第4話 : また!!?


「それで、何の用?」と俺は尋ねた。


クロエはニコニコしながら言った。


「アレックスに近づくのを手伝ってほしいの!」


俺は悲しげな顔でクロエを見つめながら言った。


「君は気づいてないのか?今、君が助けを求めてる相手は、君にフラれた男なんだ。」


クロエは悪びれもせずに笑いながら答えた。


「えへへ、ごめん。でもあの時の君はタイプじゃなかったの。」


―残酷すぎるだろ。


少し考えてから、俺は言った。


「悪いけど、今回は手伝えない。」


クロエはその答えに驚いて、机をバンッと叩いて立ち上がった。


「なんでよっ!!?」


俺はため息をつきながら答えた。


「はぁ……最近、いろいろ忙しくてさ。」


クロエはポケットから何かを取り出した。


そして、机にドンッと札束を置いた。


「これならどう!?約900円!」


―金だ……!


「オーケー、引き受けた!!」



俺はクロエがアレックスに近づく方法を考えていた。


その時、遠くの壁の陰から金髪のアホ毛がチラッと見えた。


―うわっ!?なんであいつがこんなところに!??


気づかないふりをして、クロエと無理やり会話を続けることにした。


「そ、そういえば……最近メガネかけてないんだな?」


「うん、今はコンタクトにしてるの。だってメガネ女子って人気ないんでしょ?」


―やめろ、世界中のメガネ女子の心をえぐるな。


「そ、そうか……。」


―ちっ、アホ毛がどんどん近づいてきてる!!



俺は渋々立ち上がって、クロエに言った。


「く、クロエ、もうすぐ授業始まるし、そろそろ教室に戻らないと。」


「そっか。うん、わかった。」


俺は急いで教室に戻るため、金髪アホ毛を避けながら通り過ぎた。


顔をそらしながら、早足で自分の席に戻った。


そして、席に座って再びアレックスとクロエをくっつける方法を考えた。


―マジで面倒だなぁ。


腕を組んで、天井を見上げながら思考にふけっていた。


数分経ったころ、集中していた俺の肩に誰かが触れてきた。


集中が一気に飛んだ。


―だ、誰だ?


振り返って見ると……目の前に広がるのはおっぱ――


「おい。」


い、いや違う、ディナだった。俺の肩に手を置いて、顔を赤らめて怒っている。


「な、なんだよ?」


ディナは怒った顔で俺を睨みつけて、顔を近づけてきた。


―な、なんだよこれ!? 俺は焦って目をそらした。


「こっち見なさい!!」


ディナは俺の顔を両手で掴んで、強引にこっちを向かせた。


そして言った。


「さっきクロエと何話してたのよ!?」


くっ……どう説明すればいいんだ!? 嘘でもつくか?


「い、いや……彼女はちょっとしたことを聞いてきただけだ。」


納得できなかったのか、ディナはさらに聞いてきた。


「何を聞かれたの!?」


「クラブ活動についてだよ、それだけ。」


それを聞いて、ディナはぱぁっと明るい笑顔になって、俺の肩をポンと叩いた。


「なんだ、そうだったのね!アレックスのこと聞いてたのかと思ったわ~」


―いや、実際にはその通りだったけどな。


ディナは自分の席に戻っていった。



はぁ……ビビらせんなよマジで。もう一度腕を組んで、考えに集中する。


気づけば、授業が始まっていた。


とりあえずこの件は後回しにして、授業に集中することにした。


1時間後――授業が終わり、ようやく休憩の時間だ!


俺は教室を飛び出し、ウキウキ気分で屋上へ向かった。


笑顔を浮かべながら、屋上の扉を開けて――


そこに、優雅に椅子に座っているサイアがいた。


彼女を見て、自然と近づいてしまった。


「ゼイ君。」とサイアは微笑みながら、隣に座るよう促した。


言われるがまま、俺は彼女の隣に腰を下ろした。


俺たちは軽い雑談を始めた。


「はぁ~……ねえ知ってる?ディナとクロエって、本当に厄介なんだよ。俺が全部巻き込まれてるし。」


サイアは優しく微笑んで言った。


「そうなんだ、大変だね~。」


「まあね。」


「もしよければ……私、少し手伝ってあげようか?」とサイアは恥ずかしそうに言った。


「……ねえサイア、好きな人に近づくにはどうすればいいか、知ってる?」


「……それって私に聞いてるの?」


「うん。」


サイアは少し真剣な顔になって、でも可愛く考え込んだ。


「えっと……一緒に出かけてみる、とか?」


―それだ!! ……でも俺、今まで誰かと出かけたことないんだよな!? クロエにどうやって教えればいいんだ?


黙って考え込んでいると……


「……あ、あのゼイ君?私、変なこと言っちゃったかな?」


それを聞いて、俺は勢いよく言った。


「サイア、今度の日曜日、時間空いてる?」


「えっ!?い、今週の日曜?う、うん……空いてるけど、どうして?」


俺は自信満々に言った。


「一緒に出かけてくれないか!?」


「え、えぇぇっ!?!?」


サイアは顔を真っ赤にして、動揺しながら言った。


「ど、どうして急に!?!?」


「もちろん、無理ならいいんだよ!」


しばらく沈黙したあと、サイアは顔を赤らめながら言った。


「い、いいよ……行こっか。」


「ほんと!? よし、約束な!朝8時!」


「う、うん……」


***


日曜日、朝7時。


―はぁ、約束したけど……服選ぶのって難しいな。


部屋で何を着ようか悩み続ける俺。


10着も試したけど、しっくり来ない!


この黄色いシャツでいいか……。


他にないし、これでいいや!


服を着て、準備を整えたその時――


玄関のチャイムが鳴った。


―サイアか?


急いでドアを開けると、そこには――


白いワンピースを着て、肩と腕が見える可憐な姿のサイアが立っていた。


そして、バケットハットが彼女の可愛さをさらに引き立てていた。


「お、おはようゼイ君……」と頬を染めて挨拶するサイア。


―くっ……もっとマシな服にすればよかった……!


(つづく)

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