After GAMEOVER 冷徹吸血鬼と内気な少女の運命改変物語
@Emily_White
第1話 キラーハウス
「おい、ドジ!早く来いって~!」
放課後、曇天の空⸺
金髪パーマのミアは今日も楽しそうに笑っている。
「てか、ここまじで雰囲気あるじゃん」
「でしょ!ほら、動画撮るよ~!」
赤髪ボブのアイビーと茶髪ポニーテールのソフィアも、相変わらず楽しそうだ。
毎日のこと。
「やってきました~!噂のキラーハウス!
今日はここに、バカエマを閉じ込めま~す!!!」
スマホを私に向け、高らかと笑う。
エマ。それは私。
別に地味な見た目をしているわけではない。
特別目立つ存在でもない。
どこにでもいる大学生だ。
そんなどこにでもいる大学生の私は“いじめ”を受けている。
「ほらエマ、笑えよ!」
「何か言ってごら~ん!」
なぜいじめの標的になったのか、
ひとつだけ心当たりがある。
大学2年生の春、
校内一のイケメンと言われているミアの好きな人から告白を受けてしまい
私は彼を振った。
いじめが始まったのはその次の日からだ。
だから、多分、それが原因。
「キラーハウスの中に入ってみたいと思いま~す!」
ミアが私の腕を掴み、強引に引っ張る。
どうやら今日の活動拠点は“キラーハウス”らしい。
ここはかなり有名な肝試しスポットだ。
森林地帯に入って20分ほど歩いたところに古く朽ちた廃墟がある。辺り一帯はどこか不穏で恐ろしい雰囲気に包まれていて、本来なら誰も近寄りたがらない場所なのに、ミア達は“いじめの舞台だ”と言って心底楽しそうに私を連れてきた。
黙ってついてきた私も私だけど。従わないといじめがもっと酷くなるのだ。
「まじで誰かいそうじゃん!」
「ちょっと怖くない?」
廃墟の中をスマホで撮影しながら奥のほうへと進む3人。私は未だにミアに腕を引っ張られながら歩いている状態だ。別に走って逃げたりなんかしないのに。
キラーハウスと呼ばれている理由は
ここに入った人間は、行方不明になったり、記憶喪失になっているから。
実際の話。
殺人鬼が住んでいる、と言われている。
「この辺でいいんじゃない?」
「ほらエマ、座れ!」
そんな危険な場所に私を閉じ込めるのが今日の“いじめ”らしい。
警察さえ立ち寄らない場所なのに。
下調べもなしにここへ来た3人は馬鹿だ。
キィィ⸺・・
「何今の!?誰か音出した?」
「風じゃない?」
扉が軋むような音に肩を強張らせるミア。
ソフィアは気を紛らわすようにスマホをいじる。
アイビーは、一生懸命私を縛っている。
ロープでぐるぐる巻きにされた私。
3人は私の姿をスマホに映し、甲高い声で楽しそうに笑っている。
毎日のこと。
抵抗しても無駄だと分かっているから、何もしない。
ミアは大金持ちの娘だし、
アイビーとソフィアはミアのお気に入り。
勝ち組の彼女達に負け組の私が抵抗する権利はないのだ。
悲しいけどそれが現実。
卒業まではこいつらの“おもちゃ”だ。
カン・・・ カン・・・
遠くのほうから繰り返し響く、金属音。
ソフィアは再び怖がりな一面を見せた。
「まじでここ何かいそう。私らは出ようよ」
「かわいいじゃん、ソフィア。まあ、こいつはもう縛ったし、ミッションクリアかな!」
「最後に何か一言お願いしま~す!」
「・・・」
「つまんね~女」
無言で下を向く私に唾を吐くミア。
アイビーは地面に落ちていた石を蹴って、私に当てた。
痛い。
痛がる私の様子を見て、満足そうに笑みを浮かべる3人。
「いこいこ~」
その場に私を置き去りにし、来た道を戻っていく。
毎日のこと。
慣れって、すごい。
何とも思わなくなってしまった。
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