第5話 真実の配信

夜の樹海は想像以上に暗かった。澪は懐中電灯の弱い光を頼りに、慎重に北へと進んでいた。エーテルカメラの画面には、薄い青い線が北方向を指し示している。


「エコーの言った味方って誰なんだろう…」


彼女は小声で呟きながら歩を進めた。樹海の端に近づくにつれ、木々は少し間隔を広げ、月明かりが地面を照らすようになった。


突然、前方から物音がした。澪は反射的に身を隠し、息を殺した。


「誰かいるの?」


彼女は恐る恐る周囲を見回した。カメラの画面には、人影らしきものが映っている。しかし、それは通常の人間ではなく、半透明の青い姿だった。


「エコー?」


澪が小声で呼びかけると、その姿は振り返った。しかし、それはエコーではなかった。年配の男性の姿だった。


「あなたは…」


男性の姿は澪に気づくと、手招きをした。そして、樹海の外へと向かって歩き始めた。


「待って!」


澪はその姿を追いかけた。男性は振り返ることなく進み、やがて樹海の端に到着した。そこには古い山小屋があった。


男性の姿は小屋の前で立ち止まり、澪を見つめた。そして、小屋の扉を指さした。


「中に入れってこと?」


澪が尋ねると、男性はゆっくりと頷いた。そして、その姿は徐々に薄れ、消えていった。


「待って…」


しかし、男性の姿は完全に消えてしまった。澪は小屋を見つめ、深呼吸した。


「行くしかない」


彼女は勇気を出して小屋の扉をノックした。しばらく返事はなかったが、やがて中から足音が聞こえ、扉が開いた。


「やっと来たか」


そこに立っていたのは、70代と思われる老人だった。白髪と長い白髪の髭、そして鋭い目が印象的だ。


「あの…どなたですか?」


「私の名は鈴木だ。鈴木源三郎」


老人は澪を中に招き入れた。


「エコーから連絡があった。君が来ることは知っていた」


小屋の中は質素だが清潔に保たれていた。暖炉には火が灯り、温かな光が部屋を照らしていた。


「エコーと連絡を取れるんですか?」


「ある意味ではな」


鈴木は椅子を指し、澪に座るよう促した。


「私もかつては管理局の研究員だった。プロジェクト・ゲートの初期メンバーの一人だ」


「初期メンバー…」


「そう。神崎誠一郎、霧島巌、そして私。三人で始めたプロジェクトだった」


澪は驚いた。


「祖父の同僚だったんですね」


「ああ、巌とは親友だった」


鈴木は懐かしむように微笑んだ。


「彼は優秀な研究者だったが、それ以上に優しい人間だった。エコーのことを本当に心配していた」


「エコーと祖父は…」


「特別な関係だった。エコーは巌を父親のように慕っていた」


鈴木は立ち上がり、棚から古いアルバムを取り出した。


「これを見るといい」


アルバムには古い写真が収められていた。若い三人の研究者と、10代前半と思われる少女の写真。


「これが…エコー?」


「そう。彼女の本名は江古田明日香。15歳の時に私たちの研究に参加した」


「15歳で?」


「彼女は特別な才能を持っていた。エーテルに対する感受性が非常に高く、私たちの研究に不可欠だった」


鈴木は写真をめくった。研究施設の写真、実験の様子、そして最後に大きな装置の前に立つ研究者たちの写真があった。


「これが原初の間。プロジェクト・ゲートの中心施設だ」


「ここでエコーは…」


「事故が起きた」


鈴木の表情が暗くなった。


「私たちは観測者との接触に成功した。しかし、彼らの本質を理解していなかった」


「観測者は何を望んでいたんですか?」


「最初は単純な好奇心だと思っていた。彼らは私たちの世界に興味を持ち、交流を望んでいるように見えた」


鈴木はため息をついた。


「しかし、真実は違った。彼らは私たちを実験対象としか見ていなかった。ダンジョンは彼らの観測装置であり、私たちの反応を調査するためのものだった」


「それに気づいたのは?」


