第11話:炎の共闘

 農協の倉庫を襲ったタタキアンを退治した俺達。

 テンセイベースに帰還して一息つく。

 動画のライブ配信は、新人ヒーローにしては見て貰えていた。


 「レッド強火過ぎ、ブルーがリーダーか?」


 動画に寄せられたコメントを見てげんなりする。

 いや、こちとらいつでも全力全開でい!


 「米泥棒許さねえ! ありがとうテンセイジャー♪ とか嬉しいのもあるけどね」


 黄河さんが苦笑いだ。


 「こんなの、野球場の酔ったおっさん達のヤジと変わんねえっす」


 きびちゃんは落ち着いている風だが、目がギラついていた。

 おいおい視聴者さん、家のワンコは闘犬だぞ?


 「あんまり酷いのは対応してもらおう、僕達自身は何か言うべきじゃない」


 清丸は面倒くさそうだった。


 「フーリガンみたいだよね、気を付けないと」


 緑山さんも溜息だ。


 「諸君、ご苦労だった。 まあ、コメントも腹立たしいものはあるが堪えよう」


 博士もコーヒーを飲みつつ呟く。


 「そうっすね、この怒りは敵にぶつけるぜ!」

 「いや、八つ当たりかい!」


 清丸にツッコまれた。


 「せんぱい達、ヒーロー漫才とか出られそうすね?」

 「ボケとツッコミだからね、家のレッドとブルーは」


 きびちゃんと緑山さんが言って来る。


 「食べ歩き動画とか撮影したいです♪」


 黄河さんは食レポをする気になっていた。


 「まあ、食べ歩きも良いが動画配信も我々の収益になるので頑張ろう」

 「この動画の人気が、ロボ代に関わるならがんばります」

 「ああ、開発だけでなく維持の為にもスポンサーを増やしたい」


 博士の言葉に世知辛いなと溜息を付きながら頷く。

 まあ、ヒーローも芸能人アスリートも市民に支えられてこそだからな。


 「博士の錬金術でパパっと錬成できないんすか?」

 「エンジンや精神力を変換しての武装生成のシステム、変形合体機構はできた」

 「バイクで言うと、エンジンやタンクはできてるって事っすね?」

 「そうだ、他の部品は他所で買って組まねばならん」


 きびちゃんの疑問に彼女がわかりやすく答える博士。


 「まあ、ロボは置いておこうよ私達ロボの免許はまだだし♪」


 緑山さんが会話に加わる。


 「そうだぞ、ロボも免許がいるからな?」


 清丸が溜息を吐く、俺らが学科試験に受かるか不安なんだろう。


 「う、勉強頑張らないと!」

 「そうだな、学科をどうにか乗り越えないと!」


 黄河さんも俺も気を引き締める。

 学力が残念ジャーな俺達にとって、敵は勉強だった。


 「実技は、学校のシミュレーターでやろうゲームなら得意だろ?」


 清丸が俺達を見回して聞いて来る。


 「ああ、任せろ♪」

 「ゲーセンで鍛えてるっす♪」

 「私もゲームなら任せて♪」

 「体を動かすのは得意だよ♪」


 俺達体育会系組は、元気よく答える。

 何か、清丸のビーストの馬に笑われた気がしたがまあ仕方ない。

 学校の勉強、ロボ免許の勉強、人生は色んな勉強から逃げられないぜ。

 コメントがヤジみたいでも負けない!

 そして、エゴサは精神衛生に悪い。


 翌日、学校へ行き普通に授業を受ける。

 苦手な数学の問題は、どうにか解けた。


 昼飯前は体育、B組とのサッカー対決だ。


 「喰らえ赤羽、ファイヤーショット!」


 暑苦しいオレンジ髪の日焼け男子。

 その名も、焔坂弾ほむらざか。だんが俺に燃えるボールを放つ。


 「俺も火属性って知ってるだろうが!」


 胸で受けて火を吸い込み、味方にパス。


 「もっと熱くなれよ赤羽! 部活にも来いよ!」

 「今日は行くよ、ぶつかるならそっちでな!」

 「おう、俺達は剣で語り合う友達だ♪」


 こいつ、剣道部の同期なのである。

 常時熱血の焔坂とは仲は悪くはないが、方向性が違うんだよな。


 「焔坂かまた似た者同士で通じ合ってるのか、灯希?」

 「隔意があるよ、友達だけど温度とか違うから!」

 「いや、お前ら双子の兄弟みたいに変わらんからな?」


 清丸の言葉に他のクラスメートもB組の面々も頷く。

 いや、お前らこそ通じ合うなよ!

 属性は同じ火属性でもキャラは違うんだよ!


