第24禍 白い乗用車

『事件当時、不審な白い乗用車を見た、という近所の主婦の証言が…』


 そこまで聞いて、私はその証言を書いたノートの行に横線を引いた。

「また『白い不審な乗用車』か…」


 未解決事件を個人的に調べている私にとって、この「不審な白い乗用車」は耳タコ案件であり、重要度・低に属する目撃証言だ。

 なぜなら白い乗用車など世にあふれており、事件当時、その付近にない方が不自然だからだ。

 

 もちろん「なんでもいいから気付いたことを警察に報告する」姿勢は素晴らしい。

 だが、ないこともないが、その「白い乗用車」が解決のヒントになることも少ない。残念なことだが。


 しかしそれでも「不審な白い乗用車を見た」は多すぎやしないか。

 そう思い、ノートのノイズと思わしき証言を横線で消していると、それを覗いていた友人が言った。

「へ~そこまで多いと怪異だね」

 私のペンが止まった。


 …神隠しやもはや人知を超えたチカラが及んだとしか思えない未解決事件は山ほどある。

 そして、その多くで付近で目撃される「不審な白い乗用車」。


「…もしかして、怪事件のサインとしての怪異『白い乗用車』って…あったりするのでは…?」


 いやいやいやとかぶりを振って、私は教室を後にした。

 帰り道、ずっとついてくる「白い乗用車」にドキリとしながら。

「あの車…こんな狭い道の住宅街まで…私の背後を…ずっと…」


 あなたは、「白い不審な乗用車」を見たことは…あるかい?

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