第9話:レッドの修行、天狗剣を身に着けよ!

 「イヤーーーーッ!」


 山中に木霊する雄叫び!


 「うおっ!」


 俺は、烏天狗の一人が上段から振り下ろした木刀の一撃を避ける。


 「トリャ~~~ッ!」

 「セリャ~~~~ッ!」

 「マジか! うおっと!」


 前からの攻撃を避けたかと思えば、すぐさま後ろから突き。

 更には、脇からの切り上げと襲い来る烏天狗達の攻撃を必死で避ける。

 避けながら早朝の山道を走る、剣道着姿で!


 「ほらほら、息が上がってるぞ! 逃げろ逃げろ♪」

 「うおっす! 逃げきって見せます!」


 空から響くお姉さんの声。

 声の方を見ずに返事をし、山頂を目指して烏天狗達の剣戟から逃げ回っていた。

 俺が山頂のお堂の入り口に倒れ込むと同時に、法螺貝の音が聞こえた。


 「お~い、お疲れ~♪ 裏で水浴びて来な~♪ そしたら朝飯だ♪」

 「……おっす、ありがとうございます」


 俺は振り返り、山伏姿をした長い黒髪のワイルドなお姉さんに返事をする。


 「ほらほらシャキッとしなよ、あんたもヒーローだろ♪」


 お姉さんに背中を叩かれて活を入れられて立ち上がり、水場へと駆けだす。


 「あ~~~~、水が気持ちいい♪」


 トイレ近くの水場で顔を洗い、バケツに水を入れシャワー代わりに被る。


 「灯希~~! 今乾かすピヨ~!」


 ヒノエが飛んで来て俺に体当たりして一体化、体の感想と回復をしてくれた。


 「ふ~~~♪ リフレッシュ♪」

 「ご飯に行くピヨ♪ ヒノエが作ったピヨ♪」

 「おう、ありがとうな♪」


 ヒノエと分離し、お堂の傍にある宿坊へと向かった。


 「良し、揃ったな♪ いただきます♪」

 「「いただきます♪」」


 和室の大広間でお姉さんや烏天狗の皆さんと、食事。

 精進料理かなと思いきや、鮭とサラダチキンが配られた。


 「牛乳も飲め、タンパク質を撮れ!」

 「サラダも果物も食え!」

 「あ、はい! いただきます!」


 烏天狗の皆さんからもすすめれて飯を食う。

 午前の稽古に備えて、食わねばもたない。


 「お替りしとけ、カロリー使うから!」

 「味噌汁も飲め、思いきり汗かくから!」


 烏天狗の皆さんが、世話を焼いてくれる。

 部活の合宿のハードバージョンみたいなノリだった。


 「しかし、三日目か? 良く逃げずに頑張ってるな♪」


 お姉さん、この山の主で天狗達の頭が尋ねる。


 「あざっす、逃げたくないっす」

 「ほう、良い根性だな? まあ、そっちの社長からの依頼だからな」


 お姉さん、テングカイザーこと橋太黒羽はしぶと・くろはさんが上座で頷く。

 テンセイビーストについて相談した俺達。

 ドクタースピリタスにより、各々がインストラクターの下での合宿と相成った。

 同じ鳥モチーフ言う事で、俺はテングカイザーさんの下で合宿中である。


 ガッツリ食った後は、山へ出て午前の稽古。


 「がんばれ~~♪ 技の為には体が資本だ!」

 「お、お~~っす!」


 まずは、烏天狗さんを背負ってのスクワットで足トレ。


 「はい、次は手押し車の下りから行くよ~♪」

 「おっす!」


 続いては、烏天狗さんに両足を持たれた状態で両腕で山道を進む手押し車。

 上り下りの往復だ、ちゃんと見張り役の人もいるから安全は担保されてはいる。


 「灯希~~! 回復するピヨ~~!」


 手押し車が終われば、五分のインターバル。

 ヒノエが飛んできて俺の中に入り込み、回復と言うか蘇生魔法レベルで治癒。

 うん、チート級の回復がなければ死んでるよな俺。


 「お~~~い、赤羽君~♪ 拳法の稽古、始めるよ~♪」

 「おっす、ヒノエも行こう♪」

 「ピヨ♪」


 水場で顔を洗っていた俺を、番号札六番の烏天狗さんが迎えに来てくれた。


 「イヤーーッ! イヤーーッ!」

 「「イヤーーッ! イヤーーッ!」」


 皆で並んで正拳突き、木々に掛け声が木霊する。

 突きや蹴りに肘打ちに掌底、巻き藁の巻かれた木に技を打ち込む。


 「よし、組手行くぞ!」

 「おっす!」


 黒羽さんの号令で木々が生い茂る中での組手。


 「セリャ!」

 「うおっ! こっちも、てりゃ!」