「神崎が最初だった。彼は観測者と直接交信し、真実を知った。そして、プロジェクトの中止を主張した」


「でも、今の神崎課長は…」


「息子は父親とは違う。彼は観測者の力に魅了された」


鈴木は立ち上がり、窓の外を見た。


「事故の後、私たちは三つに分かれた。神崎は観測者との接触を絶ち、コアを隠した。巌は研究から離れ、家族との時間を選んだ。そして私は…」


「あなたは?」


「監視を続けた。観測者の動きを、そして管理局の動きを」


鈴木は澪に向き直った。


「君のストリーミングは注目を集めている。管理局も、観測者も」


「私のストリーミングが?」


「エーテルカメラを使った配信は、観測者にも見えている。彼らは興味を持っている」


澪は震えた。自分の配信が異世界の存在に見られているなんて。


「怖がることはない」


鈴木は優しく言った。


「それは武器にもなる。真実を広めるための」


「真実を広める…」


「そう。管理局の暗部を、プロジェクト・ゲートの危険性を、世界に知らせるんだ」


鈴木は小さな機械を取り出した。


「これは特殊な送信機だ。管理局の監視を回避できる。これを使えば、安全に配信できる」


「でも、それで本当に管理局を止められるんですか?」


「直接は無理だろう。しかし、世論の力は侮れない。十分な注目を集めれば、政府も動かざるを得なくなる」


鈴木は真剣な表情で澪を見つめた。


「準備はいいか?真実を世界に伝える準備は」


澪は深呼吸し、決意を固めた。


「はい。やります」


***


配信の準備は整った。鈴木の小屋の一角に簡易的なスタジオが設置された。エーテルカメラは三脚に固定され、鈴木の送信機に接続されていた。


「これで管理局の追跡を避けられる」


鈴木が説明した。


「ただし、長時間の使用は危険だ。30分以内に抑えるべきだ」


澪は頷き、カメラの前に座った。彼女はエーテルコアを二つ、テーブルの上に置いた。


「始めます」


彼女はカメラのスイッチを入れた。画面には「LIVE」の文字が表示され、視聴者数のカウンターが動き始めた。最初は0だったが、すぐに増え始めた。


「こんにちは、霧島澪です」


彼女は緊張した声で始めた。


「突然の配信になりますが、重要なお知らせがあります」


視聴者数は急速に増えていった。前回の配信を見ていた人々が集まってきているようだ。


「前回の配信で起きたことを覚えていますか?管理局の人間が現れ、私のエーテルコアを奪おうとしました」


コメント欄には疑問や心配の声が溢れていた。


『大丈夫だったの?』 『あれは本当だったの?』 『管理局って何?』


「私は無事です。そして、もう一つのエーテルコアも見つけました」


彼女はテーブルの上の二つのコアを示した。青い光が柔らかく脈動している。


「しかし、真実を知りました。ダンジョンの正体、そして管理局の秘密を」


澪は深呼吸し、これまでの出来事を話し始めた。祖父の遺品から見つけたメモリーカード、エコーとの出会い、樹海での発見、そして神崎誠一郎の警告まで。


視聴者数は5000を超え、さらに増え続けていた。


「ダンジョンは異世界の存在、『観測者』が作り出した観測装置です。彼らは私たちを実験対象として観察しています」


コメント欄は混乱と驚きで溢れていた。


『冗談でしょ?』 『都市伝説じゃないの?』 『証拠は?』


「証拠はあります」


澪はカメラをエーテルコアに向けた。


「これらのコアは、観測者との接触ポイントです。そして…」


彼女はポケットから祖父のメモリーカードを取り出し、画面に映した。


「これには50年前の実験記録が残されています。プロジェクト・ゲートの真実が」


彼女はメモリーカードの内容を簡潔に説明した。視聴者数は10000を超えていた。


「管理局は7つのエーテルコアを集め、観測者との『門』を開こうとしています。しかし、それは危険です。門が開けば、観測者は自由に私たちの世界に干渉できるようになります」