 ぐだぐだな感じでサッカーを終え、午後の授業も乗り切る。

 そして部活の時間。

 ヒーロー活動で試合に出られない半分引退ポジの俺に焔坂が俺に絡んで来た。


 「赤羽、俺とやろうぜ♪」

 「いや、お前レギュラーじゃないのか?」

 「すまん、俺もヒーローデビューして外れた♪」

 「そうか、じゃあ外れ者同士熱くやろうぜ♪」


 焔坂の誘いに乗り、俺はこの男と竹刀を交えぶつかり合った。


 「うおお、面、面、面!」


 面を狙って連続で打って来る焔坂。

 勢いに押され受けに回ってしまう。

 負けてたまるか!


 相手の三発めで鍔迫り合いに持ち込み、引き離される。


 「小手、面、面!」


 こっちのターンだと、小手から攻めていく。

 あっちも俺の癖は読んでるだろうが、読まれても当てに行く!


 「両者、引き分け!」


 先生が止める、最終的に俺と焔坂は互いに面を打ち合て引き分けた。

 部活で自分以外にヒーローやってる奴がいた事で、何か心が安らいだ。


 「赤羽、ラーメン食いに行こうぜ♪」

 「……いや、お前どういう風の吹き回しだよ?」

 「一緒に飯を食って絆を深めよう♪」

 「いや、昭和か! まあ、受けて立つ」


 下校の時に焔坂と一緒になったので誘いを受ける。

 同業者でもあるので、コネは作っておくかと打算ありきだ。


 「で、どんな感じなんだそっちの変身後とか?」

 「ああ、その内見せてやる♪」


 駅へと続く並木通りを歩きながら、焔坂の変身後が気になったので聞いてみる。

 だが、通りの中心の噴水に来た時異変が起こる。


 噴水の水が真っ黒になり中から瘴気を発したミイラ人間達が現れる。

 そして、ミイラの後に続いて出て来たのは黒い鎧武者。


 「ち、腹が減ってる時に! 赤羽、いや灯希? コラボと行こうか!」

 「自然と距離詰めて来やがったな弾、乗った♪」


 俺はテンセイブレス。

 弾は炎と剣の混ざった勾玉付きのガジェットを取り出して変身する。


 「霊剣武人れいけんぶじんホムスビ!」

 「テンセイレッド! 熱く行くぜ!」


 日本の古代の鎧と仮面の赤き装甲の戦士ホムスビとテンセイレッドの俺。

 ダブル火属性で悪を討つぜ!


 敵の戦闘員が通行人を狙い、腕から包帯を伸ばし出す。


 「「させるか!」」


 俺とホムスビは自然と左右に別れ、どちらも炎の剣で戦闘員の魔の手を焼き払う。


 「よし、戦闘員を一気に片付けるぜ♪」

 「元気になったな、テンセイレッド♪」


 俺とホムスビは自分の剣を振るい、戦闘員達を切り捨て焼き尽くす。


 「おのれホムスビ、テンセイレッド! その命、贄にしてくれる!」


 黒い鎧武者が分身し、俺達それぞれに襲い来る。


 「は、親切だな俺達それぞれとタイマンしてくれるって!」

 「敵から見せ場を貰うとはな、やれれうよなテンセイレッド?」

 「任せろ、互いのペースで行くぜ!」


 ホムスビは黒武者A、俺はBを相手に決闘と言う形になった。


 「改めて、前世は勇者、今世はレッド! テンセイレッド!」

 「名乗りか、マガビト衆小頭・クロボネ!」

 

 クロボネ、まさか他の悪の組織の怪人と早々にぶつかるとは思わなかった。

 だが、白骨の刀を振るうクロボネは気を抜ける相手じゃなかった。

 フェニックスカリバーで上段受けするが、一撃が重い。


 「負けてたまるか、てりゃ!」


 ホムスビもクロボネAと丁々発止で戦っている。

 ヒノエが持つ熱源を感知する機能のおかげでわかった。


 「ぬうん! この炎、神気が宿っている!」

 「フェニックスも神獣だからな、悪霊みたいな輩には負けないぜ!」


 剣で打ち合い、切り結びながら相手の様子を探る。

 健康に悪そうな瘴気は、こっちのフェニックスの炎で打ち消せた。


 「この技で決めてやるぜ、フェニックスバッシュ!」


 クロボネへと飛びこみ叩き割る気で、大上段から炎の刃を振り下ろす!

 クロボネは刀で受けたが、俺の技は鎧袖一触。

 奴のガードも鎧も砕いて一刀両断した上で焼き尽くした。


 ちゃんと敵の気配が残ってないかを確かめてから変身を解く。


 「灯希、やったな♪」

 「ああ、まさか他の悪の組織の怪人と戦うとか思わなかったよ」

 「ヒーローならそう言う事もある、ラーメンは奢ろう♪」

 「安いな、まあ友達価格って事で受け取るよ」


 弾の提案を受ける。

 こうして、ひょんなことから他のヒーローとの共闘を仲間よりも一足先に体験したのであった。

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