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私を忘れないでへの応援コメント
自分が歳を取るのにあわせて、両親も順調に老いてきました。
核家族だったのもあり、「自分たちがどんなふうに着地点へ向かっていくのか、その様子を見せるのが最後にできることだ」とよく言っています。
若さという可能性を能力や結果や試行錯誤へ変換することに一心に費やす、そんな登山の前半はいつか過ぎて、逆走につとめても下へ下へとなる降りエスカレーターのような後半が始まる。
そしてその「くだり」には、記憶や追想、理性をはたらかすための頭の衰えも、場合によってふくまれる……。
雨に降られて落ちて、遠からずどこかへ行くだろう花弁、なお枝から取り落とされず、花言葉を彷彿とさせて咲く「まだ残されているもの」、それらの総体としての「私(僕)」。
限られた自然のあっという間を思うなかで、まだ思い出せる大事な記憶をそっと取り出す。そのひとときには幸いなるかな、同じだけの時間を数えてきたワイン、生きてくために接してきて、もうしばらくも接していくだろうものがある。あと何回いけるかな。
深い滋味をあじわえる掌編、いいもんだ。
先に☆を押させていただいた一本も、饒舌ではない短さのなかに色濃い情感がありました。
どちらも好きです。なるほど、書きはじめからこういうものが編める、そんな筆力と機微があったなら、短期間にたくさん打ち込まれてることにもほんの少し納得がいくやもです。
楽しかったのではなかろうか……いや、勝手な想像ですが!
作者からの返信
この短編は結婚記念日の翌日の早朝、静かな雨音にふと目を覚ましたとき、頭にシーンが浮かんできました。
消えない間に書き写し、完成したあと、隣でまだ寝ている妻をふとみました。
この短編で出てくる最後の妻は幻想か現実か、どちらとも取れるようにしました。
現実では私が先に逝きたいと思うのは自分勝手でしょうか。
私もそろそろ老後を意識する年になりました。
読んでくださって本当にありがとうございました。
私を忘れないでへの応援コメント
短いながらも綺麗な文章で素晴らしかったです!途中の和歌は古今和歌集のものだったのですね、春雨も涙なのだろうという歌をすぐさま出せるのは教養深く、きっと慈愛に満ちた人なのだろうと思わせてくれました!
(勘違いだったら申し訳ないですが冒頭のクーラーボックスがクー"タ"ーボックスになってしまっていると思われます)
作者からの返信
はい、投稿してから気付いて修正しました。クーラーバッグの間違いです。ありがとうございます。
短歌は大伴黒主の作で私の好きな歌です。ちょうど書いてた先ほど雨が降ってたので小説でも降らせてみました。
実は企画の花言葉を見て慌てて花言葉を織り込んだらスッと溶け込みました。ありがとうございました。
私を忘れないでへの応援コメント
読み方によっては切ない感じや甘い感じに見えてとてもいい作品だなと思います!!
作者からの返信
ありがとうございます!
果たしてあの妻は現実か幻か——
それによって花言葉の“私”が誰なのかも変わってきますよね。