『これマジ?』 『政府は知ってるの?』 『都市伝説じゃないの?』


「都市伝説ではありません」


澪は真剣な表情で言った。


「私の祖父、霧島巌はプロジェクト・ゲートの研究者でした。彼は危険性を知り、プロジェクトから離脱しました」


彼女はカメラを鈴木に向けた。


「こちらは鈴木源三郎さん。祖父の同僚で、プロジェクト・ゲートの初期メンバーです」


鈴木は静かに頷き、カメラに向かって話し始めた。


「私は証言します。プロジェクト・ゲートは実在し、観測者も実在します。そして、現在の管理局はその危険性を無視し、門を開こうとしています」


彼の落ち着いた声と威厳ある姿は、視聴者に強い印象を与えたようだ。コメント欄には信じる声が増えてきた。


『この老人、嘘つく理由ないよね』 『管理局って本当に何してるの?』 『政府は知ってるの?』


澪はカメラを自分に戻した。


「私たちは警告します。管理局のプロジェクト・ゲートは危険です。7つのコアが集まれば、取り返しのつかないことになります」


彼女は二つのエーテルコアを手に取った。


「私たちは2つのコアを守っています。管理局は残り5つを持っています」


視聴者数は15000を超えていた。SNSでシェアされ、拡散されているようだ。


「皆さんにお願いします。この情報を広めてください。管理局に圧力をかけ、プロジェクト・ゲートを止めさせましょう」


彼女は配信を終える準備をした。


「次の配信では、さらに詳しい証拠を提示します。どうか、真実を信じてください」


配信を終了すると、澪はため息をついた。


「うまくいったでしょうか」


鈴木は満足げに頷いた。


「十分だ。これで世間の注目を集められる」


彼はノートパソコンを開き、SNSの反応を確認した。


「すでに拡散されている。『#ダンジョンの真実』『#管理局の秘密』というハッシュタグが急上昇中だ」


「本当に効果があるんでしょうか」

「あると思う」


鈴木は画面を見ながら答えた。


「人々は真実を求めている。ダンジョンの謎、管理局の正体、これらは長年の疑問だった」


彼はパソコンを閉じ、立ち上がった。


「しかし、管理局も黙ってはいないだろう。すぐに反応してくる」


「どんな反応ですか?」


「まずは否定から始まる。『デマだ』『都市伝説だ』と。そして、君を信用失墜させようとするだろう」


鈴木は窓の外を見た。


「そして最終的には、君を黙らせようとする」


澪は震えた。


「捕まえられるってこと?」


「可能性はある。だからこそ、次の一手を打つ必要がある」


鈴木は小さな金庫を開け、古いノートを取り出した。


「これは私の研究記録だ。プロジェクト・ゲートの詳細、観測者との接触記録、全てが記されている」


彼はノートを澪に渡した。


「これを公開すれば、管理局も否定できなくなる」


澪はノートを受け取り、ページをめくった。複雑な数式、図表、そして詳細な記録。確かに貴重な証拠だった。


「でも、これを公開したら、あなたも危険では?」


鈴木は微笑んだ。


「私はもう老いた。何を恐れることがある?」


彼は真剣な表情になった。


「しかし、君は違う。若く、可能性に満ちている。だから、次の配信は私が行う」


「いえ、私がやります」


澪は決意を固めた。


「祖父の遺志を継ぐのは私です。逃げるわけにはいきません」


鈴木は彼女をじっと見つめ、やがて頷いた。


「君は巌に似ている。同じ決意の強さを持っている」


突然、小屋の外から物音がした。二人は緊張して耳を澄ました。


「来たか…」


鈴木は小声で言った。


「管理局か?」


「いや、違う」


鈴木は窓から外を見た。


「友人だ」


彼は扉を開けた。そこには水嶋と佐藤が立っていた。二人とも疲れた様子だったが、無事だった。


「水嶋さん!佐藤さん!」


澪は安堵して二人に駆け寄った。


「無事だったんですね」


水嶋は微笑んだ。


「何とか逃げ切れた。佐藤さんも」


佐藤は頷いた。


「管理局の追跡をかわすのは大変だったが、なんとかなった」


彼は鈴木を見て、敬意を込めて頭を下げた。


「鈴木博士、お久しぶりです」


「よく来てくれた、佐藤君」


