【34万PV】クラスで1番ビッチなギャルに告白された。(挿絵ありVer)
白井 緒望(おもち)
第1話 そんな俺が告白された。
★★新連載です。よろしくお願いします。
冒頭シーンにくる挿絵なので、ヘッダーにてリンクさせます。ご不要な方は、そのままお進みください。
【挿絵①】
https://kakuyomu.jp/users/omochi1111/news/16818622172891178299
★★ここから本文です★★
「付き合わない?」
ある日、クラス一のビッチに告白された。
俺は、
都内の高校に通う高2だ。
いわゆる、陰キャだ。
女友達はいないし、もちろん、年齢=彼女いない歴なのである。
だからそれは、俺にとって生まれてはじめての告白だった。
彼女の名前は、片瀬
俺とは別世界の住人なので知らないが、男をとっかえひっかえしていると有名だった。
……ヤリマン、ビッチと言われている。
陰キャ仲間には、「そんな子やめとけ」って言われた。なにせ良い噂がない子なのだ。反対されるのは当然だろう。
だが、こんな俺に彼女ができただけで奇跡みたいな話だし、ラストチャンスかも知れないのに、噂だけで決めつけたくないと思った。
そもそも俺みたいな童貞には、外見が可愛いだけでお釣りが来る。中身にまで期待するなんて贅沢だ。
……うん。
それで十分だ。
そうして自分を納得させて、付き合うことにした。
だが、それっきり連絡がない。
一週間だよ?
告白された日にメッセージを送って、既読になったのが、ようやく昨日。そして返信もない。
俺、一応、彼氏だし。
初デートもまだだし。
約束をしようにも、メッセージのやり取りすら始まっていないのだから、物理的にできるはずがない。
俺はもう一回、メッセージを送ってみた。
すると、今回はすぐに既読がついて、返信がきた。
「なに? 用事?」
……うーん。
これって、きっとツンデレだよね?
平成のメンズを虜にしたアレだよ。
きっと、本気でイヤな訳じゃないと思う。
「いやさ、俺ら付き合ったしデートでもどうかなって」
「え? あぁ。あの話、まだ続いてたの? 終わってるのかと……」
えっ……。
うちらの交際って、始まる前に終わってたの?
ってか、告白された直後に自然消滅とか、ありえないから!!
さすがに、なにか言ってやりたい。
「だって、そっちから言われたし……」
一歌の返信は、そっけない。
絵文字もスタンプもない。俺は不安になった。すると、少し間をおいて、一歌からメッセージがきた。
「そっか。そうだったね。まあ、暇だし、それくらいなら、いいよ」
なんだか本気で俺に興味がなさそうだ。
やっぱり、付き合ったのも何かの勘違いだったのかな。
たとえば、俺に告白したのは罰ゲームとか……、ありそうすぎて、怖くて確認できない。
次の土曜、駅前で待ち合わせした。
待ち合わせは12時だったが、12時半になっても一歌は来ない。
今日は曇りだが、6月なのに真夏日だ。
ジメジメしていて、立ってるだけで汗が吹き出してくる。
12時45分。
彼女は来た。
彼女は、普段着……というより、そのへんのコンビニにでも行くような格好だった。いつもの派手な付けまつ毛もないし、メイクも最低限しかしていない。
意外にもすっきりして、幼い目元だ。
明らかにやる気はないが……いつもより可愛い。
「おはよ」
俺が声をかけると、一歌は不機嫌そうに答えた。
「おは……、っていうか、それ遅刻のあてつけ?」
どうやら、遅刻したという認識はあるらしい。
普通、謝るだろ。
「……そんなことないけど」
あてもなく並木道を歩く。
とはいっても、お互い無言だ。
俺の数メートル後を一歌が歩く。
デートというよりは連行?
だんだん何でこんな時間を過ごしているのか、自分でも分からなくなってきた。
やばい。気まずい。
すると、一歌が立ち止まった。
そこはラブホテルの前だった。
「……ここホテルだけど」
そう言うと、一歌は俺の袖を掴んだ。
「いや、だって。アンタだってヤリたいだけなんでしょ? 男って皆んなそうじゃん。罰ゲームだからって、アンタと付き合うとか言っちゃったし。それくらいの責任とらないとっていうか」
一歌は俺の顔を見ると、眠そうな目を見開いた。
「え、……なんで泣いてるの?」
俺は泣いていた。
涙がポタポタと落ちて止まらない。
たしかに、一歌に何も期待しないようにしていた。でも、どこかで、本当はいい子なんじゃないかって、期待してしまったんだと思う。
でも、彼女は噂の通りだった。
初めての彼女がそんなだなんて、なんだかショックだったのだ。
「ごめん。俺、勝手に期待しちゃって」
一歌は、どうしていいか分からない様子だった。
「いや、わたし、なんか悪いことしたのかな」
この子、ほんとに分からないのか……。
「いや、俺が悪い。ちょっと、帰るわ」
俺が悪い。
勝手に色々期待して、彼女に押し付けていた。
一歌は最初から、素のままだ。
それなのに、欲を出して受け入れた自分が悪い。
「ちょっとぉ!!」
一歌が俺の手首を掴んだ。
「離して」
俺がそういうと、一歌は首元に手を当てて言った。
「まだわたし、責任果たしてないし。明日、日曜日でしょ? 時間ある?」
「あるけど、なんで?」
「……デート、やり直してあげる」
なんだか微妙に上から目線だな。
それに責任って、義務みたいじゃないか。
こんな扱いをされて、自分でも情けないって分かっている。でも、まだどこかで未練があるのだろう。
生まれて初めて彼女ができた。
本当はすごく嬉しかったのだ。その
「別にいいけど……」
俺と一歌は、また明日も会うことになった。
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