第8話
第8話:エデンの果て
ネルフ第3ブロック。中央ラウンジでは、職員たちが整列させられていた。情報局の武装部隊が隊列を組み、冷たい目で職員一人ひとりを検査していく。空気は重く、誰もが言葉を失っていた。
坂本聡は、ガラス越しの監視室からその光景を眺めていた。
「これが“秩序”だよ、佐伯。君の理想主義では、組織は守れない。」
部下が報告に来る。
「佐伯隼人、現在所在不明。推定で地下第7層エリアに潜伏している可能性あり。」
「地下第7層……加持の残した旧記録庫か。」
坂本の目が細くなった。
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その頃、佐伯と加持は、まさにその第7層で旧記録を解析していた。端末の奥から浮かび上がるのは、“アダム計画”と“リリス接触実験”の本当の記録。
「これは……始まりじゃない。これが、人類補完計画の“前日譚”……!」
記録には、かつてゼーレが主導していた“エデン計画”の存在が記されていた。
「人間とは何か?」を問うために作られた、最初の“人工エデン”。
「人類を補完するんじゃない……彼らは、“人類の再定義”をしようとしていたんだ。」
加持が息をのむ。
「補完計画は、神への冒涜なんかじゃない。“神になろうとする計画”そのものだった。」
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一方その頃、冬月副司令は、静かに中央政府からの命令書を破り捨てていた。
「ゼーレも、坂本も、どこかで“人間の限界”を決めすぎている。」
彼の脳裏に浮かぶのは、かつて碇ゲンドウと交わした約束だった。
——「もしこの世界に“神”がいるなら、最後には我々がそれを裁くべきだ。」
冬月は、ついに動き出す。
ネルフ副司令としてではなく、“一人の人間”として。
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ネルフ本部は臨界点に向かっていた。
佐伯と加持は、「エデン計画」の証拠データを持ち出すべく、中央演算ユニットに侵入する決意を固める。
だが、そこには坂本が待っていた。
「ようやく来たな、佐伯。」
「……裏切ったのは、どちらでしょうね?」
「正義の名のもとに混乱を呼ぶ者か。秩序の名のもとに監視社会を築く者か。選ぶのは、君だ。」
二人の視線が交差する。そこにあるのは、かつての同志としての絆ではなく、“思想”そのものの対立。
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エヴァンゲリオンとは何か。
人類補完計画とは何か。
人間とは、どこまで人間でいられるのか。
物語は、静かに“神の領域”へと足を踏み入れていく。
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次回予告:第9話「使徒のいない世界」
「人類の敵」とされた“使徒”が姿を消した今、補完計画は誰のために進められるのか。
坂本の最後の一手、加持の決意、そして佐伯が見た“最終鍵”——世界は、静かに崩壊を始める。
これは、神なき時代に生きた者たちの、魂の記録である。
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