鈴木は二人を中に招き入れた。


「君たちの助けが必要だ」


四人は小さなテーブルを囲んで座った。鈴木は状況を説明した。


「澪さんの配信は大きな反響を呼んでいる。しかし、これは始まりに過ぎない」


水嶋は頷いた。


「管理局内部も混乱しています。神崎課長派と、真相を知りたいと思う派に分かれています」


「内部分裂か」


鈴木は考え込んだ。


「それは利用できる」


佐藤はノートパソコンを開き、管理局の内部情報を表示した。


「神崎課長は緊急会議を招集しています。プロジェクト・ゲートの加速を主張しているようです」


「加速?」


「はい。残りのコアを使って、門を開く準備を進めようとしています」


澪は震えた。


「急いでいるんですね」


「ああ」


水嶋が答えた。


「君の配信が世間の注目を集めたことで、焦っているんだ」


鈴木は立ち上がり、地図を広げた。


「管理局の本部はここだ」


彼は東京郊外の一点を指した。


「地下に特殊施設がある。そこでプロジェクト・ゲートの実験が行われている」


「そこに残りのコアがあるんですか?」


「可能性は高い」


佐藤が答えた。


「しかし、そこは厳重に警備されている。簡単には近づけない」


「直接攻めるつもりはない」


鈴木は微笑んだ。


「私たちには別の武器がある。情報だ」


彼はノートを指した。


「これと、澪さんの配信力を使って、世論を動かす。政府に圧力をかけ、管理局の調査を要求するんだ」


「それで間に合うんですか?」


澪が不安そうに尋ねた。


「神崎課長が急いでいるなら…」


「時間との勝負だ」


鈴木は認めた。


「しかし、彼らにも制約がある。門を開くには特定の条件が必要だ。満月の夜、特定の配置で7つのコアを並べなければならない」


「満月は…」


水嶋がカレンダーを確認した。


「3日後です」


「3日…」


澪は息を呑んだ。


「そんなに時間がない」


「だからこそ、今夜もう一度配信を行う必要がある」


鈴木は決意を固めた。


「より具体的な証拠を示し、より多くの人々に真実を伝えるんだ」


四人は計画を練り始めた。次の配信の内容、証拠の提示方法、そして管理局の動きへの対応策。


夜が更けていく中、彼らの戦略は固まっていった。


***


その夜、澪は再び配信の準備をしていた。今回は鈴木の研究記録、水嶋と佐藤の証言、そして祖父のメモリーカードの内容を詳細に公開する予定だった。


「準備はいいか?」


鈴木が尋ねた。


「はい」


澪は頷いた。彼女の表情には決意が満ちていた。


「では、始めよう」


カメラのスイッチが入り、「LIVE」の表示が点灯した。視聴者数は前回の配信の影響で、開始直後から5000を超えていた。


「こんばんは、霧島澪です」


彼女は落ち着いた声で始めた。


「前回の配信から多くの反響をいただき、ありがとうございます。今夜は、より詳細な証拠をお見せします」


彼女はまず、鈴木の研究記録を紹介した。プロジェクト・ゲートの詳細、観測者との接触記録、そして事故の真相。


視聴者数は急速に増え、10000を超えた。


次に、水嶋と佐藤が証言した。管理局の内部情報、神崎課長の計画、そして満月の夜に門を開こうとしていることを。


「3日後の満月の夜、管理局は7つのエーテルコアを使って門を開こうとしています」


澪は真剣な表情で言った。


「門が開けば、観測者は自由に私たちの世界に干渉できるようになります。それは、私たちの自由意志が脅かされることを意味します」


コメント欄は混乱と恐怖で溢れていた。


『本当なの?』 『政府は何してるの?』 『どうすれば止められる?』


「私たちは2つのコアを守っています。しかし、管理局は残り5つを持っています」


彼女は視聴者に呼びかけた。


「この情報を広めてください。SNSで、メディアで、あらゆる手段で。政府に圧力をかけ、管理局の調査を要求してください」


視聴者数は20000を超え、さらに増え続けていた。


「そして、もし管理局の関係者がこの配信を見ているなら、考え直してください。あなたたちは何のために働いているのですか?人類の未来のためですか?それとも、観測者の実験のためですか?」


