第8話 台風!?
ビッグモグラからの蝗害からの台風とか、このゲームはやっぱりプレーヤーを殺しに来てるとしか思えないよな、クソが!?
なんでそんなに台風を怖がってるのかって?
まぁ、そう思うよな。
俺だって、ゲームで体験してなければそう思うだろう。
台風なんてせいぜいちょっと強い風が吹いて、強い雨が降るくらい。
もちろん運が悪いと超大型とか史上最強とかいう形容詞がついて、人間がとんで行ったり、農作物に甚大な被害をもたらすことがあるけど、そんなのは稀ではある。
そんな地球の常識なんてどこかに捨てた方が良い。
それくらいリガイアの台風はやばい。
そもそも、この世界の台風は自然現象じゃないんだ。
なに言ってんだ? ってなっただろ?
俺だってはじめて出会ったときはそう思った。
しかし実際そうなんだ。
この世界の台風は"暴風の化身"とかいうクソ運営が生み出した討伐不可能なイレギュラー生命体が引き起こしている、と言えば少しはヤバさをわかってもらえるだろうか?
そう……あの巨大な台風自体が1つのモンスターなんだ。
どうやってダメージを通すんだよ!?
大きさは地球の台風と同じくらいなんだぞ?
それなのに、どこに攻撃を当てればいいのか分からないけどこんな感じでエンカウントして勝手に戦闘扱いになった上に、体を切り刻んでくる意味不明な暴風とか、全てを焼き焦がしてくるぶっ壊れ性能の雷撃とか、せっかく育てた農作物を一網打尽にする豪雨とかが放たれる。
もう立ち向かう気にもならないだろ!?
しかも質が悪いことに、このイベントは発生したら回避不可能になるんだ。
普通のイベントなら失敗したらセーブポイントからやり直せる。
このゲームの唯一の良心はセーブポイントだ。
これがなかったら誰もこんなクソゲーはプレイしないだろう。
いや、唯二か。
ヒロインは可愛いからな。
ずしーーーーーーーーーん!!!!!!!!!!!!
なんて、ちょっと現実逃避してたら来やがったよ。
突如として突風が巻き起こり、それが天に向かって駆け上がっていく。
そして風が通った後には天まで届くほどの巨大な雲が現れていた……。
"暴風の化身"だ。
いや無理だろ。
まだこのゲームはじまったばっかなんだぜ?
さっきまで魔虫とは言えども、手のひらサイズのバッタを殺しまくってたのに、なんでその次が超高層ビルよりもさらにデカいモンスターなんだよ!?
不可能だろ。
ゲームで最強の攻撃力を誇るのは種族の生き残りをかけた大戦争に勝利し、さらに神が降臨して与えられる神剣だ。
だがしかし、それをもってしても倒せなかったという"暴風の化身"……。
そんなのが序盤で出てくるとか、クソゲーもいいとこだろうがよ!?
ゲームなら多少の損害を受けつつ蝗害をやり過ごすことで回避できるが、今それをやってたらそのままコハルたちはクソ貴族の餌食だよチクショウ!!!
だから蝗害を倒しきるしかなかったんだ。
ミスったと思ったけど、そもそもどうしようもないだろうが!?
ルーダくらい生贄に捧げとけばよかっただろうか……。
『グハハハハハハ!!! 強キ者ヨ。シッカリト抗ウガ良イ! ソノ力ヲ我ニ見セテミヨ!』
何を見せろってんだよ!?
コハルが俺を振ったらバッタみたいに散ってくれるのかよ!? あぁん!?!?!?
「きゃああーーーー」
しかし、"暴風の化身"が目を見開いたことによって起こった突風でコハルが吹っ飛ばされる。
スケールが違いすぎるだろうがよ……。
そもそも振る人間が立てもしないのに
『フム……見込ミ違イカ……残念ジャ。ナカナカニ濃密ナ力ヲ感ジタノジャガナ……ツマラヌ』
『見込み違いだよクソが! こっちはまだゲームスタートしたばっかのペーペー農民と
『ゲーム? ナンノコトカワカラヌガ、ソンナニハ待テヌノウ』
わかってるよチクショウ!!!
「くっ……
『コハル!』
しかし、俺が"暴風の化身"と喋ってる間に、なんとか突風をやり過ごしたコハルが立ち上がろうとしていた。
強い娘だ……。
こんなところで失うのは惜しい……。
強い風のせいで、もう果実が~とか言ってる場合じゃないくらい全部見えてるけど、今はそんなことを言ってる場合じゃない。
何かないか……何か……。
ぐしゃ~~~~!!!!!
「えっ……お母さん!!!!?」
しかし無情にも突風が周囲を壊し始める。
すでに多くの農作物は飛んで行ってしまったし、今は家が強い風にあおられて倉庫のあたりが潰れた。
このままじゃヤバい……。
全滅する……。
目もないはずなのに視界が曇る。
何かねぇのかよ!?
「
『えっ?』
そうか。もしかしてイベントクリア時に見える情報で、コハルも俺のステータスを見ていたのか?
このタイミングで……しかし、もうそれしかない気がする。
コハルは"暴風の化身"と対峙することすらできない。
当然だ。
だって、最終ボスよりも強いイレギュラーモンスターvs初期農民の構図だ。
戦いになるわけがない。
わかった。
わかったぜ、コハル。
さぁ来い。
これでクソデブが現れてただただ突風に転がされるだけだったら笑ってくれ。
そして一緒にあの世に行こう。
そうすればもう一回生まれるかもしれないな。
どうかこの世界以外の場所にコハルと一緒に生まれ落ちますように……。
「いくね……」
頼むぞ。期待してるからな、擬人化ちゃんよ!
最悪でもコハルを抱えてあの化け物から逃げれるくらいのやつで頼むぞ!
俺の一生のお願いだからな!?
このゲームに課金して全部無残な結果になったことを、もう嘆かないからさぁ!!!
「"擬人化"」
そして暗く曇った世界に光が弾けた……。
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