第7話 アホだから踊る、だから見つける②

 授業の中にはzoomを活用した授業もいくつか存在する。その中の一つが言語文化ロシアというものだ。


『え〜、この授業はロシアの映画を見て、ロシアの文化を学んでいこうということで、やっていきます。え〜、評価方法に関してはシラバスに書いてある通りで、2、3回の授業に分けて映画を見て、そのワークシートで評価となります。詳しいところまで聞くつもりなので、ちゃんと見ていないと解けないという形になっていますので、ご注意ください。』


こういう授業は空き教室が1つ割り当てられていて、学校内で受けたい人はそこを使って受ける。俺は別にその必要はあまりないんだが、何となく学校で受けてみることにした。


「この授業、割と人少ないんかな?」

「そーなんちゃう?zoomん中も50人ちょいしかおらんし。」

「確かにそうかもな。」


先生の注意事項を聴きながら、周りの海洋海洋のメンバーと話す。この授業は海洋先端の仲間は居ないものの、海洋海洋のやつは数人いた。


『授業中に見せる映画のラインナップはこんな感じになっています。結構昔のところから、最近…近代の所まで見ていこうと思っていて、途中途中に私の解説を交えながら進めていこうかなと。そしてそこからも質問を出していくつもりです。』

「「「「え?」」」」


教室に揃っていた4人でそう声をあげる。教授の解説からも質問があるということは、ようつべとかであとから見れないということ。しかも先にこうやって言うということは、割合はそこそこ多そうだ。


「どーするよ。これ。」

「さすがにやばすぎるな。何か解決法を考えないと。」


また話を聞き流しながら始まった俺たちの会議。どうにかしてこれの突破策を考えないと、楽だからと選んだこの講義を無駄にしてしまう。


 この授業は最初にも言った通りzoom上だ。PCの画面に授業のスライドやそれこそ動画も映る。


「この方法なら…」


俺は「PC 画面録画」と調べる。するとすぐに方法が出てきた。


「っしゃー!勝ったぞ俺たち!」

「どうした?」

「Windowsキー+G押してみ。」


俺がそう言うと、3人とも同じようにキーを押す。これを押したら画面に色々なものが出てくるが、その中の一つが今回の救済策。


「画面録画や。」


講義の間、ずっと画面録画をしといて、分からなかったところは見返す。そうすれば自然とレポートも満点に近い点数を取り続けることができる。


「思いついてもそんな違法スレスレのところ攻めるやつおらんて。」

「でもやるんやろ?」

「成績のためや。」


バカと天才は紙一重。それが証明された瞬間だった。

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