SAINT♟️BORDER 異世界ファンタジー 7回ドラゴンノベルス小説コンテスト 10万文字以上
鷹山トシキ
第1話 盤上の異世界 -歩兵の勇者と飛車の姫-
和風や中華風はもちろん、インド風や中央アジア風などなど古今東西をモチーフに、魅力的な世界を描いてください。中世ヨーロッパ以外
「アユム、聞こえるか?」
桂馬のケイが、木々の間を跳びながら、アユムに話しかけた。アユムは、歩兵の俊足を活かし、ケイの後を追っていた。
「ああ、聞こえる。それで、角行の森の様子はどうだ?」
「それが、どうも様子がおかしい。魔物たちの数が、明らかに増えている。しかも、凶暴化しているようだ」
「やはり、クイーンの仕業か…」
アユムは、険しい表情で呟いた。チェス界のクイーンは、ショウギ界を支配しようと企む謎の駒だ。最近、ショウギ界では、各地で異変が起こっていた。
「急ごう、ケイ。飛車の湖のヒバリ姫と合流しなければ」
「ああ、わかった」
二人は、さらに速度を上げ、角行の森を駆け抜けた。
しばらくして、二人は飛車の湖に到着した。湖は、以前は美しい水で満たされていたが、今は水が枯れ、荒涼とした光景が広がっていた。
「ヒバリ姫!」
アユムが叫ぶと、湖のほとりに佇むヒバリが、二人に気づき、駆け寄ってきた。
「アユム様、ケイ様、よくぞお越しくださいました」
ヒバリは、悲しそうな表情で言った。
「ヒバリ姫、湖は一体どうなってしまったのですか?」
アユムが尋ねると、ヒバリは、湖を見つめながら答えた。
「原因はまだわかりません。しかし、このままでは、湖は完全に干上がり、作物は枯れ、人々は飢えに苦しむでしょう」
「クイーンめ…」
アユムは、拳を握りしめた。
「ヒバリ姫、私たちも協力します。共に、クイーンを倒し、湖を救いましょう」
「ありがとうございます、アユム様。しかし…」
ヒバリは、何か言いたげに言葉を濁した。
「何か、気になることでも?」
アユムが尋ねると、ヒバリは、意を決したように言った。
「実は、この湖の異変と、クイーンの企みが、深く関わっているようなのです」
「どういうことだ?」
「この湖は、ショウギ界の生命線とも言える存在です。クイーンは、湖を枯らすことで、ショウギ界全体を支配しようとしているのかもしれません」
「そんな…」
アユムは、ショウギ界の危機を悟り、愕然とした。
「私たちは、クイーンを止めなければならない。ショウギ界を、クイーンの野望から守るために!」
アユムは、強い決意を胸に、ヒバリとケイを見据えた。
「はい、アユム様」
「ああ、アユム」
三人は、それぞれの武器を手に、クイーンとの戦いに向けて、決意を新たにした。
了解。以下にアユムが伝説の棋士である設定を盛り込んだ改訂バージョンの続きをご提案します:
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ヒバリの言葉に、アユムはしばし黙した。彼の眼差しには、燃えるような闘志と、どこか遠い記憶の影が宿っていた。
――そう、アユムはかつて「歩の奇跡」と呼ばれた伝説の棋士だった。
まだ幼い頃、アユムは誰もが無力と侮った歩兵でありながら、幾多の強敵を打ち破り、名を馳せた。その戦いぶりは、まるで駒たちに命を吹き込むかのような妙手の連続。数多の名将たちが、彼の一手に畏敬の念を抱いたという。
だが数年前、ある対局で仲間を守るため、自らの駒を犠牲にして敗北したアユムは、その後、表舞台から姿を消した。彼の名は伝説となり、多くの者がその帰還を待ち望んでいた。
「……時が来たようだな」
アユムは、腰の太刀――“歩牙刀”に手を添えながら呟いた。それはかつて、大戦で彼が操った歩兵の魂が宿るとされる武器だった。
「ヒバリ姫、ケイ。俺は再び、盤上に戻る。歩であることを誇りに、クイーンを討ち、ショウギ界を守り抜く!」
二人の目に、アユムの姿が大きく映った。まるで、かつて語り継がれた伝説そのものが目の前に蘇ったかのように。
「……伝説の棋士、アユム様。あなたが戻ってきてくれたこと、それこそが希望です」
「お前がいるなら、勝てる。俺たちは、負けない!」
三人はその場で拳を重ねた。今、再び伝説の歩が盤上を駆ける。クイーンとの最終決戦に向けて、戦いの幕が上がろうとしていた。
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