達終わりました!!」





「え?ええ、随分速いですねぇ…💧」




勢いのある僕の行動を見てビックリするキジ乃原さん





「次!!行ってきます!!!!!」




すかさず次の届け先の荷物を加え僕は飛んだ






「…………」





「すみませんねぇ…セミ丸君」





「わーてるよ」




キジ乃原さんはセミ丸先輩に頼んだ。





エナとおチュンも胸に羽を当てて心配している









【……きっと、無理してるよね】










僕は次の届け先へ果物を届けに行く






「(急いで…急いで…いつもよりも速く!!)」





普段のスピードよりももっと速く飛ぶ僕、すると上空から何かが接近して僕をキックした






「っとお、わりぃな!羽音」





「ぐあっ!?」





そのまま僕は突き落とされる。相手は……






「……セミ丸先輩…何でですか」





「ははっ、根に持ってるかと思ってな









【ツバメの家族を守れなかった事】」






「!!」







口を黙らせる僕……







「図星だな」






「……ええ、そうですよ、だからもっと速くなりたいんです!!」





「あ?」




「あの時」







あの時…僕がもっと嫌な気配に気づいて速く行ってあげて入られれば





「【ツバ江さん達を守れた】……か」






「………!!」







僕は頭を下げて





「……はい」






その言葉を真剣に聞くセミ丸先輩、そしてはあ~と溜め息をつき






「……わりぃが速く間に合ったところで無駄だぜ」





「!?何でですか!!!!」






「バーキャッロ、何でも糞もねーだろうが、忘れたのか」





セミ丸先輩は僕に自分の羽を指す(人間で言うところの指を指すってところかな)





「俺はカワセミ、お前はシジュウカラ


んでもって相手はカラス





俺達は小鳥だろうが」





「うっ!!」




確かにそうだ。相手はカラス、大型の鳥だし、鳥類額的に小鳥がカラスに勝った事案なんて聞いたことがない、こっちは補職される側だ






「行くだけ喰われるぞ、それにこれは自然界のルールだ」







近づくセミ丸先輩、そして厳しい目付きで僕に現実を伝える





「勝手な身勝手な行為で自然界のルール怖そうとしてんじゃねーよ!!!!!」







「……あっ!!」






そうだ、僕は怒りに飲まれて忘れるところだった






【助けてはいけない】




それが自然界のルールだから、人間ではなくこの世界は動物でのルールだ。



仮にあのハシブトカラス達がまた新しい餌を求めてさ迷ってたとしてもそれを邪魔してはいけない。彼等にとっての貴重な食料なのだから






「………すみません」




僕は頭を冷やした




それを見たセミ丸先輩も「ん」と微笑み





「仕事行くぞ」



いつも通り明るい先輩として振る舞ってくれた






「……はい!!」





忘れよう、この事は




それが一番の解決策!!





いつものペースで僕は配達を続けた











 ~ 4時間後 ~




「ふ~、今日の仕事がこれで終わりかな」




羽を伸ばしリラックスする僕





「帰ってキジ乃原さんの所へ報告しないと」




僕は本部の所に戻るため飛び直す








……その帰りの最中だった






「ん?」








「ひゃっはー!! オラ!!」





黒色物体が小さい何かを攻撃してる






「いた!!痛いです!!!!!」





小さい何かは丸くて白くて頭が黄色と黒でとても可愛い、あれは……






「……【キクイタダキ】!!!!!」





囲んでる黒い物体はやはりハシブトガラスだ!!




キクイタダキを蹴飛ばして転がしているようだ





「あ……う……」




キクイタダキは僕が車前からずっと痛め付けられてたのか、ダメージが大きく倒れてしまった!!






「ヒャハハハハ!!こいつボールみたいでおもしれーな!!!!!」




1羽のハシブトガラスが大笑いする





僕はそれを木に隠れてこっそり確認する。




「(…捕食するのか…?)」





「んで?こいつ喰うの?」




高笑いしているハシブトガラスの相方であるような小柄なハシブトガラスが聞く






「あ?喰うわけねーだろうが、こんな小さくて腹のたしにもならねーまずい奴」









ピクッ





「………あ?」




木の影で隠れてた僕の頭に何かプッツン来た






「だよなあ!!こいつ喰うぐらいならあん時のツバメ親子喰った方がうまかったぜ!!!!!」




中間ぐらいの大きさの奴が高笑いと小柄に叫ぶ






「おうともよ!! ツバメの髄液最高!!!!!!!!!!」





カーッカッカッカ-!!!!!と三羽纏めて大笑いした








「………そうか」




こいつらは命を繋ぐためではなく








ただ、遊ぶためにキクイタダキを……






「…………」








「カーッカッカッカ!!!!!


カーッカッカッカ!!!!!




……あ?」





高笑いが木を見る、それをどうした?と聞く中間





「……なんだ」




ガタガタと震えだす高笑い





「なぁ、お、おい…あれって……」




小柄が木の背後を指差す、すると木の後ろから



大きな



大きな





どす黒いオーラを纏った











シジュウカラ














人間【文瀬羽音】がゆっくりと歩いてきた








「アァァ~」




モンスターのような唸りをあげる僕(演技だけど)






「に、人間!!!!!?」




「お、おい!!やべぇぞ!何で人間がいんだよ!!!!!」





「こ、殺されるううううううう!!!!!!!!!!」





3羽カラス仲良くビビってる






「わーるーいこは、いね~がぁ~」




何故かなまはげの真似で脅す僕







「ぎゃあああああああああ!!!!!」



小柄が喰うならこいつにしてください!!と高笑いを前にだす





「あっ!おいテメー!……ひぃっ!」






三羽カラスの前に達手をあげる僕、それをゆっくり振り落とし






「た、助けてえええええええええええ!!!!!」





怯える三羽カラス達、その頭1羽1羽に





デコピン!!


デコピン!!


デコピン!!





「あだっ!?」






え…?え…?と戸惑う三羽カラス







「もう二度と…いたずらしね~かぁ~」





最後僕はホントになまはげの形相で三羽カラスを睨み付けた!!






「し、しませえええええええん!!!!!!!!!!!!!!!」





悲鳴には聞こえるようなカーカーと鳴き、三羽カラス達は去っていった






「ふう」





僕は急いでシジュウカラに戻る。





途中でたまたま通りがかったセミ丸先輩とキクイタダキを持ち上げて本部へ戻った。










~ 本部へ戻って3時間後 ~




「いやあ~助けて頂きありがとうございました~」




幸い致命傷無くキクイタダキは元気になったみたい。良かった






「いやぁ、大事でなくて良かったですねぇ」




ニコニコと優しい笑顔を向けるキジ乃原さん





「申し遅れました。私はキクイタダキの【キクイ(♀)】です。 あっ、お礼と言ってはなんですが、良ければこれをどうぞ」






「ん?」




キクイさんは葉っぱに文字が書かれた何かを全員に渡す





「これって」   



きょとんとするエナさんの横でおチュンさんは大喜び!!






「トップアイドル【オオルリのルリ】のコンサートチケットですの!!!!!」





その言葉を聞いてキクイさんはえっへんと




「その通りです!実は私、ルリさんの追っかけファンをやっていまして!!!!!


チケットを大量購入してしまいましたので皆さんどうぞ聴いて見てください!!!!!」






「うわっ、早口!?」



急にベラベラ喋りだすキクイさんに驚くセミ丸先輩







「……コンサートか」





そもそもこの世界にコンサートも追っかけファンもいるんだと









野暮な事は考えないで置こう




あんまり興味ないけど体験してみても良さそうだな






- 🕊️続く -
























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