201分の1の悲劇。転じて喜劇なり 女子野球と恋の青春ストーリー

神戸 雪谷

201分の1の悲劇。喜劇の始まり

第1話 野球少年の悲劇が始まるで~

冬が終わり、多くの若者が希望に満ちた暖かい春を迎える頃

ある少年に春は来なかった


は~高校受験は失敗するし 彼女にはフラれるし 夢の甲子園は遠のくし 

踏んだり蹴ったり

夢と希望の高校生活が・・・始まる前に終わった


~夢描いた高校生活~

彼女のツムちゃんの応援を受けながら、甲子園で活躍するオレ

あおい~♡ がんばれぇ~♡ うってぇ~♡ だいすきぃ~♡


一瞬で消えた。がらがらがっしゃ~ん 

201分の1 悲劇が始まるで~


この喜劇。もとい悲劇を紹介、ナレーションするのは

主人公の少年 工藤くどう あおいを守護奉る“願叶え神ねがいかなえしん見習い” こと〇〇〇

見習い中ゆえ、名前を持つ事はまだ許されていない


師匠から修行の為に、誰でもいいから人間の所業を学ぶことを仰せつかったのだ

背後霊はいごれいちゃうで~ 誰や?そんなことゆーの? 神様やで~ 

ご注意:×神様 〇見習中

師匠が関西担当の神様だから、 “えせ関西弁”を使うずら←あれ?

ほな、主人公を紹介するで~


主人公は「工藤 葵」鈴丘すずおか三中 三年生15歳

イケメンでモテモテ 成績は・・・

彼女は小学3年時に転校先で出会った村上むらかみ つむぎ(葵の超ド・タイプ)

野球部エースで4番。全国中学軟式野球大会でベスト8

全国の強豪校から多数のスカウトがあったが全部断ったのだ

それは、愛しのツムちゃんと地元の進学校 県立鈴丘東に進学するため 


そして、葵の運命を大きく変えていく彼女を紹介なのだ♪

村上 紬 鈴丘三中 三年生15歳。

自他ともに認める学校一かわいい、おとめ系女子

成績優秀!彼氏は工藤 葵。美男美女のカップル♡

女子体操部エース 全国大会で三位。体操の名門校 県立鈴丘東に進学予定


ストーリーは高校受験前の2月14日 中学最後のバレンタイン♡

学校の帰り道から始まるで~


「ツムちゃん~愛のこもった手作りチョコありがとう♡ねえ、マクト行こうよ♡」


「ラブ♡ラブ♡キュン♡キュン♡おいしくなぁ~れ♡私の愛情たっぷりのチョコよ

 あおいがとろけちゃうかも~♡」

「もうとろけてる~」


「ところで、あおい。受験直前って分かってる?

 マクトに行ってる暇あるの?あおいの成績だと東はかなり厳しいよね?」


「ツムちゃん。鈴丘東は野球の古豪

 オレはエースで4番、全国ベスト8だよ。内申点だけでも余裕だよ♪

 それに志願倍率はいつもの通り低いし、落ちる訳がないのだ

 東で甲子園に出てツムちゃんに応援してもらうのが夢なんだよ」


「あおいの合否判定・・・E(ほぼ不可能)でしょ」


======


時はとっとと進み、3月5日 鈴丘東の入試日の朝やで~♪

葵が紬を家まで迎いに行くのだ


ピンポ~ン

「は~い」 ガッチャ

「おはようございます!れいちゃん(ママ)。ツムちゃんいますか?」


「葵ちゃん、おはよう♪ちょっと待ってね~呼んでくるから」

「ツム~!葵ちゃんが迎えに来たわよ」

「ちょっと待って~ママ。リップ塗ってるから~」


「早くしなさい!遅れるよ!

 葵ちゃんごめんね~」


「ねぇ、葵ちゃん。ツムも言ってたけど、東で大丈夫?」


「あー余裕っす!結局、200人定員で志願者は201人

 落ちる訳ないですよ~♪」


「よっかたら“うち”に来てね♡」

「また、そんなこと言う~大丈夫ですよ」


紬が出てきて

「だったら、いいけどね~おはよう!あおい

 落ちたら、別れちゃうんだから~」


「おはよう。今日も可愛いねツムちゃん!