 木々を足場にしての矢の様な飛び蹴りや突きが襲い来る。

 俺も烏天狗さんの真似して大地を蹴って跳び、木に足を付けたら飛び蹴り。

 木々や空中を利用した、三次元的な戦い方だ。


 「おら、止まるんじゃない! 敵を倒すまで動き続けるんだ!」

 「やばっ! うおっと!」


 黒羽さんの叫びの通り、烏天狗さんの攻撃は止まらない。

 転がって間合いを取り木を背にして踏み込み、跳躍。

 ルチャ・リブレの飛び技みたいに体当たりでどうにか一本を取れた。


 組手が終われば皆で昼食、チキン南蛮や雉丼と鳥肉を食う。

 昼飯が終われば剣の稽古だ。


 「よし、赤羽はヒノエと一体化して飛ぶ準備だ!」


 黒羽さんに従いヒノエと一体化する、これで俺も飛べるようになる。

 剣の稽古も素振りや打ち込みからスタート。


 「良し、一の太刀! 旋毛風つむじかぜ!」

 「「イヤーーッ!」」


 黒羽さんの号令に従い、剣を寝かせた上段霞の構えから回転しつつ木刀を振るう。


 「二の太刀、早贄はやにえっ!」


 皆で木に駆け寄って、飛び蹴りから反転して跳躍突き!


 「三の太刀、飛天割っ!」


 ジャンプして大上段からの振り下ろし。


 何と言うか、剣術格闘ゲームで見たような技だった。


 「四の太刀、風切り!」


 この技は横薙ぎと共に風の刃を飛ばす技。


 「赤羽! 炎は飛ばすな! 山火事になる!」

 「お、おっす!」


 俺が出さ板炎の斬撃は黒羽さんの技で相殺された。

 風属性は使えねえよ、火属性だもん。


 「五の太刀、啄木鳥きつつきっ!」


 これは、押しと引きが素早い連続突き!


 夕食はチキンカレーだった。

 夜は道場で竹刀を使って普通の剣道の様な技を当てて行く稽古。


 そして合宿最終日。

 テングカイザーとなった黒羽さんと、テンセイレッドとして対戦だ。


 「さあ、仕上げと行こうか!」

 「おっす、行きます!」


 テングカイザーはマスクが天狗みたいな武者鎧っぽい赤いヒーロースーツ。

 足は高下駄みたいな装備が付いてる。


 相手が赤い刀を中段に構えている。

 こっちもフェニックスカリバーを上段霞に構えていざ勝負!


 ドン! っと衝撃波を発して突っ込んで切りかかるテングカイザー!

 こっちは、炎の翼でロケット噴射で飛び上がり回避。


 「教わった、早贄から行くぜ! 早贄改め、レッドミーティア!」


 空中で足裏から炎を噴射して突きに行く!

 流星の如く突っ込む!


 「は、覚えが良いなあ♪ 刀がやられたか!」

 「まだまだあ! 啄木鳥っ!」

 「刀はまだあるんだよ♪」


 俺の突きを裁いて行くテングカイザー、技の師だけあって手強い。


 「そらよ、お返しの風切りだ!」

 「こっちこそ、お返しの飛天割風フェニックスバッシュ!」

 「ぐわっ!」


 飛んで避けてから、炎を噴射して勢いを付けて振り下ろす!

 俺の一撃はテングカイザーさんの刀を割り、刃がマスクに当たった所で彼女の装甲が弾け飛び変身解除に持ち込めた。


 「ち、参ったよ♪」

 「ありがとうございました!」


 俺も変身を解いて礼をする。

 黒羽さん、何と言うか本当はまだまだ余裕なんじゃね?

 正直、俺に花を持たせてくれたのではと言う感じがした。


 「うんうん、赤羽は筋が良いねえ♪ 気に入ったよ♪」

 「どうもっす、今回はお世話になりました」


 対戦を終えて荷物を持ってお堂前でご挨拶。


 「次は、夏休みごろに迎えに行くよ♪」 

 「えっと、一週間の予定では?」

 「体験はね、見込みあるし入門しなよ♪」

 「いや、俺も戦いとか学校とかがあるんですが?」


 あれ、何か妙な流れになってないか?

 俺は、正式入門とかまではするつもりとかないんだけど?


 「大丈夫、婿入りすれば月謝とかタダで良いから♪」 

 「いや、俺の人生は支払えませんから!」


 俺はダッシュで下山した、気に入られるのは良いが気に入られ過ぎも勘弁だよ!

 妙なラブコメ展開はいらないですから!

 ヒノエの力も借り、俺は炎の翼を広げて超高速で飛んで帰るのであった。

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