第6話 股間竜とチャンピオン

レオン、リシアナ、ティアの3人は、伝説の賢者を探す旅に出た。

森を抜け、隣の村を目指して進む中――


魔物たちが、次々と襲いかかってきた。

牙を剥く巨大な狼。

毒を吐きかける大蛇。

しかし、3人の戦闘力は圧倒的だった。


「フン、召喚士。こんな雑魚ども、俺の力で一掃してやろう」

バハムートが股間から唸った瞬間、レオンが慌てて叫ぶ。

「待て、バハムート! お前が力使うと――」


……遅かった。

黒炎が、レオンの股間からドヴァーッと噴き出す!

狼は一瞬で焼き尽くされたが、同時にレオンのズボンも弾け飛んだ。

「うわっ! まただーっ!」


ティアが目を輝かせ、ポケットから観察日記を取り出す。

「素晴らしい……! 炎の出力、股間の動き……記録だ!」


「興奮すんな! 変態すぎるだろ!」


リシアナが剣を振るいながら、大蛇をぶった斬る。

「結局、私一人で戦ってるじゃん!」


「フン、女。俺の力を頼らぬ貴様が悪い」

「頼ったらレオンの股間が丸出しになるでしょ!?」


魔物を倒しつつも、レオンのズボンはボロボロ。

ティアの観察日記は「炎の角度」「鱗の揺れ」でびっしり埋まり、

リシアナの疲労だけが順調に蓄積されていった。


* * *

ようやく隣の村にたどり着いた一行。

村の入り口には、堂々と立つ一人の青年がいた。


筋骨隆々の体に、自信満々の笑み――その名はガロン。


彼には、父から受け継いだ一つの教えがあった。


「股間の大きさが、男の大きさである」


この言葉を胸に、彼は人生を歩んできた。

股間のサイズに全人格を賭け、鍛錬を重ね――

ついには村一番のチャンピオンとなった。


「お前たち、旅人か。俺はガロン、チャンピオンだ」


レオンが挨拶しようとした、そのとき。


――ドスンッ!


突如、巨大な蜘蛛が森から飛び出してきた!

「フン、召喚士。また雑魚か。俺に任せろ」

「待てバハムート! またズボンが――!」


言い終えるより早く、黒炎が股間から炸裂した。

蜘蛛は一瞬で炭になり、同時にレオンのズボンも粉砕された。


そして、その光景を目の当たりにしたガロンの目に――

股間から火を吹く、黒き竜の姿が飛び込む。


「な……火を吹く股間の竜だと……!?」


ガロンの顔が青ざめ、次の瞬間――

ドサッ!


目を白黒させて、その場に倒れた。

股間の大きさに人生を賭けた男にとって、

“火を吹く股間竜”は、価値観をぶち壊す衝撃だった。


ティアが日記を取り出し、淡々と書き記す。

「股間バハムートの威力が、チャンピオンを失神させる……!」


「淡々と言うな! 人が倒れてるんだぞ!」


リシアナが剣を収めて、呆れた顔でため息をついた。


「レオン……股間竜のせいで、また変なことになったね。チャンピオン、可哀想に……」


「フン、貴様ら。俺の力が強すぎるだけだ。感謝しろ」


レオンは、ズボンの残骸を拾い上げながらぼそっと呟く。

「……感謝できるか。ズボン、何枚あっても足りねぇよ……」


* * *

かくして、レオンたちは――

人知れず一人の男の夢を奪った。

股間の大きさを信条に生きてきたガロンの誇りは、火を吹く股間竜の前で、脆くも崩れ去ったのだった。


村の入り口で倒れ伏すガロンを尻目に、

3人の旅は、今日も続いていく。


股間竜の力は確かに強大。

だがその代償は、レオンのズボンと、周囲の平穏だった。

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