第10話 訓練初日1
朝、肉肉しい朝食を無理やり食べたら、集落の広場に集合だったよ。
広場には、服を着た昨日の子犬十匹が二列横隊に並んでた。みんな棒を左手に持って地面に立てて、背負い袋を背負って、左腰にナイフを差していた。おー、リアルのノービス冒険者だ。俺もその後ろについた。
すぐに虎柄の甲斐犬獣人さんが二人と秋田犬村長さんが現れた。甲斐犬さんと村長さん達は、背負い袋と槍とショートソードだ。ちょっとかっこいい。ヒンドゥアさんも背中に背負い袋と弓と矢筒を背負って、腰にショートソードを差した姿で並んだ。
「今日は野外訓練だ。みんな気を抜くなよ」
村長さんが、俺達子供組を見回して言った。
「それから、空中都市人のシゲが参加する。ヴェーチェラ面倒を見てやれ」
俺を振り返って、黒柴の子がうなずいた。
「では、心得! 『生きて帰れ!』」
「「「「「生きて帰れ!」」」」」
「シゲ、お前も繰り返せ」
ヴェーチェラが言った。
「お、おう、生きて帰れ!」
「まず隠れろ!」
「「「「「「まず隠れろ!」」」」」」
「危機に助けを呼ぶな!」
「「「「「危機に助けを呼ぶな!」」」」」
「え? 危機に助けを呼ぶな?」
「仲間を助けようとするな! 逃げろ!」
「「「「「仲間を助けようとするな! 逃げろ!」」」」」
「え? え? ……仲間を助けようとするな! 逃げろ……」
「死ぬ前に、仲間を逃す時間を稼げ!」
「「「「「「死ぬ前に、仲間を逃す時間を稼げ!」」」」」」
「!……死ぬ前に、仲間を逃す時間を稼げ……」
「よし出発だ。今日は草原を移動して、明日は林の中を戻る」
子犬達は二グループに分かれて、歩き出した。
「シゲはグループの真ん中、私の隣だ」
俺はヴェーチェラの指示に従って、グループの真ん中で歩き出した。
一緒に歩くヒンドゥアさんに、
「さっきのは、みんな本気なの?」
と聞いてみた。
「? もちろんだ。被害を最小限に生き残るための普通の心得じゃないか」
「普通……」
俺、遊びで来てるんだけど……。
罠に注意しながら洞窟を出て、草原を歩き始めると、
「シゲは背が高いから、上空警戒な。よく見張ってくれよ」
ヴェーチェラが俺に言った。
「分かった」
周りの子犬達を見ると、周囲の警戒をしているのと上空を警戒しているのと二種類の仕事を分担してた。本気の冒険者だ。この草原そんなにヤバイのか?
「トカゲの匂い!」
先頭の赤柴の子犬が、小さく鋭く言った。子犬達が棒を構えて半円状に並んだ。大人二人は後ろに下がった。子犬達に任せるつもりなんだろう。
前の茂みからコモドオオトカゲ?が二匹現れた。
「フラーブロストィから右は、右のトカゲ。残りは左!」
ヴェーチェラの声とともに子犬達が向きを少し変えてトカゲと向き合った。立ち位置から俺も左担当らしい。
トカゲがさらに数歩前に進んだ時にヴェーチェラが叫んだ。
「かかれ!」
俺達は寄ってたかって、トカゲを突いたり叩いたりしまくった。一分ほどそうしていたら、トカゲ達は向きを変えて走り去っていった。向きを変えた時に尻尾で子犬が何人か吹き飛ばされていた。
やべー、トカゲ硬い。ほとんど棒って効いてないんじゃない? トカゲ達、めんどくさくなって去っていった感じ。
「良くやった。しかし尻尾で跳ね飛ばされたものは油断していたからだな、反省すること。ヴェーチェラ、周囲監視役を残すことを忘れていた反省しろ」
甲斐犬の人が、コメントした。
「「「「「分かりました」」」」」
「水を飲んだら進むぞ」
ヴェーチェラがみんなに言った。
子犬達、みんな左手の腕輪を右手で触って直径10cmくらいの水球を出して、右手に持ったマグカップですくって飲んでた。俺も背中のザックからマグカップと杖を出して、水球を出してすくって飲んだ。俺の水球すごい無駄、直径2mって……。どうにかならないの? 子犬達が目を丸くして驚いてた。
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