 大丈夫!大丈夫♪」


すると紬の隣家ベランダから、葵と紬の幼馴染 

河野こうの 涼音すずねが声を掛けてくるのだ

「おはよ~受験頑張れよ~」


「おはよ~ありがとう!」

「いいよな~受験が終わってるやつは」


「お前ら早く行かねーと、遅れるよ~」

「やっべー行ってきま~す」「行ってきま~す」


「がんばりなさいよ~(ツムは)」 葵は?

「がんばれよ~(ツムは)」 葵は?


そして、葵、紬は同じ試験会場で共通の親友 高田たかだ あかね

共にテストに臨むのだが・・・

さすが葵の彼女 紬ちゃん。タダ者ではないで~


入試は進み、最終日も残すは英語のみ

英語が得意な紬は15分を残して、心地よい睡眠に入るんやけど

静かな試験会場に紬の寝息が響き

「スー」 「スー」 「スー」


突然

「うぅひっひぃひぃひぃひぃ(笑)」


「ツムちゃん!?」

「ツムぅーーーあんたね!寝笑してんじゃないよ!よだれ拭きなさい!」


「えぇ?」


周囲の生徒は笑い出し、試験どころではなくなったのだ

しかし、紬ちゃんは寝顔もかわええな~

ツムちゃんの守護もええなあ


「はい。静かにして集中しなさい!!そこ、もう寝ないよ!」

「すみません・・・」


その後も、思い出し笑いをする生徒が後を絶たず、

つられて笑い出す生徒が続出し、もはや収集がつかなかったのだ

さすがに凹む紬 チーン


~キン♪コン♪カン♪コ~ン♪~

「それでは終了。手を止めなさい」

 これで入試テストはすべて終了です。お疲れ様

 合格発表は3月14日です。校門すぐ右手の掲示板で確認するように」


三人「おわったー!ファミレスいこ~」

っと、合格前提でのんきにファミレスに行く3人やで~


その後、解答用紙を回収する試験官があっけにとられ

「なんじゃ!これ?きったね~よだれ?

 あの可愛い子のだよな?」


合格前提で葵がのんきな日々を過ごしている頃

採点が終わった3月12日 鈴丘東の校長室に教頭先生が飛び込むで~


川東かわとう 校長先生~ やばいですよ やばいですよ」

「う~ん 何~? 教頭先生」


「入試の結果なんですが・・・」

「どったの?」


「それが、合格ラインの200番目に同点が2名いまして」

「う~ん?規定で判断したらええやん」


「いや・・・それが。。。その二人と言うのが

 鈴丘三中の村上 紬さんと工藤 葵くんなんです!」


「なぁ~にぃ~!そりゃ、やってもたな 

 って誰?」【知らんのか~い】


「村上さんはわが名門体操部の次期エースになり得る逸材!

 地元テレビの未来アスリート紹介にも出ている有名な選手ですよ

 そして、工藤くんが入れば野球部の35年ぶり甲子園も夢じゃないです!」


「マジ!よりによって、なんでその二人なのよ」


「村上さんは英語テストで名前と受験番号の書き忘れで0点のうえ

 試験中に彼女の寝笑いで試験会場が滅茶苦茶になったんですよ

 工藤くんは内申点はいいんですが、試験がボロボロで」


「まじか~究極の二択やんか

 ちなみに、私立の併願校アンケートは何て書いてんの?」


「えっと、村上さんは鈴丘第一で工藤くんは鈴丘学院ですね」

「村上さん一択!」即決やで~


「えぇ?校長!甲子園に行きたいって言ってたじゃないっすか!?」


「いやいや、体操部の輝ける伝統を守るのが大事だよ」

【これはが喜ぶぞ~褒めてくれるかな♡】


「あ~ぁ、分かりました。規定通り、校長判断で行きます」【このエロおやじ!】

ちなみに、当県の県立高校は単願制(県立は一校しか受けれない)やで~


=======

そして、余裕で迎えた3月14日合格発表の日

201分の1の悲劇(喜劇)の始まりやで~ (笑)