彼女は最後に、祖父のメッセージを再生した。


「これは私の祖父、霧島巌の最後のメッセージです」


画面には老人の姿が映し出された。


「もし、このメッセージを見ているなら、プロジェクト・ゲートが再開されたということだろう」


老人の声は穏やかだが、強い決意に満ちていた。


「私は警告する。門を開いてはならない。観測者は我々を実験対象としか見ていない。彼らに自由を与えれば、我々の世界は彼らの実験場と化す」


老人は一瞬沈黙し、続けた。


「エコー、君はどこにいるのか分からないが、私の声が届くことを願っている。君は特別だった。観測者に抵抗できる唯一の存在だ。私たちの希望だ」


メッセージはそこで終わった。澪はカメラに向き直った。


「これが真実です。そして、私たちは行動します」


彼女は決意を込めて言った。


「明日、私たちは管理局本部に向かいます。直接、神崎課長に会い、プロジェクト・ゲートの中止を要求します」


水嶋と佐藤は驚いた表情を見せたが、すぐに理解した。これは戦略の一部だった。管理局の注意を引き、本当の計画を隠すための。


「この配信は記録されています。もし私たちに何かあれば、それは管理局の仕業です」


澪は最後に言った。


「真実は必ず明らかになります。どうか、私たちを信じてください」


配信を終了すると、四人は顔を見合わせた。


「うまくいったか?」


鈴木が尋ねた。


水嶋はノートパソコンでSNSの反応を確認していた。


「大きな反響です。『#管理局調査』『#プロジェクトゲート』『#観測者の真実』が世界的にトレンド入りしています」


「メディアも動き始めた」


佐藤が別の画面を見ながら言った。


「大手ニュースサイトが『政府の秘密プロジェクト』として取り上げ始めています」


「これで第一段階は成功だ」


鈴木は満足げに頷いた。


「次は、本当の計画を実行する時だ」


澪は緊張した表情で尋ねた。


「本当に管理局本部に行くんですか?」


「いいえ」


鈴木は微笑んだ。


「それは囮だ。管理局は君たちが本部に向かうと思い、そこに警備を集中させる」


「その間に?」


「私が別の場所に向かう。真の目的地へ」


鈴木は地図の別の場所を指した。


「ここだ。富士の地下施設。プロジェクト・ゲートの原初の間がある場所だ」


「そこに何があるんですか?」


「エコーだ」


鈴木の表情は真剣だった。


「彼女の意識はエーテル界と繋がっている。彼女の力を借りれば、観測者の計画を阻止できるかもしれない」


「でも、どうやって?」


「それは私に任せてほしい」


鈴木は立ち上がった。


「明日の朝、私たちは別れる。君たち三人は東京へ向かい、私は富士へ」


「危険すぎます」


水嶋が反対した。


「一人では…」


「私には助けがある」


鈴木は窓の外を見た。そこには青い光の筋が見えた。


「エーテルの力だ。そして、古い友人たちの助けも」


四人は夜遅くまで計画の詳細を詰めた。役割分担、連絡方法、そして最悪の事態への対応策まで。


夜が明ける頃、彼らは短い休息を取ることにした。明日は決戦の日。人類の運命を左右する戦いが始まる。


澪はベッドに横になりながら、エーテルコアを見つめた。青い光が静かに脈動している。


「祖父…エコー…私、頑張ります」


彼女は目を閉じ、明日への決意を胸に秘めた。

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