短編集

三家明

大規模障害の一コマ

ふと俺の持つ剣に視線を流した。伝説の剣ヤマタノオロチブースト、だがあまりにも強すぎゲームが成り立たたない、没入型MMOの癖に没入不可能になっている。捨てようと考えているがなかなか捨てられない。しかし、ログアウトできない、先程から剣をログアウト登録した動きを繰り返しているのに。仕方がないのでクエストを受注しようと思い立って、石の上から立ち上がった。

向こうから仲間のウスイがやってきた、何やらキレ気味だ。

「ログアウトできないんじゃ」

「お前もか」

「お前もだろうな大規模障害なんだから」

「強剣を取ったぞ」

「よくそんなチマチマ強化だけを続けられるな、他に強い剣いくらでもあるぞ」

「伝説の剣だからな、他の剣はクエスト用に作られた諸説のない剣だから、好きじゃない」

「ゲームなんだから好きにしろ、てかログアウトどうすんだ」

「何してるんじゃ二人とも」

猫耳をつけた萌え系の幼女が話しかけてきた。萌キャラを演じているのだろう。

「大規模障害だよ」

「大規模障害だってさ」

「なんだ大規模障害か」

三人がつぶやく裏で運営は火の車になっているのであった。

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