第22話 乾燥地のサラマンダー族と水利権交渉の物語
🧭 導入の書:この物語のはじまりに
赤き大地、アグラ砂原。
火と岩の民・サラマンダー族は、この地に古より根ざす種族。
近年、農業開発の一環で地下水を利用した“砂漠縁辺部農地”の開発が始まったが、
彼らが管理する「命の泉」と灌漑ルートが交差し、交渉は決裂寸前。
「水は我らの神より授かったもの。勝手に引くな」
ギルド職員・風間は、灼熱の交渉の中で“共に潤う術”を探る。
🌾 本章:農地に立つ者たちの記録
「命の泉に、勝手に管を通すとは何事か!」
サラマンダー族の長老・ザルハが怒りをあらわにした。
彼らにとって水は、単なる資源ではない。
火と大地に生きる者にとって、水は“天恵”であり、契約の象徴だった。
「わたしたち人間には、“水は使っていいもの”という前提があります。
けれど、あなた方にとっては、“水は祈って得るもの”――
その違いが、根本にあるんですね」
風間の静かな言葉に、ザルハは目を細めた。
「我らは、与えられたものを“分かち合う”が、“奪われる”ことは許さぬ」
風間は頷いた。
「では、“分かち合い”の形を、一緒に設計させてください」
*
ギルドが提案したのは、**“契約型灌漑協定”**だった。
「命の泉」の水源を人間側が直接操作するのではなく、サラマンダー族の巫女が“開門儀式”で開水を行う
受け取った水の量に応じて、“火の加護”を返礼として提供(熱循環魔法による乾燥地育苗支援)
双方の若者による水儀式交流プログラムを設け、文化として“水の意味”を伝え合う
「あなた方の“聖なる水”を、我々も“神聖なもの”として扱いたい。
それが、あなた方への敬意であり、“共に生きる”という誓いです」
ザルハは長く黙した後、低く、静かに頷いた。
「……ならば、“水を奪う者”ではなく、“水を継ぐ者”として、
この地で手を取り合おう」
*
交渉成立から一か月後、アグラ農区では“火と水の祭り”が行われた。
巫女が開く泉の口から水が流れ、灌漑路に光が走る。
その横で、サラマンダー族の青年と人間の農家の子が、
交互にバケツを手にしながら、畑に水を撒いていた。
「暑いですね」
「でも……なんか、“冷たい水”を大切に思えた気がします」
火の民の手から、未来へと水が渡されていく――
それは“共存”が、本当に始まった証だった。
🌱 収穫のひとこと
水は、流れるだけじゃない。
敬意を込めて渡すとき、初めて――“命を繋ぐもの”になる。
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