魔王軍の配下に転生したが、底辺の底辺だった件

レイスフィー

第1話 前世

俺の名前は、犬山 牙。(いぬやま きば)

男らしく尖ってていいという理由だけで、付けられた名前だ。

俺の親は、俺が小さい時に亡くなっている。

交通事故にあって、死んだらしい。

そのあと俺は親戚に預けられ、大学も卒業した。

それからの俺は、社会に出て失敗続きで何をしたいのかもわからなくなり、今年で26歳になった。

今の俺は安定した仕事につかず、工事現場などで、日雇いのバイトに明け暮れる日々。

楽しみは、家に帰ってビールを飲みながらテレビを見ること。

大体それで、その日1日が終わる。

先のことなんて、考えたこともない。

親戚のじっちゃんばっちゃんには、世話になったけど、自分がしたいことも見つけられず、恩を返せずじまいだ。

そんなろくでもない毎日を過ごしていた、ある日

「おーい、いぬやま」

誰かが呼んでいる、現場の先輩かな?

つっても年齢は、だいぶ離れているが

「先輩なんすか?」

「今日は、もういいからあがれ」

「えっ?」

「お前、ここんとこ働きすぎじゃないか?」

「杉山のじいさんなんか、週に3日しかこねえのに」

杉山のじいさんは、たまにしかこない高齢の人で、いつも腰が痛いって言ってるじいさんだ。

「お前ときたら毎日よく来るよ」

「たまには休みをとって、旅行でも行ってきたらどうだ?」

「現場なんて逃げやしないし、掘るとこなんざいくらでもあるからよ。」

「はぁ、旅行っすか…」

そうだなぁ、たまには新鮮な空気を吸いたい気もするし、旅行に行こうかな?

「とりあえず今日は、お言葉に甘えて帰ります。」

「おう、旅行いったら土産頼むな」

先輩が笑いながら言った。

「行くかどうかわかんないっすよ?」

「まあ行ったらでいいからよ」

「はいはい」

俺は去り際に手を上げて、先輩に答えた。

いつもより早いけど結局暗いのには、変わりない。

今は19時で日もだいぶ落ちている。

「コンビニ寄って帰っかな。」

俺はいつもの足取りで、近所のコンビニによることにした。

「うーん、何買おうか」

「夜食に、ビールにえーっとつまみはっと」

「あったあった燻製肉」

これが一番つまみとしては、うまい

噛みごたえがあるし、なにより美味しい。

「さて、買うもの買ったし帰るか」

俺は、いつもの暗い帰り道をルンルン気分で、帰っていると近くで犬の鳴き声がした。

「クゥン~」

「ん?」

近寄ってみると、犬が弱っていて伏せている状態だった。

なんだろう?

腹が減ってるのかな?

これ食べるか?

俺は、つまみとして買った燻製肉を、犬に差し出した。

「美味しいか?」

「ワンワン!」

「おわっ!?」

「なんだ、腹が減ってただけだったのか。」

「暗いから気を付けて帰れよ~。」

犬は俺が来た道を、走り出して行った。

「おい!そっちは車が多いから気を付けっ」

俺は犬が気になって、追いかけていた。

犬が急に止まったのを見て、安堵し俺は犬を捕まえた。

「ふぅ~、だめじゃないか急に飛び出したら。」

安心しているといつの間にか、車が目前まで迫っていた。

やばい逃げないと!

犬をつれて逃げようとするも、足が動かず

もうダメだ!

と思った時、鈍い衝撃と音がなった。

キキーーッ!ドンッ!

そこで、俺の意識は消えた。

せめて犬だけでも、助けられたら良かったのにな。

抱き抱えていた犬のことを俺は考えていた。







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