第43話 陰の監督

練習後、監督と選手の関係から高校生カップルに戻った

葵と涼音ちゃんの帰り道


「スズ、大会が終ったらさ、しばらく練習は休みにするから

 どっか遊びに行こうよ」

「プールと映画と異人館とハーパーランドと梅田と京都も行きたい

 あと、きゅんきゅんパフェも!」

「欲張りだな~」

「4年半も待ってたんだから」

「おこずかいが足りるかな」

「クローゼットに隠している物を買わなきゃいんじゃない」

「え?筋トレグッズのこと」

「エロ本とDVD」

「・・・捨てます(涙)」【お母さん、余計なことを(怒)】


気を取り直して

「じゃあ、最初はみんなでウォーターフロートに行こうよ」【水着が見たい♡】

「うん、いいよ」【セクシーボディー炸裂でもうイチコロよ♡】


「あと、早く秘伝の書を藤ちゃんに返した方がいいよ」

「うん。・・・え?」

【なんで知っとんねん!隠し場所をマジで変えなきゃ(>_<)】


そんなこんなで、二回戦 鈴丘学院 対 川崎桜明かわさきおうめい 10:00開始

そして同日13:00に、鈴丘東が準々決勝を迎えるのだ


美玖「あれ川崎桜明じゃない」

結衣「だね、何人いるのよ」

川崎桜明高校は全国から部員が集まり、45名の部員数を誇るのだ


先攻 1塁側 鈴丘学院 後攻 3塁側 川崎桜明が決まり

ベンチ前に葵が選手を集めて指示を出すのだ

葵「うち相手に、まさか先発がエースの藤原さんとはね

  桜明さんも本気みたいですね」

瑞穂「うちの1回戦を見れば、こうなりますわよ」

葵「ですね。向こうは選手が多いから、最初からエンジン全開で来ます

  得意のストレートを軸に、緩急をつけた変化球を投げて来るから

  狙い球は、ストレート1本。初球から積極的に行きましょう

  そして、個人の判断でバンド、盗塁OK

  まず、結衣!突破口を頼むぞ」

結衣「まかせてよ。エースさんご自慢の速球を打ちますよ~」


審判「整列!」

「ごきげんよう!」 「よろしくお願いします!」

【なんだ?この学校】


倫子「しかし、選手の数が倍以上とは随分な差ですわね

   それにスタンドにも部員がいっぱい」

葵「何人いてもフィールドに立てるのは9人で平等ですから」

倫子「葵ちゃんはいつも前向きね」

葵「はい!」

倫子「ねえ、葵ちゃん。私の胸元が開いているの気が付いている?」

葵「はい♡家に帰ったら、ゆっくり思い出します♡」

倫子「成長したわね!葵ちゃん」

部員「・・・」


「結衣ちゃ~ん、打っていきますわよ~」

「結衣ちゃ~ん、打ってくださいませ~」

「結衣ちゃ~ん、よろしくてよ~」


藤原投手【なんなのこの掛け声。。。投げ難いわね】

「いくわよ!鈴丘学院。私の渾身の直球を打ってみなさい!」


1番 結衣の1球目 なんと、挑発的など真ん中ストレート!

初球、ストレートを狙っていた結衣がジャストミート!

レフト、センター間を破り、3塁打! ノーアウト3塁!


3塁上でベースコーチャーのりんと結衣が握手

「あらあら!結衣さん、素晴らしいご活躍ですこと!」

「確かに速いです、でも、私たちは葵の速球で慣れてますから

 打ちごろです」


川崎桜明 島高監督 52歳

男子野球部監督時代に甲子園で春夏通算3回優勝の経験があるが、

津旅監督には0勝3敗。いずれも大敗


「おやおや、やりおるわ。あの高校生監督

 いや、スタンドにいる津旅監督

 甲子園の借りは返させてもらいますよ」

サインを送り、マウンドの藤原投手は悔しそうな表情


1球しか投げていないのに自慢のストレートを

早々と、否定されたと思ったのだ


川崎桜明の守備位置は変わらず、スクイズは警戒していない

そして、緩急をつけた変化球中心に切替えて攻めて来る


2番 しおり 初球インコースカーブ 見逃し ストライク

二球目 アウトコース低めスライダー 見逃し ストライク

三球目 アウトコース低めスライダー 空振り 三振、1アウト!

葵「しおり、球は見えているから次は行けるぞ!」


3番 涼音 初球アウトコース低めスライダー 1塁側にファール

葵「早々にバレましたか~でも」

二球目 真ん中低めカットボール 見逃し ストラアイク 0-2

三球目、四球目は際どいストレートが外れて 2-2

葵がサインを出し、バットを短く持つ涼音ちゃん

五球目 ボール気味のインコース低めスライダー

涼音が腕を器用に折りたたみ、レフト前にヒット!

葵「やった~スズ!」

1塁上で涼音ちゃんがにこり♡

鈴丘学院先制 1対0 1アウト1塁

ベンチはお祭りなのだ♪


しかし、4番 瑞穂、5番 麗奈は緩急を付けた変化球に対応できず

連続三振 3アウトチェンジ!

葵「切り替えて、切り替えて、いけますよ~」


葵「いやいや、対応が早いことで。こんなピッチングもできるんだ

  こりゃ、苦労するぞ」


守備に向かう美玖と麗奈さんバッテリーに葵が声を掛けるで~

葵「昨日と同じでスライダーとカーブ中心に縦横の変化と緩急で

  投球を組み立ててください

  ストレートはスピードを抑えて他の変化球は使わないように

  麗奈さん頼みます」

  

「はい!」


~つづく~

白熱した試合が続く

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