銀と想望の戦勇録 ——ぎんとそうぼうのエピックス——
AcetyleSho_A
PROLOGUE
薄暗い部屋の中、二人の若い男女が背中合わせで座っていた。
「ねぇ、英雄王。戦争って、なんでなくならないと思う?」
男は女に静かに問いかける。
「なんでだろう。……やっぱり、人の価値観は違うから。それに尽きるのかな、勇者様」
女は何かを思い出すように答える。
「だな。同じ人間でも、みんな違う存在だ。だからこそ諍いなんてなくなるわけがない」
「そうだよね。なんだか、悲しいなぁ」
月光が差し込む。二人の胸元で、銀色のペンダントがきらめいた。
長方形で無地のそれは、一見何の変哲もないようだが、月光に輝くさまは何かの力を感じさせるようだった。
同質の者が好まれ、異質の者は拒まれる。
闘争が無くなることはない。異質の淘汰をする上で、暴力は最強の手段であるから。
集団を守るために、人は戦う。
そして、”異質”を退けた者は”英雄”と呼ばれ讃えられる。
これが、人の世の理。
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