第7話 歓楽街の女王?
「いい出来ですね」
「あ、ありがとうございます」
武器製作のスキルを得て。鉄を取り付けるのが簡単にできた。リリスさんは熱してつけると言っていましたが、スキルのおかげで磁石のように張り付いて取れないようになりました。凄い便利なスキルです。
中庭からギルドの中に帰ってくるとリリスさんが褒めてくれる。この年齢で褒められるのは少し恥ずかしいですが、嬉しいものですね。
「宿屋は決まっていますか?」
「え? えっと、彼女と泊まることはできないと聞いて。野宿をしようと思っています」
リリスさんの質問にエチルちゃんを一瞥して答える。エチルちゃんは自分のせいと感じて俯いてしまう。何とかしてあげたいものですけど。
「やっぱり……。それじゃ私の知り合いのやってる宿屋に泊まるといいわ。そこなら獣人だからって追い出さないから。あと、安いからシゲルさんにも優しいわ」
「それはありがたいです」
リリスさんは本当にいい人ですね。私のことも考えてくれてエチルちゃんのことも気にかけてくれる。いいお嫁さんになれますよ。
「この道ですか……」
「お兄さ~ん。私を買わな~い?」
「……」
エチルちゃんと手を繋いで紹介された宿屋へと歩き出す。
歓楽街というやつでしょうか……。エチルちゃんの教育に悪いところですね。
「お兄さ~ん。お耳ついてるの~。ふ~」
「あふっ。耳はついてますし買いませんよ!」
耳に息を吹きかけられて答える。思わず声を上げてしまったじゃないですか。ほんとに教育に悪いですね~。
「これから宿屋の【竜の息吹】に行くんです!」
「あら~、私のお店じゃない」
「え? ええ~?」
妖艶なお姉さんに話すとどうやら、いかがわしいお店だったようです。リリスさんは何を考えて……。
「私はこう見えてもこの歓楽街の主なのよ~。夜は高ぶるからいい男に声をかけているの~。ふふふ、私って見る目あるから~」
「あ、なるほど。地主みたいなものですか……」
お姉さんの説明に納得してしまいました。リリスさんのようなよいこがそんないかがわしいところを紹介するはずないですもんね。
このお姉さんが所有している宿屋ってことですよね。
「私はサキュバスの母と人の父から生まれたの。だから滾るのも早いのよ~。って魔族も嫌っている人がいるからあまり言えないんだけど。獣人を連れている人なら大丈夫よね」
「あ、はい。私はそう言う偏見はないです」
「ふふ、やっぱりいい男。リリスが紹介したんでしょ。私はリリスの母のメリスよ。よろしくね」
サキュバス……そんな妄想から生まれたような種族がいるんですね。
なるほど、それならば獣人というだけで差別するようなところではないですよね。
しかし、ルドラさんがここを知らないなんて……。少し彼を尊敬してしまいます。色んな意味で。
「こっちよ~ん」
メリスさんに続いて進んでいく。彼女はこの歓楽街のドン。色んな人に声をかけられています。
そして、私も声をかけられています。その度に、『私の男よ~ん』とメリスさんが釘を刺していく。本気なのか守るためなのか……、後者であってほしいですね。
「女将~。お客様~」
「メリス様。また護衛もつけずに……」
宿屋、【竜の息吹】につくと呆れな女将さんが迎える。
どうやら、普通は護衛をつけているみたいですね。今日はまったくいません。
「あの子達うるさいのよ~。また、子供がっとか。私子供好きだからいくらでも欲しいのに~」
「はぁ~……。えっとお客様は大丈夫ですよね」
メリスさんの護衛というよりもお客さんの護衛といった感じのようですね。彼女達の話を聞くに色んな方に手を出している様子……怖いです。
「怯えてますよ?」
「あら~。心外だわ~。一応言っておくけれど、私は見込みのある子しか声かけないんだからね~」
怯えていると女将さんが気が付いてくれる。メリスさんはそれでも妖艶に体を重ねてくる。妖艶なんですけど、怖いんですよ。蛇に睨まれた蛙といった感じです。
『魅了耐性を習得しました』
「む……」
スキル習得の声が聞こえてきました。なるほど、この悪寒はそう言う能力だったんですね。メリスさんはから感じていた怖さがなくなりました。
「あら~? 耐性がついたの~? ふふ、更にいい男になっちゃった」
メリスさんの瞳がハートのマークになっています。本能で私のスキルに気が付いたのかもしれないですね。ほんと怖いですこの人。
「はいはい。案内ありがとうございますメリス様。話が進まないから帰ってくださいね~。リリス嬢に報告しますよ!」
「あ~ん。それじゃ、また夜に」
女将さんが体を使ってドアの外へと追いやってくれる。
女将さんも大変ですね。リリスさんもですけど。しかし、最後の言葉が気になります。用心しましょう。蛇みたいに舌を妖艶に転がしていましたし。
「夜に何かするの?」
「エチルちゃん……。夜は寝るだけです」
「うん?」
やはり教育に悪い。早くどうにかしないと……。
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