隣の席のクラスメイトがたぶん宇宙人

鶴見トイ

一般的に、宇宙人には近づかないほうがよい。特にそれが話しかけてくるのであればなおさらである

第1話

 ごく辺鄙な、呆れるほど人の興味を惹かない惑星が銀河の片隅に存在していた。そこに住む知的生命体のうち、数が一番多いもの(ヒトと呼ばれているサルの子孫)は、この惑星のことを地球と呼んでいた。


 彼らは地球のことをたいへん重要なものだと考えていたが、それは海に浮かぶ漂流者が、自分が捕まっている木切れを重要なものだと考えるのに似ていた。何しろ呆れるほど文明レベルが低いので、ヒトはまだ一番近くの居住可能惑星にすら到達できていないし、身につけて歩いている黒くて平べったい板(彼らはこれを主に自撮りに使う)があればなんでもできると本気で信じているほどだった。


 地に足をつけて歩いているヒトが、道に落ちている木切れを避けて通るのと同じく、地球に住んでいない知的生命体はそのほとんどが地球を避けて通っていた。というより、そこに地球というものがあるということすら意識していなかった。


 地球のこの現状に不満を抱き、なんとか変えようとしているのは、地球上にはただ一名しかいなかった。


 そしてそれは、この時点では誰にも気づかれていなかった。


 この時点というのは、日本時間で五月十七日、木曜日のことである。

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