「あった~」「受かった~」「あるある」「部活は何しよ~」

「卒業旅行いきたい~」「おめでとう」「お母さん受かったよ」

と周りでは歓声が上がる中


茜「わたし受かった~!」

紬「あおい。私も受かったよ。あおいは何番?」

葵「135番・・・

  133、134、136

  あれ?オレ視力、悪かったっけ?」


近くに寄って

「134、136」

「あれ?いじわるだな~小さすぎて見えないよ~!虫眼鏡。虫眼鏡」

紬・茜【なんで持ってる?】


「ない・・・いや!これドッキリでしょ!どこ!カメラは?」


紬が葵の両肩に手を置き

「あおい。もういい。もういいのよ。現実を受け入れようよ」


葵が近くにいた先生を見つけて

「先生!これ印刷ミスじゃないですか?135番が抜けていますよ!

 やだな~冗談でも、これはダメですよ~」

紬【往生際の悪い男やな。早く別れよう】


「う~ん?縦に20名。横に10行。定員200名。ぴったりだよ♪

 ちなみに不合格一名♪」【君なのね】


「・・・」

「うそだ」


紬「あおい 鈴丘学院は受かってたよね」


「受かってるけど・・・東の合格が前提で家の近くって理由だけで受けて・・・

 オレ。。。201分の1で落ちる!?(泣)

 なんでオレ?」


「葵。覚えてる? 別れるからね!

 一人しか落ちないのに、どんだけ運が無い男なの!」

ちなみに紬ちゃん。受かったのは、葵の犠牲のおかげやで~


「ツムちゃ~ん、そんな~(泣)」

「あばよぉ」


「むごい」

「あ。それだけ貰っていくよ」

【富士山から飛び降りる覚悟で買った5000円のホワイトデーのお返し・・・】


友人から県立合格報告のライン連絡が入り続ける葵のスマホであったが、

見ることも無く

超プラス思考の葵もさすがに凹み 直帰宅するのであった


家の玄関には、連絡がなくて怒り心頭の母 真由が待ち受けてるで~

「ただいま~」

「あんたライン既読にならないし、連絡ぐらいよこしなさいよ!

 受かったんだよね!?」


「ゲぇ!▼◇×●△・・・」 


「日本語になってないけど!いわんかー!」【落ちたな】

「落ちました。それにツムちゃんにフラれた」


間があいて

「まあ、仕方がない学院があるじゃない。私の母校だし、いい学校よ」

【ツムちゃんはあんたに、もったいないと思ってたわ】


「学院で新しい彼女と野球部を作って、甲子園に行けばいいじゃない

 そして、あんたを落とした東とツムちゃんを見返してやりなさい!」


さあ、ここで葵の進学先の鈴丘学院を紹介するで~♪

鈴丘学院高校(この4月から新校名) 3月までは鈴丘女子学院

創立123年の名門お嬢様学校だったが、時代の流れには逆らえず、

共学化に踏み切ったのだ


共学化以外のトピックスと言えば、女子野球部の創部

昨年度より女子野球部を創部したものの、部員は新2年生4名のみ

監督は津旅つたび 藤一郎とういちろう 68歳

山奥にある県立池島いけしま高校を甲子園で春夏通算3回の優勝に導いた名監督

教員定年後は強豪校の監督依頼を断り続け、悠々自適の生活を送っていたが、

鈴丘学院の依頼はなぜか?即決快諾したらしい

今年は津旅監督に憧れた野球女子が数名入学したのであった


その夜、葵は切り替えが早いで~♪ わてと一緒やな


「よく考えれば!」

①鈴丘東で35年ぶりの甲子園より、元女子高が創部3年以内で

 甲子園出場の方が話題になり、目立つ!それに応援が。。。むふ♡

②鈴丘学院は元女子高。 女子の人数 > 男子の人数

 絶対、ツムちゃんよりかわいい彼女を見つけてやる!


入学時から自動的にパラダイス ⇒ ゼロから甲子園出場 ⇒ 

全国区のイケメンヒーロー ⇒ もはや敵なしの超絶モテモテ♡

オレの壮大なパラダイス計画! いざ!始動―――!!


パラダイス計画に向けて燃えに燃える葵は

眉毛を整え、お肌のお手入れ、ムダ毛処理に燃えるのであった


練習せんのか~い!


「あれ?ツムちゃん・・・ライン ブロックした?・・・」


~つづく~

葵の不合格には裏があるで~お楽しみに!

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