一片の光が照らす、過ぎた季節の記憶

@Natsuis

第1話 出会いと恋の始まり

春の訪れとともに、桜が咲き誇る街。翔と咲月の出会いは、まるで運命が用意したようなものだった。


翔と咲月は幼馴染だった。幼い頃から隣同士の家に住み、同じ小学校に通い、共に遊び、時には喧嘩をしながら育った。しかし、中学進学を機に咲月が引っ越し、二人は離れ離れになった。以来、数年間は音信不通。お互いに成長し、別々の人生を歩んでいた。


それが再び交差したのは、大学の入学式の日だった。


「……咲月?」


人混みの中、どこか懐かしい横顔を見つけた翔は、思わず声をかけた。驚いた表情で振り向いた咲月もまた、翔の存在を認めると、ふわりと笑みをこぼした。


「翔……?久しぶりだね!」


まさか同じ大学に進学していたとは思わず、二人は驚きと喜びに包まれた。幼い頃とは違い、少し大人びた姿になった互いを見つめながら、懐かしさがこみ上げる。


それからというもの、二人は自然とまた親しくなっていった。同じ講義を受けたり、一緒に昼食を取ったりするうちに、幼い頃とは違う感情が芽生え始める。翔は咲月の穏やかで優しい笑顔に惹かれ、咲月もまた、いつもそばで支えてくれる翔に安心感を抱いていた。


ある日、大学の帰り道。


「ねえ翔、今度の週末、ちょっと付き合ってくれない?」


咲月の言葉に、翔は一瞬驚いたが、すぐに微笑んで頷いた。


「もちろん、どこに行く?」


「……内緒。」


その日を境に、二人の距離はさらに縮まっていく。週末のデートの帰り、桜が舞う公園のベンチで、翔は意を決して言葉を紡いだ。


「咲月、俺たち……付き合ってみないか?」


咲月は驚いたように翔を見つめたが、すぐに頬を染めて微笑む。


「……うん。」


こうして、幼馴染だった二人の新たな関係が始まった。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る