第11話 デカい買い物


 今日は杏達と美柑達の見舞いに来ている。

 明日には退院らしく、元気いっぱいの二人は筋トレをしていた。


「何やってんだ?」

「はぁ、はぁ、き、筋トレ」

「早くみんなに追いつきたいからな」

 二人とも汗だくだ。

「そうか、あんまり焦るなよ?」

「ランクSのイッチーに言われてもな」

「パーティーなんだからレベル上げくらい手伝うさ」

 焦ってもうまくいかないしな。


「ちなみに杏ちゃん達は?」

「ランクですか?Dです」

「それなら追いつけそうだな」

「だな!」

 二人ともリハビリのつもりか?

 

「待っててやるからゆっくり上がって来い」

「足手纏いにはなりたくないからな!」

「ツッパるならとことんだ」

 武道はまたレトロなことを言うな。

「はぁ。わかったよ」

 と筋トレを終わって汗を拭いている。


 二人がどんなジョブにつくのか楽しみだな。

「ビルを買おうと思うんだが、どこがいい?」

「は?ビルなんて何億すんだよ」

「ランクSになるとそんなに金もらえるのか?」

 とビックリする美柑達。

「まぁ、持ってるものを売れば大抵買えるかもしれないからな」

「何持ってんだよ?」

「魔石?とか」

 と言って目の前に出す。

「デカいな」

「こんな魔石初めて見ました」

 杏達も目を見開いて見ている。


「だから『JAM』の拠点にしようかと思ってな」

「マジで!そりゃいい!」

「俺たちの拠点か、夢が広がるな」

「もちろん僕たちもだよね?」

「あぁ、チョコ達もここにくればいいさ」

 せっかく仲間が増えたんだからな。


 そこからはみんなでワイワイしながら拠点になるビルを物色する。

 内見は美柑達が退院してからだ。

 それに俺はそこに住むことになるしな。


「へえ、いまはホテル住まいかよ。いいなぁ」

「ホテルって言ってもビジネスホテルだぞ?」

「ならビルを買ったらそこに住むのか?」

「そうなるな」

「俺らも住もうぜ!」

「だな!俺と美柑は住むの決定な」

 と武道が言う。

「私達は大学があるから」

「そうだね、僕たちは大学優先するし、親が反対するだろうからね」

「杏達は来たい時にくればいいさ」


 それから夕方まで話をして美柑達と別れる。


「良かったね!明日退院だし」

「だな、まぁ、騒がしくなるな」

「嬉しいくせに、なんでそうクールなのかな?」

「別に、これが普通だ」

 チョコに言われるが至って普通だと思う。


「じゃあ私達はここで」

「あぁ、またLUINしてくれ」

「はいはーい!またね!」

 と杏達とも別れて街を歩く。


 ギルドに入って受付で魔石を売る。

 これで10億は貯まったな。

 ギルド長に捕まるまえにカードを貰いホテルに帰る。


 それにしても『王道』のトップは誰なんだ?

 ネットで検索するとでてきたのは、

 『神崎寿郎カンザキトシロウ』こいつもランクSなのか……


 岩垣があんな手下のような事をしていたり、幹部という奴がダンジョンにいたり、一年で『王道』もだいぶ変わったみたいだな。


 まぁ、まだ下しか見えていないからなんとも言えないが、俺たちがこの街で好き勝手にはさせない。


 美柑と武道、後俺の分のお返しをしないとな。


 翌日は晴れて絶好の退院日和?

「やーっと出れた!」

「一年も意識がなかったなんてな」

 俺たちの他にも美柑と武道の親も来ている。

「あんたは……年上なんだからもっとしっかりしなさい!あと、兵藤君、美柑を治してくれてありがとう」

「うちの武道も……ありがとう」

 と頭を下げてくる。

「いや、俺もすいませんでした」

 頭を下げる。

「なーに、辛気臭いことしてんだよ!やっと元に戻ったんだ!俺は冒険者になるぞ」

「俺もだ、冒険者の先輩として俺らを引っ張っていってくれよ!」

 美柑と武道は俺にそういうと親に向かって、

「一年、ありがとうございました」

「これからは冒険者になって楽させるつもりだ」

 と言う。


「あんたは馬鹿なんだからしっかりやりなさい」

「武道、元気にやるんだぞ?」

「「おう」」

 親には冒険者になると言ってあるらしく、親も悪さするなら冒険者になってくれたほうがいいと思ったらしいな。


「よし!とりあえずビルは後回しで退院祝いでファミレス行こうぜ!」

「「「「おう!」」」」


 二人の親と別れてファミレスで退院祝いをする。

 みんなで今までのことや武勇伝をしゃべる美柑。俺と武道は久しぶりだから喋らせとく。

 杏とチョコは笑いながら聞いていたので話半分なんだろうな。


「あ、ビルなんですがここなんてどうですか?」

 と杏が書類をだしてくる。

「ん?へぇ、いい物件だが、どうして?」

「私の親が所有しているのですが空き物件だったので」

「白鳥財閥の物件だからいいと思うよ?」

 とチョコがぶっ込んで来る。

「白鳥財閥?杏はお嬢様なのか?」

「いえ、親戚になりますが叔父様にはよくしてもらってます」

「「「へえぇ」」」

 白鳥財閥といえば車で有名だな。


「じゃあ、この物件を買うか?」

「おう!金はないぞ?」

「俺が買うんだよ。いくらだ?」

「16億でいいそうです」

 後六億か、それならなんとかなりそうだな。


「手付で10億渡すから、後の6億はちょっと待っててくれるか?」

「はい、それならそう言う話で持っていきますね」

 と杏と話をすると、

「手付で10億……どんだけ金持ちなんだ?」

「分からないな、俺らの金銭感覚じゃ」

「僕だって分からないよ、庶民にはちょっとね」

 と3人が喋っている。


 俺だって一年でこんだけ変わるなんて思わなかったぞ?

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